ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

Play back ちいチャン物語(45)柱時計とおじいちゃん

2016年12月30日 20時29分13秒 | 日記

玄関を入ってすぐの部屋の壁に、柱時計がありました。

おじいちゃんは、時々、この柱時計のネジを巻きます。

家のどこからかネジ巻きのネジを持って来て、踏み台に上がり、ガラスの扉を開けて、

ジーコジーコとゆっくりとネジを巻きます。

そして、

「今、何分だ?」

と、おばあちゃんに聞きます。

おばあちゃんが、小さな時計を見て時間を言うと、おじいちゃんは、時計の針に手を

当てて時間を合わせます。

時には、時計の針をぐるっと回し、ボーン!ボーン!ボーン!と音を出させる時もあ

ります。

そして、振り子を軽く動かし、ガラスの扉を閉めます。

柱時計のネジ巻きは、おじいちゃんしか知らないらしく、おじいちゃんだけの仕事で

した。

柱時計は、30分には1回ボーン!と鳴ります。

それから、時間になるとその回数だけ、ボーン!ボーン!と鳴ります。

振り子は、右にコッチン!左に、コッチン!と音をさせています。

コッチン!コッチン!コッチン!コッチン!

振り子の音は、おじいちゃんの眠気を誘います。

おじいちゃんは、ひじ掛けみたいな枕に頭を乗せると、いびきをかき始めました。

柱時計とおじいちゃんの、のどかな昼下がりの光景です。

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Play back ちいチャン物語(44)少し恥ずかしい

2016年12月29日 16時00分26秒 | 日記

おばあちゃんは、ブラジャーの事を、“ちちバンド”と言います。

(昔の人だから、仕方がないのかなぁ。)

と、ちいチャンは思いますが、少し恥ずかしいです。

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Play back ちいチャン物語(43)お化粧の境界線

2016年12月28日 20時33分03秒 | 日記

ちいチャンは、近所のオバちゃんに会いました。

オバちゃんは、いつもは真っ黒に日焼けした顔をしています。

今日は、白くお化粧をしています。

唇には、赤い口紅をしています。

「あら!ちいチャン、こんにちは!」

そう言うとオバちゃんは、いそいそと通り過ぎて行きました。

ちいチャンは、お化粧をしている女の人を見ると、いつも思います。

(どうして顔だけお化粧なのかなぁ。)

ここから顔、ここから首、みたいに別れているのが、どうしても不思議です。

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Play back ちいチャン物語(42)障子の開け方

2016年12月27日 18時41分38秒 | 日記

おじいちゃんに、お客様が見えています。

ちいチャンは、おばあちゃんに頼まれて、お客様にお茶を持って行きます。

お盆に、茶托とお茶の入った湯飲み茶碗、そして、お茶受けのお菓子と漬物

が乗っています。

お盆を持ったら、ちょっと重いです。

おじいちゃんのいる部屋へ行こうとしたら、障子が閉まっています。

ちいチャンは、両手でお盆を持ったまま、障子を開けられないので、右足で

ヒョイと障子を開けました。

そうしたら、お客様がこちらを向いて座っていて、少し驚いた風でした。

でも、お客様はお客様なので、作り笑いをしながら、

「こんにちは。」

と言いました。

おじいちゃんは、お客様の方を向いていたので、ちいチャンがどうやって障

子を開けたのかはわかりません。

ちいチャンは、お客様にお茶を出して、

「こんにちは。」

と、両手をついておじぎをしました。

おじいちゃんは、ニコニコしています。

ちいチャンが、おばあちゃんの所へ戻ると、

「ちいチャン!足で障子を開ける人がいますか!」

と、怒られてしまいました。

「両手がふさがってたんだもの。」

と、ちいチャンが言うと、おばあちゃんは、

「両手がふさがっていたら、お盆を下に置いて、座って障子を開けるもので

すよ。」

と、言いました。

(あー、そうか!)

女性の楚々とした仕草を、学んだちいチャンでした。

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Play back ちいチャン物語(41)ちいチャンちの白黒テレビ

2016年12月26日 22時07分32秒 | 日記

ちいチャンの家のテレビは白黒で、画面はプラスチックのカバーでおおわれてい

ます。

テレビを見ない時は、垂れ幕のように、テレビに布が掛けてあります。

画面の右下には、チャンネルを選ぶつまみがあって、それを右や左に回して、チ

ャンネルの数字に合わせます。

テレビは時々、電波の具合が悪くなるらしく、ニュースを見ている途中で何も映

らないグレーの画面になる時があります。

そうすると、

「しばらくお待ちください」

という文字が、画面に映し出され、画面がもとに戻ると、アナウンサーの人が、

「ただ今、画面が中断致しました。お詫び申し上げます。」

と言って、深々と頭を下げます。

そうすると、おじいちゃんやおばあちゃんは、

「どういたしまして。」

と、テレビに向かって深々と、おじぎをします。

画面は時々、コマ送りの様に同じ画面が、上に上がって行っては下から出て来て、

また上に上がって行っては下から出て来てを繰り返す事があります。

「映りが悪いな。」

おじいちゃんが言います。

そして、画面は時々、映っている人の顔が、斜めにビロ~ンと伸びる時がありま

す。

きれいな女優さんや、かっこいい歌手の人も、宇宙人の様な顔になってしまいま

す。

そんな画面の時には、画面も揺れたりするので、

「映りが悪いな。」

おじいちゃんが言います。

だから、画面の多少のざらつきは、映りがいい方です。

画面のコマ送りが続いたり、宇宙人顔が続いたりすると、おばあちゃんはテレビ

の横を、手の平で、バンッ!と叩きます。

すると、なぜだか、画面は、ちゃんとした画面に戻るのでした。

 

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Play back ちいチャン物語(40)トンビが油揚げを見つけたの?

2016年12月24日 18時27分05秒 | 日記

空は、ずうーっとずうーっと遠く高く、

波は、ささやくように静かです。

山からは、聞き覚えのある鳥の鳴き声が、景色に溶け込んでいます。

空高く頭上でトンビが、ピーヒョロロピーヒョロロと鳴きながら、くるくる

くるくる回っています。

「油揚げを見つけたな。」

おばあちゃんが言いました。

ちいチャンの頭の中には、油揚げがポッと浮かびましたが、頭の中の油揚げ

は、近所の屋根を渡り、砂浜や海を飛んで、山に消えて行きました。

(トンビが油揚げを見つけたの?)

なんだかよくわからない、ちいチャンでした。

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Play back ちいチャン物語(39)喉につまった糸引き飴

2016年12月23日 20時19分23秒 | 日記

ちいチャンの町には、川沿いに駄菓子屋さんがありました。

バラで売っているキャラメルやお菓子、くじ付きのガム、水あめ、銀紙に包まれた

チョコレート、いぼいぼのコンペイトウ、などなど。

そして、糸引き飴があります。

形は身長の足りない「とんがり帽子」みたいな形をしています。

糸引き飴は、赤や黄色や緑やオレンジ色をしていて、まわりにはザラザラとした白

い砂糖が付いています。

その飴ひとつひとつに、1本の白い糸が付いていて、まとめて束ねてあります。

飴は、大きさの大きいのが当たりで、小さいのはハズレです。

ちいチャンは、お店のおばちゃんにお金を払うと、糸を1本引きます。

ちょっとずつ、ちょっとずつ、クイクイと引っ張ります。

すると、1番大きな飴が、ちいチャンの引く手の方に寄って来ました。

ちいチャン、大当たりです!

「おめでとう!大きい飴が当たったよ!」

そう言うと、おばちゃんは、糸の付いた大きい飴を、ちいチャンに渡してくれまし

た。

大きな赤い飴でした。

ちいチャンは嬉しくて、口に加えてペロンとなめて、糸を引っ張ってポロンと口か

ら出して、赤い飴をながめます。

上を向いて、飴をながめ、吸い込むように口に入れました。

すると、なめ始めたばかりの飴の糸が外れて、飴が勢いよく口の中に入って来まし

た。

ちいチャンは、ちょっと強めに飴を吸い込んだので、飴は喉の奥深くまで入ってし

まいました。

咳をして出そうとしましたが、喉にすっぽりはまってしまって、出てきません。

喉が痛くて苦しいです。

もう一度、咳をしてみます。

飴は、出てきません。

痛くて苦しいので、なめたばかりでもったいないけど、ちいチャンは思いきって、ゴ

クン!と飲んでみました。

飴は、喉の少し奥に移動をしました。

喉を、石の固まりでふさがれているように苦しいです。

(痛い!痛い!痛い!)

ちいチャンは、喉を押さえながら家に帰り、急いでお水を飲みました。

喉は、イガイガして苦しかったけれど、飴だから、だんだんと溶けていって、そのう

ちに苦しくなくなりました。

ちいチャンは、

(初めて大きい飴が当たったのに、もったいなかったなぁ。)

(飴が小さくなるまで、なめてたかったなぁ。)

と、ホッ!としながら、がっかりしました。

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Play back ちいチャン物語(38)怖いかもしれない話

2016年12月22日 18時47分21秒 | 日記

ある夜の事でした。

ちいチャンの家から少し離れた、近所の寝たきりのおじいさんが、危篤になり

ました。

ちいチャンのおじいちゃんとおばあちゃんに会いたがっていたというので、お

じいちゃんとおばあちゃんは、急いで出かけて行きました。

ちいチャンは、ひとりでお留守番をしています。

し~んとしている家の中で、テレビもつけず、何かをする気にもならずに、妙

に落ち着きません。

ちいチャンは、奥の部屋から毛布を出して来て、頭からかぶり、顔だけ出して、

丸まりました。

何時間たったでしょう。

ウトウトとしかけた頃、おじいちゃんとおばあちゃんが小走りで帰って来まし

た。

「ちいチャン!」

おばあちゃんが声をかけます。

なんだか息が切れてる様子です。

慌てて帰って来た、そんな感じもします。

「ん....お・か・えり。」

ちいチャンは、毛布のままムクッと起き上がりました。

おばあちゃんは、近所のおじいさんは亡くなったよ、と言いました。

ずっと後になって、おばあちゃんは、この日の事を話してくれました。

危篤になったおじいさんは、亡くなる直前に意識を取り戻し、はっきりした口

調で、こう言ったそうです。

「今、ちいチャンのとこに行って来たよ。」

と。

おじいちゃんとおばあちゃんは、

(ちいチャンは大丈夫か!)

と、思ったそうです。

それで、おじいさんを見取った後で、おじいちゃんとおばあちゃんは、小走り

で、慌てて家に戻って来たのだという事でした。

毛布にくるまって、動かないちいチャンを見て、

(連れて行かれたか...。)

とも思ったそうです。

この話を聞いたのは、ずっと後になってからの事でしたので、ちいチャンは、

(霊感がないから、おじいさんが来たのは見えなかったナァ。)

と、普通にそう思いました。

でも、なんとなく、なんとなく、なんとなく、とも思います。

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Play back ちいチャン物語(37)ちいチャンの川超え

2016年12月21日 21時07分11秒 | 日記

海に流れ込む川は、海岸を2つに分けるようにして、真ん中を流れています。

流れる川と、おしよせる波とがぶつかりあう場所は、毎日、川幅が違います。

ちいチャンは、家の近くの防波堤の階段から砂浜に降り、川をはさんだ向こう

側の砂浜まで、砂浜を探索するのが日課です。

砂浜は、波が描く足跡が波打ち際まで続いています。

海藻や流木が流れ着いて落ちています。

ツルツルの貝殻やピンクの小さな貝殻、波で削られたガラスの石が落ちていま

す。

ちいチャンには宝箱のような場所です。

ちいチャンは、落ちている棒を手に持って、砂浜に流れ着いた物たちを、ツン

ツンとつつきながら歩きます。

落ちている貝殻を引っくり返して中を見てみたり、海藻を棒の先でヒョイと持

上げて海めがけて投げ入れたり。

そうして川まで来た時に、いつもはジャんプをして渡る川が、その日は少し雰

囲気が違います。

いつもより荒い波で、川幅が広くなっていました。

(今日はジャンプできないな....。)

そこで、ちいチャンは持っていた棒で、棒高跳びのようにジャンプして渡ろう

と思いました。

棒高跳びは、棒を持って走って来てジャンプをしますが、ちいチャンはそんな

事は考えずに、エイッ!と棒を川底に刺して、ジャンプをしました。

棒は、まっすぐに川底に突き刺さり、うねってはくれません。

ちいチャンの身体は、弧を描く様には川を飛び越えられず、ちいチャンは、そ

のまま川にドブン!と落ちてしまいました。

川の中でしりもちをついたまま、ちいチャンは、

(あ~あ、しっぱいだぁ。)

立ち上がると、服はびっしょりで、ずっしりでした。

スカートを、雑巾の様に絞りながら、ちいチャンは家に帰ります。

髪には、白い砂が模様のように付いていました。

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Play back ちいチャン物語(36)ちいチャンの声が大きいわけ

2016年12月20日 17時29分03秒 | 日記

ひろ~い田んぼの真ん中に、ポツンと1軒家が建っています。

その家は、お友達のスーちゃんの家です。

スーちゃんの家は、田んぼの真ん中なので、道路からずっと離れています。

ちいチャンは、スーちゃんと遊ぶ時に、道路からスーチャンの家に向かって、

大きな声でスーちゃんを呼び ます。

両手を口の横にあてて、

「スーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

大きな声で呼びます。

そして、大きく深呼吸をして、もう一度、

「スーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

すると、スーちゃんが玄関から出て来て、手を振ります。

(聞こえたよー!)

の合図です。

ちいチャンは、呼ぶのをやめてスーちゃんの家を見ています。

道路から、豆粒みたいに見えるスーちゃんが、田んぼのの1本道をトコトコと

歩いて来ます。

スーちゃんが玄関から出て来ない時は、ちいチャンは、何度も何度も大きな声

で、スーちゃんの名前を呼びます。

「スーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

田んぼ一面に、ちいチャンの声が響き渡ります。

時々、ちいチャンは、おばあちゃんに、

「ちいチャンは、声が大きいね。」

と、言われます。

ちいチャンは、おばあちゃんに電話がかかって来た時など、受話器を持ったまま、

「おばあちゃーーーーーーーん!!電話だよーーーーーー!!」

と、おばあちゃんを呼びます。

おばあちゃんは何処にいても、ちいチャンの声が聞こえます。

スーちゃんを呼ぶ声が、ちいチャンの発声練習になっていたようです。

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Play back ちいチャン物語(35)バカの3杯汁

2016年12月18日 19時15分18秒 | 日記

お祝い事や、ご先祖様の命日になると、おばあちゃんは「くずかけ汁」を

作ります。

里芋、人参、糸こんにゃく、タケノコ、油揚げ、椎茸、豆麩、豆腐などが

入った醤油味のあんかけ汁です。

たいていは、このくずかけ汁の時には、お赤飯や炊き込みご飯が付きます。

そして、仏壇には、小さなお膳が供えられます。

ちいチャンは、このくずかけ汁が大好きです。

ちいちゃんは、毎朝、台所のトントントンというまな板の音で目を覚ましま

す。

台所から、くずかけ汁の匂いがすると、

(今日は、くずかけ汁だ!)

と、布団の中で嬉しくなります。

元気に飛び起きて、台所をのぞきに行きます。

おばあちゃんは、いつもより大きな鍋で、くずかけ汁を作っています。

そして、

「今日は、ご先祖様の当たり日だからね。」

と、言いました。

朝ご飯を食べながら、ちいチャンは、くずかけ汁をおかわりします。

そして、また、

「おかわり!」

と、お椀を出すと、おばあちゃんが、

「ちいチャン、汁を3杯食べるのは、“バカの3杯汁”って昔から言うんだ

よ。」

と、言いました。

ちいチャンは、しょんぼりとお椀をもとに戻すと、

「いいから、いいから、食べたい時は食べなさい。」

と、おばあちゃんは笑いながら、3杯目のくずかけ汁をお椀によそってくれ

ました。

でも、ちいチャンは、少し恥ずかしかったので、その後は3杯目のおかわり

はしない事にしよう、と心の中で決めました。

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Play back ちいチャン物語(34)漁師さんの魚

2016年12月17日 20時38分40秒 | 日記

朝の明けきらない暗い時間に、漁師さん達は沖へ向かって船を走らせます。

そうして捕った魚を桟橋で、町の人達に売ってくれます。

おばあちゃんは、漁師さんの船が帰って来る時間を見計らって、ボールとザルを持ち、

エプロンのポケットには財布を入れて、いそいそと桟橋に出かけます。

ちいチャンが起きる頃には、おばあちゃんは台所で魚と格闘をしています。

漁師さんが捕って来たばかりの魚は元気がよくて、まな板の上で、ピチピチと跳ねて

、さばくのが大変です。

時々、おばあちゃは指をケガします。

魚は、お刺身になったり、アラ汁になったり、煮魚になったり。

ちいチャンの家では、朝の新鮮な内に刺身にして、朝食に刺身が出ます。

ちいチャンは、

(お刺身おいしいけど、卵焼きとふりかけの朝ご飯がいいなぁ。)

と、思います。

夕食は、魚づくしです。

刺身、焼き魚、アラ汁、見渡すと魚以外のものはタクアンだけだったりする事があり

ます。

そして、おばあちゃんの作るカレーは、魚のカレーです。

目の前の海で漁師さんが捕った、とても贅沢な食事だったという事を知るのは、ちい

チャンが大きくなってからの事でした。

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Play back ちいチャン物語(33)雷は芸術

2016年12月16日 19時12分21秒 | 日記

おじいちゃんは、雷が嫌いです。

おじいちゃんは、雷が恐いてす。

ゴロゴロゴロ!ドドーン!

雷の音が聞こえると、おじいちゃんは動かなくなります。

部屋の真ん中に座って、じいーっとして身動きひとつしなくなります。

おばあちゃんは、ちいチャンの耳元で、小声で言います。

「おじいちゃんはね、雷が恐いんだよ。」

そう言って、軽く目配せをして小さく笑いました。

ちいチャンは、雷がめずらしく、空から落ちる光をキレイだと思います。

ピカッ!っと光る紫や白の蛍光線、そしてその後に続く太鼓のような音。

音と光の芸術だ!と、ちいチャンは思います。

雷は、いつ光るのかわからないので、最初にピカッ!っと光ったら、ちいチャ

ンは窓に駆け寄り外を見ます。

ちょっとビクビク、ちょっとそわそわ、ちょっとドキドキ。

「わあ....。」

(キャー!)

雷を、音と光の芸術だと思っているちいチャン!

手で目かくしをしてしまうのは、なぜでしょうね。

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Play back ちいチャン物語(32)蜘蛛の巣の虫取り網

2016年12月13日 18時31分35秒 | 日記

ちいチャンの町の雑貨屋さんには、夏になると虫かごや虫取り網が店頭に並び

ます。

でも、男の子たちが虫取りに使う網は、手作りだったりします。

針金で、丸い輪っかを作り、竹の棒の先に差し込みます。

そうしたら、軒下や縁の下に、蜘蛛の巣がないか探します。

時には、電信柱と屋根の間などに、大きい蜘蛛の巣があったりします。

その蜘蛛の巣を、丸い輪っかに引っかけて取ります。

上手く行くと丸い輪っかに、蜘蛛の巣がキレイに貼り付きます。

失敗したら、次の蜘蛛の巣を探し、貼り付けます。

そうして出来た虫取り網で、男の子たちは、トンボやセミを取りに行きます。

蜘蛛の巣が昆虫の羽に付くと、昆虫は飛べなくなるようで、そのまま落下しま

す。

ちいチャンは、男の子たちの虫取りを見ていて、落ちたトンボにさわってみま

したが、羽が蜘蛛の巣でベタベタしていました。

きれいな羽は蜘蛛の巣で汚れ、

(かわいそうだなぁ....。)

と、思いました。

男の子たちは、羽に付いた蜘蛛の巣を手で軽く拭いて、虫取りかごにトンボを

入れました。

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Play back ちいチャン物語(31)おばあちゃんの教え

2016年12月12日 18時41分59秒 | 日記

おじいちゃんもおばあちゃんも、爪を切る時には、日差しの明るい縁側で、

新聞紙を広げて切ります。

大きなレンズの老眼鏡をかけて、ダルマバサミというハサミを使って切りま

す。

ダルマバサミは、お裁縫の握りバサミの親分みたいな大きさです。

おじいちゃんとおばあちゃんの爪は、厚みがあって、爪切りでは切れないみ

たいに見えました。

ある夜、

ちいチャンは、爪切りではなくてダルマバサミで爪を切ろうと思い、新聞紙

を用意して、広げようとしました。

すると、おばあちゃんが、

「ちいチャン、夜に爪を切るもんじゃないんだよ。」

と、言います。

「どうして?」

と、ちいチャンは、おばあちゃんに聞きました。

「夜に爪を切るとな、゛親の死に目に会えない゜と、昔から言われているん

だよ。」

と、おばあちゃんは言いました。

ちいチャンは、

(親の死に目には会いたくないけど、会えないのはイヤだ。)

と、思いました。

だから、ダルマばさみと新聞紙は、もとに戻しておきました。

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