ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語「クルミの木の実」(24)

2022年02月28日 20時04分31秒 | 日記
川沿いの道を、山に向かって歩くと、大きなクルミの木があります。
見上げると、クルミの実がたくさん付いています。
ちいチャンは、
(クルミを取りたいなぁ。)
と、思いますが、手が届きません。
そこで、ちいチャンは、木の下に実が落ちていないか探します。
たいてい、実のなる木の下には、雨や風で落ちた実が落ちているのです。
木の下を、ぐるぐる歩くと、落ちていました!クルミの実!
クルミは、木に付いている時は緑色で、下に落ちると茶色くなります。
でも、クルミは、表面の皮が茶色くなって腐れた時が、丁度いい食べ頃です。
茶色くなって、腐れた皮の中には、固いクルミの衣があって、それを、かなづちや、大きな石でたたき、割ると中からしぶ皮に包まれた、クルミの実が出てきます。
落ちているクルミは、表面の茶色い皮をとってタワシで洗い、カラカラに乾くまで干しておきます。
洗った後のクルミは、
(梅干しの種を大きくしたみたいな形だなぁ。)
と、ちいチャンは思います。
乾いたクルミは、庭の石の上で、かなづちでカンカン!と、たたきます。
クルミは、案外固くて、1度たたいただけでは割れません。
きれいに、2つに割れると、大きな実が取り出せます。
バラバラに砕けて割れると、中の実もバラバラになってしまいます。
ちいチャンは、木の下のクルミを、両手に持てるだけ拾って帰ります。
クルミを洗って干し終わったら、ちいチャンの手は、指の先から爪の中、手のひら全体まで、茶色くなっていました。
これは、お風呂に入ったり、顔を洗ったりしている内に、自然と取れていきました。
近所の大きいお兄さんは、クルミふたつを片手に持って、手の中でこすり合わせ、キュルキュルと音をさせています。
ちいチャンは、つまようじで、ほじりほじりクルミを食べます。
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ちいチャン物語(23)「ちいチャン夏の昼ご飯」

2022年02月26日 19時42分04秒 | 日記
シオビキ(塩漬けの鮭)を焼きます、おばあちゃんが。
焼き上がりは、シオビキの表面が、白く塩を吹いています。
それをほぐして、朝の残りの冷たいご飯にのせ、冷蔵庫で冷やした冷たい水を
かけます。
それから、氷を1個、2個、ご飯の上に乗せます。
そうしたら、
ズルズルズルッと、かきこんで、ゴックン!
しょっぱいシャケと冷たい水が、のどにいい気持ちです。
ちいチャン、しあわせ真っ最中。
「おかわり!」
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ちいチャン物語(22)「エビ?」

2022年02月25日 19時31分58秒 | 日記
波うちぎわに、透明で小さな、数ミリ程のエビがいます。
波が寄せてひいた後の波うちぎわで、あわてんぼのように動きまわっています。
そして、隠れなくちゃ!隠れなくちゃ!という風に、シャカシャカと砂にもぐっていなくなります。
ちいチャンが、波うちぎわに座っていると、波でぬれている足先で、波が来たらチョロチョロっと出てきて泳いで、波がひくと隠れろ!と、いなくなります。
かくれんぼをしていて、見つかった!みたいで、見ていると面白いです。
そのエビは、波がひいた後で砂と間違えて、ちいチャンの足の上で、一生懸命もぐろうと、クルクルクルクル動きまわることがあります。
くすぐったいのですが、エヒだから、トゲトゲの足やヒゲがあるのか、すこ~し痛いです。
痛くすぐったい。
だから、エビが何匹も足の上で動いていたりすると、ちいチャンは、海の水の中へ入って逃がします。
(かわいいけど、痛い。)
と、ちいチャンは思います。
砂浜で穴を掘ると、自然と下から水がしみ出てきます。
そうすると、周りの砂の中から、そのエビが出て来て、水の中を泳ぎまわり、水の底の砂にもぐって、いなくなったりします。
自由きままに出て来て、自由きままにいなくなります。
ちいチャンは、そのエビを食べた事はありません。
飼った事もありません。
名前も知らない、波うちぎわの、ちい~さなエビです。
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ちいチャン物語(21)「竹の物干し竿」

2022年02月24日 19時22分42秒 | 日記
ちいチャンの家の外には、なが~い竹が置いてありす。
その竹は、縁側の下にまとめて置いてあって、おばあちゃんが洗濯物を干す時に使うのです。
ちいチャンの家には、物干し台はありましたが、角ハンガーの様なものは無く、洗濯物ひとつひとつを、竿(さお)に干すので、竿が足りなくなります。
時には、シーツを何枚も洗ったり、カーテンを洗ったり。
そこで、おばあちゃんは、家の庭にある松の木に、竹をかけて竿にして、洗濯物を干します。
松の木は、庭に3本ありました。
かなり年数が経った松のようで、太くしっかりしています。
おばあちゃんは、手前の松の木から向かい側の松の木に、竹竿をかけます。
たいていは、1本の竹竿をかければ大丈夫です。
でも、雨の日が続いて洗濯物が多くなった時は、竹竿は2本、3本と、松の木にかけられます。
松と松の間は、距離があって、竹竿の長さもかなり長いです。
だから、竹竿をかける時も取り外す時も、大変です。
一気に上から下へと取り外せないので、竹竿の片方を松の木から抜いて、下に下し、それから竹竿のもう片方を取り外します。
かける時も同じです。
おばあちゃんは、時々、竹竿に布団を干します。
それで、竹竿は、使っている内に、弓のように曲がってしまいます。
最初の内は、曲がった方を上にして真っ直ぐに戻そうと、洗濯物を干しますが、だんだん曲がるカーブが大きくなると、曲がった面を上にしても、クルン!と元に戻ってしまいます。
そして、竹もだんだん黄色っぽくなり、ひびが入って来ます。
そうなってくると、手をケガしたりして危ないので、新しい竹に取り換えます。
ちいチャンの家は海辺の近くですが、家の後は山になっていて、竹林があります。
おばあちゃんは、近所の大工さんに頼んで、竹を切って来てもらいます。
古い竹竿と新しい竹竿の入れ変えは、ちいチャンは見た事がありません。
(古い竹竿は、どこに行ったのかなぁ。)
と、新しい竹竿を見るたびに、ちいチャンは思います。
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ちいチャン物語(20)「ハエたたき」

2022年02月22日 19時27分58秒 | 日記
ちいチャンの家の茶の間には、テレビがあって、その隣は出窓になっています。
出窓には、おばあちゃんのお薬や、チリ紙、新聞紙、メガネなど、日常すぐに使うものが置いてありました。
その中のひとつに、「ハエたたき」があります。
ハエたたきは、先端が野球のベースの形をしていて、10センチ位の大きさです。
そして、ザルのように穴が空いています。
素材もザルと同じようです。
そして、そのベースの形をした所の下に、持つ所があり、それは30センチ位の長さでした。
おばあちゃんの座る場所は、出窓の前になっているので、ハエたたきは、いつもおばあちゃんの手の届く所にありました。
ちいチャンの家は、玄関も窓も全部開けっぱなしで、網戸が付いている窓は、数か所だけです。
だから、時々ハエが入って来ます。
テーブルに止まったり、蛍光灯の紐に止まったり、テレビに止まったり、そこら中どこにでも止まります。
すると、おばあちゃんは、そお~っと、ハエたたきに手を延ばし、目にも止まらぬ早さで、パシーン!!と、ハエをたたきます。
おばあちゃんが、出窓から少し離れた所にいて、ハエたたきに手が届かない時は、そばにある新聞紙を、しずか~に、クルクルっと丸め、バシッ!とハエをたたきます。
おばあちゃんは、空中を飛んでいるハエも、パシーン!とたたきます。
でも、空中を飛んでいるハエは、たたいた瞬間に、何処へ落ちるのかわからないので、食べ物がテーブルにある時には、気を付けなければいけません。
(う~ん、おばあちゃんって、すごい!)
と、ちいチャンは、思います。
ちいチャンも、ハエを見つけると、おばあちゃんのマネをして、新聞紙をクルクルっと丸め、エイッ!とたたきますが、たいていは逃げられてしまいます。
でも、ちいチャンは、ハエが逃げてくれた方がいいと思います。
つぶされたハエは、血が出たりして、チョット気持ちが悪いからです。
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ちいチャン物語(19)「おじいちゃんのそろばん」

2022年02月21日 19時41分26秒 | 日記
ちいチャンの家には、書斎と呼ばれる部屋がありました。
障子(しょうじ)と襖(ふすま)と押入れに囲まれていて、下は畳です。
その部屋に、ちょっと大きな机が置いてあります。
その机の両側には、引き出しが何段がついていて、机の真ん中には、大きな引き出しが付いていました。
大きな引き出しを開けるとすぐに、そろばんが目につきます。
そろばんは、黒っぽい茶色をしていて、少し重いです。
そろばんの玉は、木の線を境にして、上にひとつ、下に5つで、6個付いていました。
おばあちゃんは、
「下の玉ひとつずつが1円で、上の玉が5円と数えるんだよ。」
と、教えてくれました。
そして、
「下の玉5つと上の玉ひとつが合わさると、10円になるから、左側の下の玉をひとつ上に上げて、右側の玉は全部、もとに戻すんだよ。左の玉は、ひとつが10円だからね。」
と、言いました。
(5円玉ひとつと1円玉5つで、10円。)
なんだか面白くて、1円、2円、3円、と玉をひとつずつ上に上げて、5つ上げ終わったら、5円玉を下して1円玉を全部下します。
そして、10円になったら左の玉を上げて...10円!
そろばんは、ちいチャンのオモチャになってしまいました。
そろばんは、振るとカシャカシャと音がして、楽器のようです。
タンッ!と机の上に置いて、人差し指でシャッー!と5円玉を上げるのがいい気持ちです。
しばらくして、ちいちゃんの家に、新しいそろばんがやってきました。
新しいそろばんは、5円玉はひとつでしたが゛、1円玉は4つしか付いていませんでした。
(5円玉ひとつで5円、1円玉4つで4円、たしたら9円にしかならない。10円玉を上げられない。10円に1円たりないなぁ。)
と、ちいチャンは思いました。
(やっぱり、おじいちゃんのそろばんがいい!)
ちいチャンが手にするのは、やっぱりいつも、おじいちゃんのそろばんでした。
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ちいチャン物語(18)「ちいチャン町のバスの運転手さん」

2022年02月19日 18時17分02秒 | 日記
ちいチャンの町のバスは、運転席の前方が前に突き出ています。
横から見ると、顔のようにも見えます。
後ろから白い煙を吐いて、ガタガタガタガタじゃりの道を走ります。
途中、バス停に向かって歩いている人が、バス停に着くのが間に合わずに、思わずバスに向かって、手を上げてしまう時があります。
そんな時、運転手さんは、その人の側でバスを止め、入口を開けて乗せてくれます。
「いやあ、どうも、どうも、行かれてしまうかと思ったよ。」
そう言いながら、運転手さんにおじぎをして、ハンカチで汗をふきながら、その人は座席に座ります。
それからまた別の日、バスが発車した後で、後ろから小走りで追いかけて来る人がいたりすると、運転手さんはすぐに気が付いて、バスを止めて待っていてくれます。
ガタガタガタガタ海岸沿いの山道を走っていると、途中で山から下りて来た子供たちに出会います。
手には、本日の収穫「アケビ」を持っています。
運転手さんは、子供たちの横でバスを止めると、
「おー!いっぱい採ってきたなあー!俺にひとつくれ!」
と、窓を開けて言いました。
子供たちの一人が、小枝についてる「アケビ」をひとつ、ちょっとはにかみながら、運転手さんにあげました。
「ありがとな!」
運転手さんは、お礼を言うと、またバスを走らせます。
運転席の横で、枝の付いた「アケビ」は、バスが揺れるたびに、小さく揺れいました。
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ちいチャン物語(17)「怖いトイレ」

2022年02月17日 19時27分38秒 | 日記
ちいチャンの家のトイレは、家の外にあって、外のお風呂と屋根でつながって
います。
トイレは、女性用が二つと男性用がひとつで、男性用のトイレは、タイルで出
来た壁に、白い便器が付いていました。
女性用のトイレは、男性用トイレの隣に、一つずつの個室になっていて、一段高くなっています。
そして、中には陶器で出来た便器が付いています。
便器は、床をくり抜いた穴にはめ込んだ形になっていて、底面がありません。
ちいチャンの家のトイレは汲み取り式です。
便器から下をのぞくと、深さは2.5メートルぐらいあります。
便器は、しゃがんで手でしがみ付く所以外は空洞なので、人が一人すっぽりと
入ってしまいそうです。
ちいチャンは、トイレに行くたびに、
(ドボ~ン!と下に落ちたらどうしよう?)
と、ヒヤヒヤします。
便器のまわりの床は板張りで、キシッキシッと音がして、板が抜けそうな気も
します。
(板が腐れて、踏み外したらどうしよう?)
と、ドキドキします。
いつも、いつも、ヒヤヒヤします。
いつも、いつも、ドキドキします。
便器は取り外す事も出来て、時々、おばあちゃんは便器をトイレから外して
、トイレ用のタワシでゴシゴシと洗います。
便器は陶器なので、外すのはとても重そうです。
でも、便器を外されたトイレは、もっと怖くなります。
なぜって、つかまる所が何も無い、ただの穴がそこにあるからです。
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ちいチャン物語(16)「メダカ採り」

2022年02月16日 18時35分25秒 | 日記
ちいチャンの家の近くに、海に流れ込む川があります。
川の幅は、3~5メートルぐらいで、深さは、膝から腰ぐらいです。
流れはゆるやかで、川底の石が見えるほど透きとおっています。
その川にはメダカがたくさんいて、足を踏み入れるとパアッ!と散って逃げます。
ちいチャンは、バケツとザルを持って、メダカ採りをします。
この川のメダカは、のんびりやさんで、ちいチャンがザルで川の水をすくうだけで、簡単にザルの中に入ってしまいます。
でも、ザルに入るのは数匹で、やっぱりたくさん採りたいと、ちいチャンは思います。
そこで、ちいチャンは、ザルを手に持って水に沈め、メダカがザルの上を通るのを、ジッと待ちます。
メダカの集団が、ザルの上を通ったら、ザバッ!とザルを持ち上げると、うまく行けば、たくさんのメダカが採れます。
そして、川の水を汲んでおいたバケツの中に離します。
バケツにメダカを離す時は、手で入れずに、ザルごとバケツの水に沈め、ザルから離れて泳ぐのを、見届けます。
メダカは、バケツの中で元気に泳ぎます。
男の子たちは、小さいメダカだけではつまらないようで、もっと大きな魚を採るのにチャレンジをします。
それは「かじか」と言って5~10㎝ぐらいの魚です。
「かじか」は、川の石の下に潜んでいたりする様で、男の子たちはよく石をひっくり返して探していました。
「かじか」は、メダカほどのんびりはしていなくて、石をどけられると、すごい速さで逃げます。
「かじか」を採るのにはコツがあって、まず、「かじか」の逃げ込んだ石を見つけ、その石の前に、しずか~にザルを差し込み、えいっ!と石をどけます。
隠れ場所を失った「かじか」が、慌てて飛び出してザルの中に入るのを見届けて、今だ!とばかりに、ザルを引き上げます。
でも、「かじか」の泳ぐ方向を間違えると、ザルの中には、石の下の砂やゴミが入るだけでした。
ちいチャンも、何度か「かじか」採りにチャレンジしてみましたが、一度も採る事ができませんでした。
ちいチャンは、採ったメダカは帰りには、川に離してあげました。
この川は、ちいチャンの大自然の水槽なのでしょう。
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ちいチャン物語(15)「木の冷蔵庫」

2022年02月15日 18時47分14秒 | 日記
ちいチャンの家には、冷蔵庫がありますが、全体が木で出来ているのです。
中を開けると、内側は金属でおおわれていて、四角い大きな氷が入っています。
ちいチャンの町には、「氷屋さん」というお店があって、それは、魚屋さんが
やっていたりもするのですが、電話で氷を注文をすると、大きな氷を持ってやって来て、お客さんの家で、注文の大きさに切ってくれます。
おばあちゃんは、氷の重さを、「一貫目」とか「二貫目」とか言っていましたが、それはたぶん1㎏とか2㎏の事なのだと、ちいチャンは思いました。
氷屋さんは、大きなのこぎりを持って来て、シャリ!シャリ!シャリ!っと、氷を、注文の大きさに切ってくれます。
氷を切ると、氷のクズが雪のようにこぼれ落ちます。
(キレイ!)
ちいチャンは、思いました。
でも氷のクズは、すぐに溶けて水になってしまいます。
おばあちゃんは、四角い固まりに切ってもらった氷を、木の冷蔵庫に入れます。
そして、氷の上にはお魚を乗せ、パタン!と扉を閉めました。

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ちいチャン物語(14)「土間の薪」

2022年02月14日 19時15分31秒 | 日記
ちいチャンの家の台所の土間には、ちいチャンの背丈よりも高く、薪(まき)が積んであります。
これは、お風呂を焚(た)く時の為の薪です。
ちいチャンの家のお風呂は、家の外にあって、お風呂の外には、お風呂を沸かす焚き口がありました。
地面より少し低くなっていて、下に向かって階段が2つ付いています。
おばあちゃんは、夕方になると、毎日そのたき口にしゃがんで、お風呂を沸かします。
たき口の扉は鉄で出来ていて、側には、熱くなった扉を開ける為の、鉄の棒が置いてありました。
おばあちゃんは、たき口の扉を開けて、新聞紙をクシャクシャっと丸めて入れ、お弁当箱みたいに大きいマッチ箱から、マッチを取り出して、シュッ!と擦(す)ります。
マッチは、シュウウウと音を出して、小さく燃えます。
その火を新聞紙に移し、火が付いた所で薪を入れます。
ちいチャンは、火の燃える様子が面白くて、おばあちゃんがお風呂を沸かすのを、いつも見ていました。
「ちいチャンも、やりたい!」
ちいチャンは、おばあちゃんに言いました。
すると、おばあちゃんは、
「小さい子が火をいじると、おねしょをするよ。」
と、言いました。
ちいチャンは、もう、おねしょはしない年になっていたので、
(おねしょをしたら恥ずかしい。)
と、思いました。
だから、やっぱり見ているだけにする事にしました。
お風呂を沸かしたたき口の下は、翌朝になると灰がたくさん溜まっています。
おばあちゃんは、灰をスコップのような物で取り出すと、水をかけます。
火は消えていますが、用心に用心です。
そして、その灰は、植木の肥料になるようでした。
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ちいチャン物語(13)「馬のフン」

2022年02月13日 18時52分03秒 | 日記
ちいチャンが小さい頃、道路を馬が歩いていました。
馬には、手綱を持って、付き添って歩いている人がいます。
馬は、本当にパッカパッカと音をたてて歩きます。
カポンカポン、という音にも聞こえます。
馬の後を後ろから歩いていると、突然の出来事に見舞われる時があります。
馬は、シッポをひょい!と上に持ち上げると、ボトボトボトとフンをするのです。
話に夢中になって歩いていると、出来立てのフンをグニャっと踏んでしまう危険があります。
出来立てのフンは、ホカホカと湯気が出ています。
子供たちの間では、
"馬のフンを踏むと背が伸びる"
とされていて、背の低いちいチャンは、馬のフンを踏む事にチャレンジしよう、と思っていました。
でも、ホカホカのフンはフニャフニャで、大量で、靴が汚れてしまいそうです。
ちいチャンは女の子だから、
(フンだらけの靴はイヤだなあ...。)
と、思いました。
馬のフンは、日にちが立つと、干からびたワラの固まりみたいになって、ちいチャンは、
(乾いたフンなら踏める!)
と、思いました。
そこで、乾いたフンの上を歩いてみました。
乾いたフンは、枯草の上を歩いているみたいで、靴も汚れませんでした。
(背、大きくなるぞ!)
ちいチャンは、ちょっぴり嬉しくなりました。
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ちいチャン物語(12)「海に浮かぶ飛び込み台」

2022年02月12日 19時36分38秒 | 日記
ちいチャンの町には、海水浴場があります。
海水浴場は、海岸の真ん中へんにあって、泳げる範囲を浮きで囲ってあり、少し沖合いには、木で作られた「飛び込み台」がありました。
飛び込み台は、いかだにコタツを乗せたような形をしていて、はしごのような階段がついていました。
飛び込み台のてっぺんは、座ったり、寝そべったりできるように、板張りになっています。
飛び込み台は、少し沖合いにあるので、そこへたどり着く途中に、休憩をする為の丸太が浮かんでいます。
それは、両端をロープでくくり、重しで流されないように安定されています。
プカッ、プカッと浮いています。
子供たちの泳ぎには、段階があるようです。
あまり泳げない子供たちは、波打ち際で走ったり、水をかけあったり、泳ぎの真似をしてみたり。
少し泳げる子供たちは、休憩の丸太を目指します。
素泳ぎだったり、浮き袋を片手に持って泳いだり。
浮き袋を持つのは、丸太にたどり着く前に疲れてしまったら、つかまって休むためです。
泳ぎに自信のある子供たちや大人は、一直線に飛び込み台を目指します。
早い!早い!白い波しぶきをあげて、見る間に飛び込み台にたどり着きます。
飛び込み台まで泳げた人は、たいてい階段を上り、海めがけて飛び込みます。
ずう~んともぐって、ぷはっ!と海面に顔を出します。
時には、浮き袋で泳いでたどり着いた子供が、浮き袋のまま飛び込み台からジャンプして、自分の身体だけがすっぽりと浮き袋から抜けて、沈んでしまったりする子供がいます。
「おい!浮かんでこないぞ!」
飛び込み台の上で、誰かが言います。
飛び込み台の上は、勇者がたくさんいるので、何人かで飛び込んで、沈んだ子供を引き上げます。
ちょっと恐いこんな出来事も、ちいチャンが小さい頃は、笑い話ですむ出来事のようでした。
ちいチャンも、波打ち際の泳ぎから、丸太まで、そして、飛び込み台まで、と泳げるようになって行くのでした。
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ちいチャン物語(11)「おばあちゃんのミシン」

2022年02月11日 18時55分11秒 | 日記
ちいチャンの家には、ミシンがあります。
ミシンは机のようになっていて、イスに腰かけると足を乗せる所が、四角になっています。
その四角い足のせ台を前後に踏むと、ミシンが動くのです。
足のせ台を踏む前に、ミシンの右側にある丸いドーナッツみたいなものを、手前にクルッ!と回さなければいけません。
ミシンには、自転車のタイヤのようなものが付いていて、そこにベルトが掛けてあります。
ベルトは、丸いドーナッツみたいなものにつながっていて、おばあちゃんがミシンを踏むと、グルグル回ります。
時々、そのベルトは外れたりするので、おばあちゃんは、掛け直すのが大変です。
そのベルトは、びろ~んとのびてる時があって、その時はベルトの交換です。
ある日、おばあちゃんは、大きな巻物のような布を、部屋の奥から出して来ました。
布の端を持って、巻物をころがし、何枚かの大きな布に切り分けました。
それから、ミシンでカタカタと縫い始めました。
(何を作るのかなぁ。)
ちいチャンは、おばあちゃんのミシンの側で、おばあちゃんが何かを作っているのを見ていました。
おばあちゃんのミシンは、朝から始まり、昼が過ぎ、夕方までかかりました。
何枚かの大きな布、それは、縁側のカーテンでした。
おばあちゃんは、踏み台に上がると、1枚1枚取り付け始めました。
新しいカーテンです。
縁側は、ずうっーと長いので、カーテンが何枚も必要です。
それから長さも、長く必要です。
おばあちゃんは、両開きにはしないで、柱から柱までを1枚、柱から柱までを1枚、と、作りました。
これは、カーテンを開けたり閉めたりするのに、とても便利でした。
閉める時、カーテンを持って、ずんずんずんと縁側を歩きます。
すると、ふたつめのカーテンにたどり着き、またそのカーテンを持って、ずんずんずんと歩きます。
朝、カーテンを開ける時は、一番奥から開けて行きます。
閉めた時と、反対方向へ歩きながらカーテンを開けて行きます。
すると、ふたつめのカーテンがそこにあるので、カーテンの端を持って、また開けて行きます。
新しいカーテンが嬉しくて、ちいチャンは、カーテンの裏へまわると、モコモコモコとカニさん歩きをしました。
カーテンは、新しい布の匂いがしました。
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ちいチャン物語(10)「夢中になってしまう場所」

2022年02月10日 19時03分03秒 | 日記
ちいチャンの家の近くに、床屋さんがあります。
おじいちゃんは1ヶ月に1度、床屋さんに行きます。
ちいチャンは、おじいちゃんと一緒に床屋さんに行って、待っているのが好きです。
なぜって、床屋さんには、たくさんの本があるからです。
男の子用の漫画の本、女の子用の漫画の本。
漫画が大好きなちいチャンは、おじいちゃんと床屋さんのおじさんが、話をしているのも聞こえないほど、夢中になって読んでいます。
おじいちゃんが床屋を終わって帰る時、
「ちいチャン、帰るよ!」
おじいちゃんが声をかけても、ちいチャンには聞こえません。
おじいちゃんは、床屋さんのおじさんに、小声で聞きます。
「(ちいチャンを)置いて行ってもいいかい?」
床屋さんのおじさんは、
「いいですよ。」
微笑みながら答えます。
ちいちゃんは、お店の中に人がだ~れもいなくなっても、気が付きません。
気が付いたのは、太陽が西の空に沈みかけた頃でした。
「おじさ~ん!帰るから~!」
と、ちいチャンは大きな声で言いました。
「気をつけてなー!」
床屋さんのおじさんが言いました。
ガラガラガラッ、床屋さんの入口の戸を開けて、ちいチャンは走り出します。
夕焼けが、ちいチャンの顔を赤く染めます。
(明日、漫画のつづきを読ませてもらおうかなぁ。)
まだまだ読み足りない、ちいチャンでした。
翌日、
「漫画みせてくーださーい!」
床屋さんの入り口には、ちいチャンの姿がありました。
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