ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(118)『釜戸で料理』

2019年11月29日 19時08分05秒 | 日記
ちいチャンの家の台所には、釜戸がありました。
釜戸には、焚口が2つあり薪で火をおこします。
焚口の少し上には、釜をのせる丸い穴が2つあります。
釜戸用の釜で、直接ご飯を炊いたり、釜にお湯を沸かし、その上にせいろを乗せて、
お赤飯を作ったり、餅をつく時は、もち米をふかします。
釜でご飯を炊くと、釜の底にパリパリのおこげが出来て、こおばしいご飯ができます。
釜戸に火が入るのは、たいていお祝い事の日です。
そしてそんな日は、ちいチャンの大好きな「おくずかけ(あんかけ汁)」も付くので、ち
いチャンは嬉しいです。
釜戸は、おばあちゃんの大きな調理器具でした。
とうもろこしを茹でたり、シャコエビやアワビを茹でたり、茶わん蒸しを作ったり、カニを茹でたり。
釜戸の釜は大きいので、鍋に入りきらない物を茹でるのに、とても便利なようでした。

ちいチャン物語(117)『おばあちゃんの教え・その6』

2019年11月28日 19時15分48秒 | 日記
おじいちゃんが、コタツでごろんと横になっています。
ちいチャンは、おじいちゃんの向こうの部屋に行きたかったので、
おじいちゃんをまたいで行きました。
すると、おばあちゃんが、
「ちいチャン、人をまたいで行ってはいけませんよ。」
と、言いました。

ちいチャン物語(116)『おばあちゃんの教え・その5』

2019年11月27日 19時00分34秒 | 日記
ちいチャンは、納豆ごはんを食べていました。
お水が飲みたくなったので、お水を持って来ようと思いました。
納豆を食べていたので、箸がベタベタです。
テーブルに箸を置くと、テーブルに納豆のベタベタが付くので、ちいチャンは、
ご飯に箸を刺しました。
すると、おばあちゃんが、
「ちいチャン、ご飯に箸を刺すのは死んだ仏様にご飯を上げる時だけだよ。」
と、言いました。

ちいチャン物語(115)『おばあちゃんの教え・その4』

2019年11月26日 19時09分47秒 | 日記
夕食時、テーブルに煮物がありました。
ちいチャンは、コンニャクを取ろうかニンジンをとろうか迷っています。
コンニャクを取ろうと箸を付け、やっぱりニンジンにしよう!と、ニンジン
に箸を付けようとしたら、おばあちゃんが、
「ちいチャン、一度箸を付けた物は、取らないといけないよ。」
と、言いました。
“迷い箸”と言って、やってはいけない箸の作法なのだと、教えてくれました。

ちいチャン物語(114)『大きい靴を買うおばあちゃん』

2019年11月25日 19時24分55秒 | 日記
「ちいチャン、足を入れてごらん。」
と、おばあちゃんが言います。
ちいチャンの靴を買う時、おばあちゃんは、少し大きめの靴を買います。
ちいチャンは、新しい赤い靴に足を入れます。
「もっと、ずっと奥まで足を入れて。」
おばあちゃんが言います。
おばあちゃんは、かかとの隙間に指を入れて、靴の大きさを測ります。
「このくらいかな。」
かかとの後は、2㎝ほどの隙間がありましたが、おばあちゃんは、その靴を
買いました。
家に帰って、おばあちゃんは、もう一度大きさを測ります。
「ちいチャン、足を入れてごらん。」
今度は、おばあちゃんは、つま先の方のゆるみを見ています。
つま先は、指で押すとペコンと引っ込みます。
おばあちゃんは、綿を持って来てちぎり、つま先の方へクイクイと入れます。
「はい、もう一度足を入れてごらん。」
ちいチャンは、靴に足を入れます。
おばあちゃんは、また、つま先を押しました。
今度は、ペコンとは引っ込みません。
「うん、いいね。ちょうどいいよ。」
ちいチャンの新しい靴は、いつも、つま先には綿が入ります。

ちいチャン物語(113)おばあちゃん式ご飯の温め方英語バージョン

2019年11月24日 18時34分04秒 | 日記
“A grandma warms up the rice” 

Cooks rice with the electric rice cooker.
It cooks rice only.
It has no other feature.
There isn’t a heat keeping feature, too.
There isn’t a microwave oven, too.
Grandma cooks the rice exactly good quantity, every day.
But sometimes a little rice is left.
Chii likes the cold rice.
But grandma doesn’t like it.
When the rice is cooked grandma opens the lid of the electric rice cooker.
And she puts the cold rice on the rice inside the electric rice cooker.
And then she closes a lid. Bang !
 
※日本語バージョンは、おばあちゃん式ご飯の温め方(67)にあります。

ちいチャン物語112『千羽鶴に挑んだ日々』

2019年11月23日 18時06分10秒 | 日記
ある日、ちいャンは、
(千羽鶴って、いいなあ。すごいなあ。)
と、思いました。
(千羽鶴を作ってみよう!)
ちいチャンは、そう思い立ち、おばあちゃんに言って、新聞に入って来る広告の紙を
もらいました。
ハサミでチョキチョキ四角に切ります。
おばあちゃんは、裁ちバサミを貸してくれました。
裁ちバサミは重くて、ちいチャンの指にハサミの後が付きます。
ちいチャンは、広告の紙を切って、鶴を折って、紙がなくなったらまた切る事にしました。
ちいチャンは、毎日、鶴を折ります。
ちいチャンは、毎日、折った鶴を数えます。
ちいチャンは、鶴を折った後で、毎日、一羽から数えていました。
鶴も、だんだんと増えて行きます。
ちいチャンは、できた鶴の数を書いたり、数で分けたりしませんでした。
その内、鶴を折る事よりも、鶴の数を数える事に疲れてしまいました。
そして、数を数えなくなりました。
だから、
ちいチャンは、自分が全部で何羽折ったのか、わかりません。

ちいチャン物語(111)『お膳でご飯を食べる家長』

2019年11月22日 18時43分33秒 | 日記
ちいチャンの家では食事の時、家長はお膳でご飯を食べます。
お盆や暮れに、家族がたくさん集まると、それぞれの家庭の家長は、別室に
集まり、お膳を囲みます。
そして、子供たちは、母親と一緒に隣の部屋で、賑やかに食事をします。
家長のお膳には、おかずが一品多く乗っています。
ちいチャンは、それが当たり前の生活の中にいました。
少し大きくなったちいチャンが、お友達の家へ泊まりに行った時、そこの家では、
おじいちゃんも、おばあちゃんも、おとうさんも、おかあさんも、子供たちも、みんな一
緒に食事を囲んだので、ちいチャンは、ビックリしました。

ちいチャン物語(110)『台所の水がめ』

2019年11月21日 18時58分01秒 | 日記
ちいチャンが小さい頃、台所に釜戸があり、その横に水がめがありました。
水がめは四角い形をしていて、周りは四角の小さなタイルで囲まれていました。
水がめの上には、お風呂の蓋のような蓋がかぶせてあります。
蓋の上には、水まきをする時に使うような柄杓(ひしゃく)が置いてあります。
水がめは、非常用に水を汲んで入れてあるようでした。
時々、おばあちゃんは、柄杓で水を汲み、台所の洗い物に使います。
中の水を使い切ると、おばあちゃんは、水がめ用のバケツに水を汲んで運び、
水がめの中に入れます。
バケツは大きいので、とても重そうです。
バケツひとつでは、水がめは一杯にはならないので、
おばあちゃんは、何度も水を汲んで運びます。
非常用の水なので、水がめの中にはいつも、きれいな水を入れておかなければ
いけないようでした。

ちいチャン物語(109)『おばあちゃんの教え・その3』

2019年11月20日 18時33分47秒 | 日記
夏の頃、お墓の近くに、赤いかんざしの様な花が咲きました。
それは、お墓のあちらこちらに咲いていて、赤の色が鮮やかでした。
「おばあちゃん、あの花きれいだね。」
ちいチャンがお墓の方を指さすと、
「ちいチャン、お墓を指さしてはダメだよ。お墓を指さすと指が曲るよ。」
と、おばあちゃんが言いました。
それから、
「あの花は、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)と言って、毒があるから触っては
ダメだよ。」
と、言いました。

ちいチャン物語(108)『おばあちゃんの教え・その2』

2019年11月19日 18時31分54秒 | 日記
大きいお兄さんが、口笛を吹きながら桟橋を歩いています。
潮風に乗って、メロディーが聞こえて来ます。
(わあ~、すごいなあ。)
口笛を吹くお兄さんは、かっこ良く見えました。
ちいチャンは、大きいお兄さんのマネをして、
唇をとがらせて吹いてみました。
ふー!ふー!ふー!
音は出てきません。
ふー!ふー!ふー!
音のない息だけが出て来ます。
(口笛が吹けるようになりたい。)
と、ちいチャンは思いました。
翌日からちいチャンは、口笛の練習を始めます。
ふー!ふー!ふー!
ふー!ふー!ひゅー!
ひゅー!ひゅー!ピュー!
最初はぜんぜん出なかった音が、すこ~し出る様になりました。
ある日の夜、
口笛の練習をすると、
ピーー!!
唇から大きな音が出てきました。
(あっ!吹けた!)
ちいチャンは、びっくりして、そして嬉しくなりました。
すると、おばあちゃんが、
「ちいチャン、夜に笛を吹くもんじゃないよ。夜に笛を吹くと、蛇が出るよ。」
と、言いました。

ちいチャン物語(107)『敷居にろうそく』

2019年11月18日 18時47分10秒 | 日記
ちいチャンの家の各部屋は、障子(しょうじ)、襖(ふすま)、引き戸で仕切ら
れています。
障子をスーッと開けて、パタンと閉めます。
襖をスーッと開けて、パタンと閉めます。
引き戸をスーッと開けて、パタンと閉めます。
時々、障子や襖や引き戸が、スーッと開かなくなる時があります。
ガタッと引っかかったり、手前と後の障子がぶつかったり。
おばあちゃんは、障子にハタキをかける時、障子を開けたり閉めたりするの
で、開けにくい障子には手間取ります。
そんな時、おばあちゃんは、敷居にロウを塗ります。
ローソクの芯の付いていない方で、すりすりすりすりと敷居にロウを塗ります。
そうすると、とてもすべりが良くなって、障子が列車のように走ります。
おばあちゃんは、ついでにと、家中の開きの悪い敷居にロウを塗ってまわります。
ロウは、縁側のガラス戸の敷居にも、塗る時があります。

ちいチャン物語(106)『トイレの手洗い水、吊り手水(ちょうず)』

2019年11月17日 18時26分03秒 | 日記
ちいチャンが小さかった頃、トイレの手洗い場に水道が付いていませんでした。
白い洗面台のような物は付いていましたが、蛇口がありません。
手洗い場の右上に、小さいバケツのような物がぶらさがっています。
小さいバケツのような物の中には、水が入っています。
小さいバケツのような物の底には、指先でチョンと押すと引っ込むような、ノズル
が付いています。
ノズルを下から手で押すと、水がチョロチョロ出て来ます。
これは、トイレから出た後で、手を洗うための水です。
中の水がなくなったら、水を汲んで来て足しておきます。
隣には、手拭き用のてぬぐいが掛けてあります。

ちいチャン物語(105)『七輪(しちりん)でサンマ』

2019年11月16日 19時09分54秒 | 日記
おばあちゃんが、物置から「しちりん」を出してきました。
「しちりん」は、植木鉢みたいな形をしています。
下の方に、小さな扉があります。
おばあちゃんは、「しちりん」を、庭に置きます。
「しちりん」の中には、焼けた炭を入れ、上に網を乗せます。
おばあちゃんは、「しちりん」で、サンマを焼き始めました。
「しちりん」の下の小さな扉を開けて、うちわでパタパタあおいでいます。
風のふく方向によって、サンマから立ち上る煙の向きが変わります。
時々、うちわであおいでいるおばあちゃんの方へ、煙が来ます。
おばあちゃんは、頭をずらして煙をよけます。
時々、煙を吸って、咳をします。
「ばっぱ!サンマを焼いているのかい。」
サンマの煙に誘われて、近所のオジサンがやって来ました。

ちいチャン物語(104)『古いお金』

2019年11月15日 17時53分06秒 | 日記
おじいちゃんの机の、そろばんの入っている引き出しには、見た事の
ないお金が入っています。
それは、ちいチャンが、おじいちゃんのそろばんで遊ぼうと、引き出し
を開けた時に見つけました。
銭形平次が投げるような、真ん中が四角の丸い小銭と、外人の男の
人が描かれている紙のお金、それから、ぞうりを小さくしたみたいな形
の金色のお金です。
真ん中が四角の丸い小銭は、銭形平次が投げる小銭に似ています。
(銭形平次の小銭だ!)
ちいチャンは思いました。
(でも、銭形平次って、こんな字じゃない。)
小銭には、なんだか難しい字が書いてあります。
ちいチャンは、銭形平次の投げる小銭には、「銭形平次」と書いてある
と思っています。
外人の男の人が描かれている紙のお金は、
ちいチャンには、オモチャのお金のように見えました。
ぞうりみたいな金色のお金は、テレビで見る小判に似ています。
(悪代官が、着物の袖から出す小判だ!)
ちいチャンは、心がわくわくしました。