ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(49)『不思議な出来事』

2024年01月24日 20時39分28秒 | 日記
ちいチャンの町で、不思議な出来事が起こりました。
子供達が遊んでいると、突然、足に切り傷が出来るというものです。
日にちをずらして何人かが怪我をしたので、町ではちょっとした話題になり
ました。
大人たちの言う事には、“カマイタチ”というものの仕業の様でした。
ちいチャンは、“カマイタチ”のカマを抜かして、
(イタチ?)
と、思いました。
(イタチが子供の足を切ったの?)
どうしてかなぁ、どうしてかなぁ、と思っていると、大きいお兄さんが、こん
な話をしてくれました。
「空気中に真空の場所が出来て、それが足に触れると皮膚が切れるんだよ。」
と。
その現象を“カマイタチ”というのだそうです。
切れた瞬間は痛くはないらしいのですが、切られた子供の足の白い包帯は痛そ
うでした。
ちいチャンは家に帰る途中、枯葉が風でクルクルクルクルと渦を巻いているの
を見つけました。
(もしかしたら、この渦の真ん中が真空なのかもしれない。)
と思って、クルクル渦巻く枯葉を遠巻きにして家に帰りました。
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ちいチャン物語(48)『空白の瞬間』

2024年01月18日 20時30分00秒 | 日記
ちいチヤンの家から少し離れた近所の家に、赤ん坊が生まれました。
おばあちゃんは、ちょくちょく赤ん坊の顔を見にいきます。
その日、
ちいチャンは、おばあちゃんと一緒に赤ん坊の家に行きました。
おばあちゃんは、赤ん坊を抱いて玄関の階段を下り、庭に出ます。
ちいチャンも、おばあちゃんに付いて庭に出ました。
少しして、おばあちゃんが、
「ホラッ!ちいチャンも抱っこしてごらん。」
と、言って赤ん坊をちいチャンに渡します。
ちいチャンは、赤ん坊を抱くのは初めてでした。
赤ん坊は、思ったよりも重くて、でも、頑張って抱いていました。
「おばあちゃん、重くなって来た...。」
と、ちいチャンが言うと、おばあちゃんは、
「じゃ、お母さんの所へ連れて行ってあげなさい。」
と、言います。
ちいチャンは、おばあちゃんに赤ん坊を渡したかったけれど、
(お母さんの方がいいのかな。)
と思い、玄関の階段に足をかけました。
玄関の階段は、ちいチャンの膝より高く、赤ん坊を抱いての階段は、上るの
が大変でした。
「よいしょ!」
なんとか一段目を上り、二段目に足をかけた時ちいチャンは、赤ん坊の重み
でバランスを崩し、赤ん坊を抱いたまま、階段から転げ落ちてしまいました。
家の中からは、赤ん坊のお母さんが、庭からはおばあちゃんが、慌てて飛ん
で来ます。
ちいチャンは、階段から落ちた後の事は覚えていません。
ちいチャンが、赤ん坊をしっかり抱いていたので、赤ん坊は無事のようでし
たが、ちいチャンはどうなったのか、ちいチャンは覚えていません。
数日後、肘や膝には広い範囲で、黒いかさぶたが出来ていました。
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ちいチャン物語(47)『喧嘩ばかりのシロとコロ』

2024年01月13日 19時54分14秒 | 日記
ちいチャンが小さい頃、犬は割と自由に道路を歩いていました。
たいていは飼い犬なので、人を襲ったりする事はありません。
でもちいチャンは、見たことのない犬と出会ったりすると、やっぱり恐くて、そ
お~と道の反対側に渡り、見ないふりをしました。
時には、よだれを垂らして舌を出している犬もいたりして、子供建は、
「狂犬病だ!」
と言って、近づかないようにしていました。
近所の犬は、お互いが出会っても、ほとんどはケンカをしません。
でも、シロとコロは違っていました。
しょっちゅう道で出会うという訳ではありませんが、会えば必ずケンカをします。
それはもう、凄まじいものです。
シロの毛は白で、コロの毛は茶色でした。
ちいチャンは、シロはケンカに弱いと思います。
ケンカの後はいつも、シロの白い毛が、血で赤く染まるからです。
コロは、毛が茶色なので、怪我をして血が出ていてもわかりません。
ケンカを仕掛けるのは、いつもコロです。
ちいチャンは、
(シロは逃げればいいのに。)
と、思います。
でも、シロは決して逃げもせず、向かって来るコロに挑みます。
広い範囲に渡り、転げまわり、咬みつき、うなり、相手を離しません。
コロの飼い主は勇敢に、ケンカに割って入りコロを引き離します。
シロは、離されたコロに、再び向かっては行きません。
白い毛を赤く染めて、飼い主の元へ帰ります。
シロは、普段はおとなしい犬です。
ちいチャンが、シロの家に用事を頼まれて行った時などは、シロはシロの家の中で
じっとしています。
吠えたりもしません。
ケンカで怪我をしたシロに、飼い主は“赤チン”を塗ってあげます。
シロの、白い毛の赤い範囲が、もっと広くなります。
それを見る度に、ちいチャンは、
(シロ...、コロを見つけたら逃げるんだよ。逃げなさいよ。)
と、心の中でつぶやきます。
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ちいチャン物語(46)『月のウサギ』

2024年01月06日 20時27分55秒 | 日記
ちいチャンは、月のウサギを信じています。
本に、「月でウサギが餅をついている。」と、書いてあるのを読んだ日に、
夜空にまあ~るいお月様が出ていました。
(本当かなぁ。)
ちいチャンは、月を見上げてじいーと見てみました。
すると、月が大きく見えて来ました。
そして、絵本のようなウサギさんが、手に杵(きね)を持って左側に立って
いて、絵本のようなうすが右側に見えました。
(あっ!ウサギとうすだ!)
そう思ったちいチャンは、「月でウサギが餅をついている。」という話は本
当だと思いました。
その日から月を見ると、いつも同じ場所に、ウサギとうすが見えました。
月の出ている夜は、お話の世界に入れる、夢見るちいチャンなのでした

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ちいちゃん物語(45)『柱時計とおじいちゃん』

2024年01月01日 21時10分48秒 | 日記
玄関を入ってすぐの部屋の壁に、柱時計がありました。
おじいちゃんは、時々、この柱時計のネジを巻きます。
家のどこからかネジ巻きのネジを持って来て、踏み台に上がり、ガラスの扉を開けて、
ジーコジーコとゆっくりとネジを巻きます。
そして、
「今、何分だ?」
と、おばあちゃんに聞きます。
おばあちゃんが、小さな時計を見て時間を言うと、おじいちゃんは、時計の針に手を
当てて時間を合わせます。
時には、時計の針をぐるっと回し、ボーン!ボーン!ボーン!と音を出させる時もあ
ります。
そして、振り子を軽く動かし、ガラスの扉を閉めます。
柱時計のネジ巻きは、おじいちゃんしか知らないらしく、おじいちゃんだけの仕事で
した。
柱時計は、30分には1回ボーン!と鳴ります。
それから、時間になるとその回数だけ、ボーン!ボーン!と鳴ります。
振り子は、右にコッチン!左に、コッチン!と音をさせています。
コッチン!コッチン!コッチン!コッチン!
振り子の音は、おじいちゃんの眠気を誘います。
おじいちゃんは、ひじ掛けみたいな枕に頭を乗せると、いびきをかき始めました。
柱時計とおじいちゃんの、のどかな昼下がりの光景です。
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