ちいチャンの町には、川沿いに駄菓子屋さんがありました。
バラで売っているキャラメルやお菓子、くじ付きのガム、水あめ、銀紙に包まれたチョコレート、いぼいぼのコンペイトウ、などなど。
そして、糸引き飴があります。
形は、身長の足りない「とんがり帽子」みたいな形をしています。
糸引き飴は、赤や黄色や緑やオレンジ色をしていて、まわりにはザラザラとした白い砂糖が付いています。
その飴ひとつひとつに、1本の白い糸が付いていて、まとめて束ねてあります。
飴は、大きさの大きいのが当たりで、小さいのはハズレです。
ちいチャンは、お店のおばちゃんにお金を払うと、糸を1本引きます。
ちょっとずつ、ちょっとずつ、クイクイと引っ張ります。
すると、1番大きな飴が、ちいチャンの引く手の方に寄って来ました。
ちいチャン、大当たりです!
「おめでとう!大きい飴が当たったよ!」
そう言うと、おばちゃんは、糸の付いた大きい飴を、ちいチャンに渡してくれました。
大きな赤い飴でした。
ちいチャンは嬉しくて、口に加えてペロンとなめて、糸を引っ張ってポロンと口から出して、赤い飴をながめます。
上を向いて、飴をながめ、吸い込むように口に入れました。
すると、なめ始めたばかりの飴の糸が外れて、飴が勢いよく口の中に入って来ました。
ちいチャンは、ちょっと強めに飴を吸い込んだので、飴は喉の奥深くまで入ってしまいました。
咳をして出そうとしましたが、喉にすっぽりはまってしまって、出てきません。
喉が痛くて苦しいです。
もう一度、咳をしてみます。
飴は、出てきません。
痛くて苦しいので、なめたばかりでもったいないけど、ちいチャンは思いきって、ゴクン!と飲んでみました。
飴は、喉の少し奥に移動をしました。
喉を、石の固まりでふさがれているように、苦しいです。
(痛い!痛い!痛い!)
ちいチャンは、喉を押さえながら家に帰り、急いでお水を飲みました。
喉は、イガイガして苦しかったけれど、飴だから、だんだんと溶けていって、そのうちに、苦しくなくなりました。
ちいチャンは、
(初めて大きい飴が当たったのに、もったいなかったなぁ。)
(飴が小さくなるまで、なめてたかったなぁ。)
と、ホッ!としながら、がっかりしました。