秋になると、ちいチャンの家に植木屋さんがやって来ます。
夏の間、日蔭を作ってくれていた松の木や、秋の金木犀、春
の木蓮などの枝を整えてくれます。
街からくる植木屋さんは、ちいチャンの家に1週間ほど泊まります。
庭の植木にハシゴを掛けて登り、高い所で枝を切っています。
ちいチャンは、木の上からバサッ!と枝が落ちて来るのを見
るのが珍しくて、縁側から植木屋さんの仕事を見ています。
庭の通路は、あっという間に、木の枝や葉っぱで埋まってし
まいました。
植木屋さんは、下に落とした木の枝や葉っぱを集めて、トラ
ックに乗せ、何処かへ運んで行きました。
おばあちゃんは、朝、昼、晩と、いそいそと食事を作ります。
泊まり込みのお客様が、少し嬉しい様子です。
食事の時、テーブルには、おかずがいつもより多く出ています。
午前10時と午後3時には、お茶を入れ、お菓子を添えて、
ひと休みです。
植木屋さんは、毎年同じおじさんが来ます。
植木屋さんのおじさんは、少し無口です。
おじいちゃんもおばあちゃんも、仕事中の植木屋さんには、
あまり話しかけません。
そばで、じっと見ている風でもなく、安心して任せています。