ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(77)『秋に来る植木屋さん』

2022年04月30日 19時22分52秒 | 日記
秋になると、ちいチャンの家に植木屋さんがやって来ます。
夏の間、日蔭を作ってくれていた松の木や、秋の金木犀、春
の木蓮などの枝を整えてくれます。
街からくる植木屋さんは、ちいチャンの家に1週間ほど泊まります。
庭の植木にハシゴを掛けて登り、高い所で枝を切っています。
ちいチャンは、木の上からバサッ!と枝が落ちて来るのを見
るのが珍しくて、縁側から植木屋さんの仕事を見ています。
庭の通路は、あっという間に、木の枝や葉っぱで埋まってし
まいました。
植木屋さんは、下に落とした木の枝や葉っぱを集めて、トラ
ックに乗せ、何処かへ運んで行きました。
おばあちゃんは、朝、昼、晩と、いそいそと食事を作ります。
泊まり込みのお客様が、少し嬉しい様子です。
食事の時、テーブルには、おかずがいつもより多く出ています。
午前10時と午後3時には、お茶を入れ、お菓子を添えて、
ひと休みです。
植木屋さんは、毎年同じおじさんが来ます。
植木屋さんのおじさんは、少し無口です。
おじいちゃんもおばあちゃんも、仕事中の植木屋さんには、
あまり話しかけません。
そばで、じっと見ている風でもなく、安心して任せています。

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ちいチャン物語(76)『浜の鳴き砂』

2022年04月29日 18時50分00秒 | 日記
ちいチャンの海辺の砂は、鳴き砂です。
乾いている砂の上を歩くと、キュッキュ!キュッキュ!と、音がします。
浜の砂はきめが細かくて、拾い上げると、さらさらさらさらと指の隙間からこぼれ落ちます。
ちいチャンは、そんな浜の砂をずっとずっと見てきました。
何処の海の砂浜も、同じさらさらで、キュッキュ!キュッキュ!と鳴るものだと思っていました。
後になって、鳴き砂の浜は日本に数か所と知り、ちいチャンの海辺の浜の砂も、その中の一か所だと知りました。
ちいチャンは、防波堤から浜に降り、持って来た小瓶に砂を詰め、フタをしました。
(この砂は、ずっと大事にとっておこう。)
少し嬉しくなりました。
ちいチャンの海辺の砂は、この日から、ちいチャンの宝物になりました。

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ちいチャン物語(75)『田んぼの中のスズメと鉄砲』

2022年04月28日 19時33分00秒 | 日記
ちいチャンの家から少し離れると、道路の両脇に田んぼが広がります。
金色の稲穂が重たげに首を垂らしています。
田んぼの所どころには、「かかし」が両手を広げています。
「かかし」のいるこの道は、近所のおじさんやおばさんが、田んぼで仕事をしているみたいに見えて、
ちいチャンは、ひとりで歩いていても、ひとりで歩いている気がしません。
時々、「かかし」と思って見ていると、本当のおじさんやおばさんだったりします。
田んぼは、まわりをぐるっと紐で囲ってあり、風が吹いたら揺れる様な、小さな布が付けてあります。
田んぼからは、時々、大きな音が聞こえます。
大人の人は、これを“鉄砲”と、言います。
田んぼの何処かに、その“鉄砲”があるらしく、ドカーン!!と、
田んぼ中に響き渡る大きな音を出します。
すると、田んぼの中から、スズメの集団が、バサバサバサ!っと飛び出します。
飛び出したスズメの集団は、また違う田んぼに降り立ちます。
しばらくして、また“鉄砲”がドカーン!と音を出します。
また、スズメがバサバサバサ!と、飛び立ちます。
“鉄砲”と、スズメが追いかけっこをしている様な、そんな田園風景です。

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ちいチャン物語(74)『ペスとおばあちゃん』

2022年04月27日 19時28分21秒 | 日記
稲刈りが終わった頃、
おばあちゃんは何処からか、ワラをもらって来ます。
庭に居るペスの犬小屋の中に、ふかふかに敷きつめます。
ペスは嬉しくて、小屋の中へ入ったり出たりを繰り返しています。
翌日ペスは、犬小屋の中からワラを引っ張り出しては、
口にくわえ て首を振り、ガルル、ガルルと遊んでワラをまき散らかします。
おばあちゃんは、ペスが散らかしたワラを、
また、小屋の中へ入れてあげます。
冬になると、おばあちゃんは、
使わなくなった毛布をペスの小屋の中に入れてあげます。
ペスは、暖かくなった小屋の中へ、入ったり出たりしています。
翌日ペスは、毛布を口にくわえて引っ張り出し、
ガルル、ガルルとじゃれています。
夕方、おばあちゃんは、ペスが外に出した毛布を、
また、小屋の中に入れてあげます。
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ちいチャン物語(73)『テレビの中のその人』

2022年04月26日 19時18分23秒 | 日記
ある日、ちいチャンはテレビの中で、奇麗な男の人を見ました。
テレビの中のその人は、優雅な物腰、話し方で、色が白く細く、対談相手に話す手指の動きは、男の人とは思えない動きでした。
ちいチャンの海辺の町には、真っ黒に日に焼けた、たくましい海の男達ばかりだったので、ちいチャンは、物腰の柔らかい男の人を見たのは、初めてでした。
人間という人種の中で、また違う人種に出会ったような、衝撃的な瞬間でした。
(こんなに奇麗な男の人もいるのね。)
ちいチャンは、テレビの中は世界が違う、と、思いました。
ちいチャンが大きくなってから、テレビに出て来たその人は、少し女の人になっていました。
長い髪に、ロングドレスを着ていました。
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ちいチャン物語(72)英語バージョン『スーパーお手玉おばあちゃん編』

2022年04月25日 19時22分08秒 | 日記
“Super grandma by beanbag”
Grandma taught how to play beanbag for Chii.
Then she could play two beanbags by her hands.
And then she could play two beanbags by her one hand.
Soon she could play three beanbags by her hands.
But grandma could play four beanbags by her hands.
She was great !
※日本語バージョンは、ちいチャン物語(65)『お手玉スーパーおばあちゃん』に、あります。

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ちいチャン物語(71)『お風呂の焚き口で焼いも』

2022年04月24日 19時21分47秒 | 日記
焼きいもを作る時、おばあちゃんは、お風呂の焚き口で作ります。
ちいチャンの家のお風呂は、新聞紙を種火にして薪で沸かすので、
焼きいもを作るのには、いい場所の様です。
いい具合に燃えている薪の中に、サツマイモをもぐり込ませます。
お風呂が沸く頃には、焼きいもが出来ています。
おばあちゃんは、たき口の近くに置いてある鉄の棒で、焼けたいもを取り出します。
そして、焼けたいもを新聞紙に乗せました。
真っ黒にこげている所を取り除いて、ポフッとふたつに折ると、ほかほかの湯気と一緒に、ほくほくの芋が出て来ました。
ちいチャンは、マーガリンをチョット付けて食べます。
おじいちゃんは、何も付けずに食べます。
おばあちゃんは、どちらでも食べます。

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ちいチャン物語(70)『栗のイガの中の同居人』

2022年04月23日 19時38分27秒 | 日記
川沿いを、山に向かって歩いて行くと、道端に栗の木がありました。
栗のイガが、パックリと口を開けて落ちています。
口を開けたイガの中には、栗が3個入っています。
大きな栗が2個入っているものもあります。
見上げると、栗の木には、栗のイガが沢山付いています。
大きく口を開けて、中がからっぽのイガもあります。
ちいチャンは、栗の木の下に落ちているイガを、棒でつついて道までころがします。
そして、イガを両足の靴ではさみ、靴底でズリズリとイガの口を広げます。
すると、ポロッと栗が転がりだします。
青いイガが落ちていました。
青いイガは、口を開いているのは少なくて、靴底でズリズリしてもイガだけが取れ、床屋に行ったばかりの坊主頭みたいになります。
それでも一生懸命ズリズリして開けてみれば、中の栗は青かったりします。
男の子たちは、栗の木を揺さぶったり、長く太い棒で叩き落とします。
男の子たちは、拾うよりも落とす方が好きで、栗の実は、大きな物が数個手に持てれば満足でした。
女の子たちは、沢山栗の実が採れた時には、スカートをエプロンにして、
包んで持って帰ります。
栗の実は、生の物でも茹でた物でも、皮を剥いている時に、ニョロっと虫が顔を出す時があります。
(キャー!)
ちいチャンは、声にならない悲鳴をあげます。
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ちいチャン物語(69)『庭の金木犀(きんもくせい)』

2022年04月22日 19時54分16秒 | 日記
ちいチャンの家の庭に、「金木犀(きんもくせい)」の木がありました。
家の門の所に1本と、庭のずっと奥に1本の、合わせて2本の「金木犀」の木です。
屋根に届く高さの「金木犀」の木は、秋になるとオレンジ色の花を咲かせます。
外から帰って来ると、門の少し手前の辺りから、
ふわ~っと、「金木犀」の花の香りがして来ます。
ちいチャンは、
(いい匂いだなぁ。)
と、思います。
金木犀の香りに気が付いて、花をながめます。
金木犀の香りが消えて、小さく落ちた花をながめます。
金木犀の香りがただよう花咲く期間は、短いでした。
ちいチャンが、大きくなって故郷を思い出す時、
そこには「潮の香り」と「庭の金木犀」がありました。

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ちいチャン物語(68)『物置の上の小さな部屋』

2022年04月21日 19時27分51秒 | 日記
ちいチャンの家の物置は、家の中にありました。
台所と続いていて、ひとつの部屋になっています。
床は、コンクリートです。
漬物の樽や重石、クワなどの作業用品、味噌などが入っています。
その物置の天井上に、部屋がありました。
おもちゃの部屋みたいな小さな部屋です。
その部屋は、台所の方からハシゴを掛けて上ります。
普段はその部屋は、何にも使われていません。
ちいチャンは、台所から見える物置の上の、
この小さな扉がいつも気になっていました。
(入ってみたいなぁ、見てみたいなぁ。)
でも、ひとりでハシゴを掛けて上るのは危ないと思いました。
ある日、
そんなちいチャンを見て、おばあちゃんが、
「上ってみるかい?」
と、ハシゴを掛けてくれました。
おばあちゃんが、ハシゴをしっかりと支えてくれているので、
安心して上れました。
小さい扉を開けて部屋に入ると、
そこは、隠れ家にしたくなる様な小さな部屋でした。
小さな窓が明かりを取り入れてくれています。
布団が2~3枚くらい敷ける様な広さでした。
でも、天井までの高さが無く、
小さいちいチャンでも、頭が天井にぶつかってしまいます。
腰を低くして歩かなければいけません。
ちいチャンは、
(天井が低すぎて、この部屋では遊べないなぁ。)
と、思いました。
ハシゴを下りると、おばあちゃんが、
「この部屋は、昔いた女中さんの部屋だったそうだよ。」
と、言いました。

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ちいチャン物語(67)『おばあちゃん式ご飯の温め方』

2022年04月20日 19時12分50秒 | 日記
ご飯は、電気釜で炊きます。
電気釜は、炊くだけで他の機能は何も付いていませんでした。
保温機能も無く、電子レンジもありません。
おばあちゃんは、毎日きちんと、ご飯がなくなる量を炊きます。
でも時々はやっぱり、ご飯が少し残ってしまいます。
ちいチャンは、冷たいご飯は好きでしたが、
おばあちゃんは、好きではないようでした。
ご飯が炊きあがると、おばあちゃんは、電気釜の蓋を開けて、
残っていた冷たいご飯を釜の端の方に入れ、パタンと蓋をしました。
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ちいチャン物語(66)『どんぐりのコマ』

2022年04月19日 19時27分16秒 | 日記
川沿いを、山に向かって歩いて行くと、大きなクルミの木があります。
クルミの木の近くには、どんぐりの木があります。
どんぐりの木の下には、どんぐりがいっぱい落ちています。
どんぐりは、クルミと違って、茶色になったどんぐりは、ボロボロに
くずれやすく、壊れやすいです。
ちいチャンは、黄緑や緑のどんぐりを拾います。
ベレー帽をかぶったようなどんぐりは、ちょっと嬉しいです。
ベレー帽をかぶっていないどんぐりでも、
それぞれバラバラに落ちていたりします。
ちいチャンは、どんぐりの数だけベレー帽も拾います。
家に帰って、ひとつずつ帽子をかぶせ、並べてながめます。
どんぐりは、帽子の大きさが合わないものもあります。
帽子が合わないどんぐりの中の、一番大きなどんぐりで、
コマを作ります。
どんぐりの、頭のてっぺんから爪楊枝(つまようじ)をさし込みます。
どんぐりは、どんぐり本体の底でクルクル回るので、
爪楊枝をさすの は途中までです。
そうしたら、爪楊枝を持って、くるっ!と回します。
ちいチャンは、お友達と、どちらのどんぐりのコマが長く回っていら
れるか競争をして遊びます。
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ちいチャン物語(65)『お手玉スーパーおばあちゃん』

2022年04月18日 19時20分12秒 | 日記
ちいチャンは、おばあちゃんに「お手玉遊び」を、教えてもらいました。
そして、
両手で、2個のお手玉が、出来るようになりました。
それから、
片手で、2個のお手玉が、出来るようになりました。
そのうち、
両手で、3個のお手玉が、出来るようになりました。
でも、
おばあちゃんは、4個のお手玉が、出来るのです。
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ちいチャン物語(64)『柿の渋抜き』

2022年04月17日 20時14分31秒 | 日記
秋になると、おばあちゃんは、背負い籠(かご)を背中に背負い、
柿の木の植えてある山へ出かけて行きます。
おばあちゃんは、力持ちです。
背負い籠いっぱいに、柿を取って来ます。
ちいチャンは、取って来た柿をすぐに食べたいと思いますが、
おばあちゃんが、まだ渋い柿だと言います。
おばあちゃんは、大きなビニール袋と、小皿と焼酎を用意します。
縁側に新聞紙を敷いて、ビニール袋を置き、小皿に焼酎を入れました。
小皿の焼酎を柿のヘタにつけて、ビニール袋に並べて行きます。
平らに並べたら、その上にまた柿を重ねて行きます。
最後におばあちゃんは、ビニール袋の口をギュ!と縛りました。
(早く食べたいなぁ...。)
柿は、おばあちゃんの食べ頃判断に任せられています。
おばあちゃんが、食べてもいいよ!と言うまでは、手が出せません。
何年か前、おばあちゃんが少し早めに柿を出して剥いた時、
柿は渋いでした。
「おばあちゃん、まだ?」
「う~ん、まだだね。」
「おばあちゃん、まだ?」
「もう少しだね。」
ちいチャンは、毎日おばあちゃんに聞きます。
柿は、袋の中で少しずつ、渋みが甘みに変わって来ています。
おばあちゃんの、食べ頃サインが出るのももうすぐです。
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ちいチャン物語(63)「仏壇のお茶」

2022年04月16日 19時22分14秒 | 日記
おばあちゃんは、1日に2回掃除をします。
朝の5時と夕方の5時です。
障子に、パタパタパタパタはたきをかけて、ざっざっざっと、ほうきで掃きます。
こんなに朝も早くから、パタパタはたきをかけても、
おじいちゃんは、目も覚めずにグッスリと寝ています。
そして、ちょうど掃除が終わった頃に、目が覚めて起きて来ます。
おじいちゃんは、入れ歯を洗って口をすすぎ、顔を洗った後、仏壇に線香をあげます。
そして、おばあちゃんは、湯飲み茶わんを4つ並べ、お茶を入れます。
仏壇用と、おじいちゃん、おばあちゃん、ちいチャンの4つです。
おばあちゃんは、毎朝4つの湯飲み茶碗にお茶を入れます。
ちいちゃんは朝起きて顔を洗い、仏壇に線香をあげて、朝一番のお茶を飲みます。
起きてすぐに、お茶を飲もうとすると、
「顔を洗って、仏様に線香をあげてから!」
と、おばあちゃんが言います。
ちいチャンは、
(仏様はお茶を飲んでるの?お茶は減ってないよ。)
と、思った事がありました。
おばあちゃんに聞くと、
「仏様はね、お茶の湯気を飲むんだよ。」
と、言いました。
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