ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(130)「ハモをさばくおばあちゃん」

2014年02月28日 21時08分10秒 | 日記
朝、おばあちゃんが桟橋から帰って来ました。
手には金属のボールを持っています。
中にはなんだかにゅるにゅる動く魚が入っています。
それは、“ハモ”という魚のようでした。
“ハモ”は、ボールの中でヘビのようにカーブを描いて動きます。
おばあちゃんは、木のまな板と千枚通しを用意すると、“ハモ”の頭を
千枚通しで固定しました。
包丁で頭の方からしっぽにかけてまっすぐに切り込みを入れます。
そして頭から尻尾にかけて、骨だけを切り落としました。
ちいチャンは、おばあちゃんの技はすごいなと思います。
夕方、おばあちゃんは朝にさばいたハモを、砂糖と醤油で煮ました。
この日の夕ご飯は、ハモ丼です。
ちいチャンは、ハモ丼が大好きです。
大きくなってウナギ丼を初めて食べた時、ちいチャンは、ハモ丼を思い
出したのでした。
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ちいチャン物語(129)「寝押し」

2014年02月27日 20時32分41秒 | 日記
ちいチャンは、ひだのたくさんあるスカートを履いていました。
夜、おばあちゃんは、ちいチャンのスカートを畳に置きひだを揃えています。
そして、その上に日本手ぬぐいをかけ、ちいチャンの敷布団を敷きました。
今夜は、ちいチャンは敷布団の下にスカートを敷いて寝ます。
翌朝、布団を上げると、スカートのひだはアイロンをかけた様に、折り目正しく
揃っていました。
おばあちゃんは、これを、
「寝押しと言うんだよ。」
と言いました。
ズボンプレッサーがまだ無かった頃、おじいちゃんのズボンも「寝押し」をされて
いました。
おじいちゃんやおばあちゃんの布団の下では、寝押しができません。
体重の重い人の布団の下にズボンを敷くと、翌朝、ズボンに畳の網目の跡が付
いてしまいます。
「ちいチャン、布団を貸してね。」
と、おばあちゃんは、ちいチャンの布団でいつも「寝押し」をします。
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ちいチャン物語(128)「蛇の目傘」

2014年02月26日 17時16分10秒 | 日記
ちいチャンが小さい頃、家には2種類の傘がありました。
布の傘と紙の傘です。
紙の傘は、蛇の目傘と名前がついていました。
蛇の目傘は、骨が竹で出来ていて、その上には紙が貼ってあります。
紙の上は、なにか雨がはじくような工夫がされているようでした。
傘は、玄関に置く時は、持ち手を下にして置きます。
濡れた時は、開いて干して乾かします。
ちいチャンは、蛇の目傘って、なんだか油っぽいような気がします。
蛇の目傘は、古くなってくると、骨と骨の間が破けてきます。
蛇の目傘は重いので、両手で持ったり肩にのせたりしてさします。
近所に折り紙の好きなおばさんがいました。
おばさんの家のテレビの上には、小さな蛇の目傘が飾ってありました。
おばさんは、おじさんが吸ったタバコの空き箱で、蛇の目傘を折ったの
だと言いました。
とてもかわいい、素敵な傘です。
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ちいチャン物語(127)「鳴きの悪いカラス」

2014年02月25日 12時06分43秒 | 日記
ちいチャンの家の裏は、山です。
夕方になると、カアカアとカラスが山の中へ消えて行きます。
ある昼下がり、ちいチャンの家の近くの電信柱のてっぺんで、カラスが
ガアガア、ガアガアと鳴いていました。
おばあちゃんは、
「カラスの鳴きが悪いな。」
と、言いました。
「カラスの鳴きが悪いの?」
と、ちいチヤンは聞きました。
カラスの鳴きが悪いと、何日かの内に亡くなる人が出るのだと、おばあ
ちゃんは言いました。
そして、そう言ったおばあちゃんの顔は、少し暗くなりました。
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ちいチャン物語(126)「おじいちゃんが仕事に行く朝・その3」

2014年02月24日 16時21分09秒 | 日記
おじいちゃんは、仕事に出かける時はいつも、白いワイシャツにネクタイ、
そして、スーツです。
玄関には、毎朝ピカピカの黒い靴が揃えてありました。
その靴は、毎朝、おばあちゃんが磨いています。
瓶に入った黒い靴墨を布に付け、靴全体に塗ってのばします。
それから、別の布で拭き取って、靴用ブラシでシャカシャカ、シャカシャカ
何度でも、つやが出るまで磨きます。
おばあちゃんの指は、靴墨で真っ黒になります。
ときどきは、ちいチャンもマネをして磨いてみます。
でも、おばあちゃんの様には、ピッカピッカにはなりません。
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ちいチャン物語(125)「台所大改造」~メッセージforみー~

2014年02月23日 20時19分40秒 | 日記
ある日の事でした。
ちいチャンが外から帰って来ると、家の中に大工さんがいました。
大工さんは、台所の床に何かを貼っています。
それは、“ビータイル”というもののようでした。
ちいチャンは、“ビータイル”がめずらしくて、大工さんの仕事をじっと見つ
めています。
見渡すと、台所にはタイルの流しがなくなっていて、ピカピカのシンクの流
しが置いてありました。
水道の蛇口も付いています。
見渡すと、釜戸と水がめは取り外され、その分床が広くなっています。
そして、広くなった床の上には“ビータイル”が貼られ、ガス台が置かれて
います。
バーナーのコンロも外されました。
ちいチャンの家の台所の大改造です。
床が板ではなくなったので、ちいチャンは、なんだか外国の台所を見てい
るような気がしました。
“ビータイル”床になってから、床の掃除は雑巾からモップに変わり、水から
ワックスに変わりました。
毎日の掃除が、ちょっと楽になりました。
おばあちゃんも嬉しそうです。
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ちいチャン物語3月終了のお知らせ

2014年02月22日 19時51分43秒 | 日記
~ちいチャン物語を閲覧してくださっている方へ~

昨年7月から書き始めた「ちいチャン物語」は、3月10日をもって終了の予定です。
短い間でしたが、閲覧をありがとうございました。
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ちいチャン物語(124)「おじいちゃんの家着」

2014年02月22日 19時41分23秒 | 日記
おじいちゃんは、家にいる時は、ラクダのももひきとラクダのシャツを着て
囲炉裏の前に座っています。
冬は、その上に丹前を着ます。
丹前は、着物に綿が入っているような長い物です。
おじいちゃんは、囲炉裏のそばで、タバコをふかします。
時々、キセルに煙草を入れて吸います。
お客様が葉巻をひと箱おみやげにと、持って来た事がありました。
でも、おじいちゃんはあまり好きではないようでした。
ラクダのももひきとラクダのシャツは、夏は半そでの綿シャツとサルマタ
に変わります。
玄関にお客様が見えると、おじいちゃんは奥の部屋にチョット引っ込み、
上に着物を着て出て来ます。
おじいちゃんは、ちょっとオシャレです。
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ちいチャン物語Back number(89)『靴下に穴があく冬』

2014年02月21日 20時36分23秒 | 日記
冬、
ちいチャンが小さかった頃、家にはストーブがありませんでした。
囲炉裏に炭を焚き、暖をとっていました。
ちいチャンの家は、障子(しょうじ)や襖(ふすま)で部屋が仕切られています。
障子の隙間や襖の隙間から、冷たい空気が入って来ます。
ちいチャンは、おぱあちゃんが作ってくれた「綿入れ」を着て、靴下を重ねて履きます。
囲炉裏の赤く燃える炭の近くに足を伸ばし暖めます。
足は、冷たく冷えていて、暖かさも冷たさも感じません。
それで、炭の側に足を近づけすぎて、靴下がチリチリ焼けているのにも気が付きません。
ちいチャンの靴下のほとんどは、親指のあたりが黒く焼けて穴があいています。
おばあちゃんは、メガネをかけて針を持ち、ちいチャンの靴下をつくろいます。
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ちいチャン物語(123)「おじいちゃんが仕事に行く朝・その2」

2014年02月20日 21時37分10秒 | 日記
おじいちゃんの髪は白いです。
おじいちゃんは、髪に“ポマード”というヘアクリームを付けます。
それは、半透明の黄色いクリームです。
仕事に行く日の朝、おじいちゃんはポマードを髪に塗り、くしでとかします。
鏡を見て、髪の右や左を丁寧にとかします。
髪には、くしの跡が付いています。
ポマードは、なんだか油みたいだな、と、ちいチャンは思います。
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ちいチャン物語(122)「蛇口から出る井戸水」

2014年02月19日 20時39分08秒 | 日記
台所の流しがシンクになる前、流しは水がめと同じタイルでした。
水道は、蛇口は付いていますが、水はモーターで井戸からくみあげます。
井戸は、家の一番奥の蔵の脇にあります。
台所の蛇口をひねると、ウイーンとモーターのまわる音がして、蛇口を閉め
ると音が止まります。
ちいチャンは、この音が音楽のようで楽しくなります。
そして、モーターの音がする時は、おばあちゃんは台所で料理をしています。
台所の外には、井戸水をくみ上げる手押しのポンプがあります。
手押しの部分を上下に動かして水を出します。
時々、水が出ないことがあります。
その時は、ポンプの上にコップ1杯ぐらいの水を入れ、水が出るまで動かします。
井戸の水はひんやり冷たく、夏にはこの水でスイカを丸ごと冷やします。
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ちいチャン物語(121)「おじいちゃんが仕事に行く朝」

2014年02月18日 20時47分44秒 | 日記
おじいちゃんは、仕事に行く時は、真っ白なワイシャツを着ます。
おじいちゃんのワイシャツには、手首の所にボタンがありません。
そして、ボタンの代わりにボタンの穴が付いています。
おじいちゃんは、その穴に、四角だったりひし形だったりするボタンのようなもの
を付けて、止めます。
それは、カフスボタンと言うのだそうで、それぞれが四角い箱に入っていました。
ワイシャツを着たら、ネクタイを締め、背広を着て、おばあちゃんが磨いた革靴
を履きます。
おばあちゃんは、仏壇の引き出しから“火打石”を持って来て、おじいちゃんに
向けて、「カチッカチッ」と、火打石を鳴らします。
火打石は、見ていると、石と石がぶつかった時に、火花が散ります。
ちいチャンは、それがチョット面白いです。
おじいちゃんが仕事に行く時の、いつもの朝の光景です。
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ちいチャン物語Back number(88)「おばあちゃんの漬物が好きなオバちゃん」

2014年02月17日 21時07分37秒 | 日記

おばあちゃんは、漬物を漬けるのが上手です。
ナス漬け、白菜漬け、古漬け、浅漬け、梅干し、らっきょう、たくわん漬け。
季節ごとに、おばあちゃんは漬物を漬けます。
漬物は、台所とつながっている物置に置いてあります。
大きな樽に重そうな石が何個も乗せてあります。
ちいチャンは、おばあちゃんの漬物が大好きです。
おばあちゃんは、近所の人がお茶を飲みに来ると、必ず漬物を出します。
ちいチャンの町での、お茶受けは、煮物、漬物、お茶菓子です。
その家その家の、得意な料理や漬物が出て来ます。
おばあちゃんの漬物が食べたくて、お茶を飲みに来るオバちゃんがいました。
オバちゃんは、おばあちゃんを「ばっぱ」と呼びます。
オバちゃんは、おばあちゃんの漬けた漬物を食べながら、
「ばっぱの漬けた漬物は、おいしいね。」
と、言います。
オバちゃんは、他に出された煮物やお茶菓子には、手を出しません。
ある日、オバちゃんは、漬物どんぶりに出された白菜の漬物を、ぜ~んぶ
たいらげてしまいました。
「いや、いや、全部食べてしまったねぇ。」
と、言いながら、おばあちゃんは嬉しそうでした。
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ちいチャン物語Back number(87)『サンタクロース』

2014年02月16日 19時45分06秒 | 日記
ちいチャンが、ずうっと小さい頃、
クリスマスが近づいたある冬の日、おばあちゃんがちいチャンに聞きました。
「ちいチャンは、サンタさんに何をお願いするんだい?」
ちいチャンは、
「お人形!」
と、答えました。
「ちいチャンは、どんなお人形が欲しいんだい?」
また、おばあちゃんが聞きます。
「あのね、手と足が動くお人形が欲しいの。」
ちいチャンは、答えます。
ちいチャンは、サンタさんが来るのを楽しみに待っていました。
でも、サンタさんが置いて行ってくれたお人形は、
ちいチャンの欲しいお人形とは違うお人形でした。
ちいチャンは、手首や膝やひじ、足首の曲げられるお人形をくださいと、
毎日心の中で、お願いをしていました。
サンタさんが置いて行ったお人形は、腕と足がぐるっと回せるだけのお人形でした。
ちいチャンは、そのお人形を見た時に、
(サンタさんは、ホントはいないんだ・・・。)
と、心の中で思いました。
お友達は、サンタさんがいると思っています。
ちいチャンは、サンタさんはいないんだよ、と思います。
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ちいチャン物語Back number(86)「ちいチャンの町」

2014年02月16日 19時43分00秒 | 日記
ちいチャンの住む海辺の町は、とてものどかです。
そこに住む、おじさんやおばさん、おじいちゃんやおばあちゃん、
子供たちは、明るいです。
こまかい事は、あまり気にもせず、カラカラっと笑い飛ばしてしまいます。
毎日のように、ちいチャンの家へ、近所の人がお茶を飲みに来ます。
おばあちゃんも、近所の家にお茶を飲みに行きます。
そんな時、鍵などかけず、玄関は開けたままです。
縁側も、開けたままです。
時々、玄関に野菜が置いてあります。
台所に、ボールに入った魚が置いてあります。
海の見える、のんびりのどかな町です。
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