ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語139「おばあちゃんが漬けるたくあん」

2022年06月30日 20時17分21秒 | 日記
おばあちゃんは、漬物を作るのが上手です。
大きな木のタルに、干した大根を漬けます。
おばあちゃんは、むいたミカンの皮と柿の皮を、
広い大きなザルに広げて干します。
大根を漬ける時に、
このカラカラに乾いたミカンの皮と柿の皮を、
一緒に入れて漬けるためです。
おばあちゃんは、木のタルに米のぬかを振り入れ、
塩を振りいれると、大根をならべ始めました。
まっすぐに、きれいに大根が、前にならえをしています。
すると、おばあちゃんは、その上にまた、ぬかを振り入れ、
塩を振り、今度はミカンの皮と柿の皮を乗せました。
そうして、次に並べられた大根は、
先に並べたタテの大根とは違う、ヨコ並べでした。
おばあちゃんは、その同じ順番を何度も繰り返し、
最後に、
大きな丸みのある石を、
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつと、
タルに乗せていきました。
大根の上には、重いものをいっぱい乗せないと、
おいしく漬からないのだと、おばあちゃんが言います。
でも、
ちょうど食べごろになったころ、
重い石を、ひとつ、ふたつ、みっつとよけて行き、
おいしく漬かった「たくあん」を取り出して、
そして、また、
ひとつ、ふたつ、みっつと、
重い石を、もとにもどして行くのは大変だなぁ、と、
ちいチャンは思います。
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ちいチャン物語138「学校へ続く一本道」

2022年06月29日 20時00分55秒 | 日記
ちいチャンは、テストが近くなると、
教科書を読みながら、学校への道を歩きます。
道は、車も通らず信号もありません。
通学時間帯には、バスもありません。
うつむいて教科書を見ていると、
教科書の下に、道路の右側と左側が見えるのです。
そして、教科書の上側は、道路の前方が見えます。
水たまりを避け、馬のふんを避け、
小道にも入り込まずに、学校に着きます。
道は一本道で、
途中から、車の走る道と歩行者用の道に分かれます。
山道なので、歩行者用の道は、車は通れません。
道がせまく、坂が急で、車1台の道の幅もないのです。
だから、この道路で寝ころんでも、
ふざけて遊びながら歩いていても自由です。
子供たちは、手に手に、いろんなものを持っています。
道端で摘んだ「花」、
落ちていた「木の枝」、
白いキラキラした「石」
ぼろぼろになった「縄」
つかまえた「昆虫」
子供たちのオモチャは、自然の中の自然のもので出来ていました。

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ちいチャン物語137「恐怖マンガ」

2022年06月28日 19時13分01秒 | 日記
ちいチヤンのお友達に、
学校にマンガを持って来て、休み時間に読んでいる子がいます。
ちいチャンは、マンガを買ってもらえないので、
その子が読んでいる時に、後からのぞいて一緒に見ています。
毎週、マンガの続きを見るのが楽しみです。
ある日、ちいチャンは、その子からマンガを借りて、家へ持って帰りました。
わくわく、どぎどき。
ひとりで、じっくり見るのは初めてです。
ちいチャンは、自分がマンガの主人公になったような気がします。
読み進んで行くと、
「ヘビ女」のマンガがのっています。
いつもは、友達の後から一緒に見るので、あまり怖さを感じません。
でも、その日はひとりです。
マンガの中の母親は、人間の姿をしていますが、
本当はヘビだったのです。
夜にはヘビに姿を変え、毎夜“生の卵”をまる飲みしています。
口を大きく開け、飲み込んだ卵は、のどをごくりごくりと通って行きます。
そして、次の日の朝は、いつものやさしい母親に戻っています。
ちいチャンは、
(おばあちゃんも、ヘビ女かもしれない・・・。)
そんなことを思ってしまいました。
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ちいチャン物語「そして、ちいチャン」(136)

2022年06月27日 18時55分04秒 | 日記
鏡を見て、ちいチャンは、にこっ!とほほえんでみました。
鏡を見て、ちいチャンは、ぷんっ!とふくれてみました。
鏡を見て、ちいチャンは、つん!とすましてみました。
それから、
右を見て、左を見てみました。
(おかあさんみたいだ。)
と、ちいチャンは思います。
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ちいチャン物語「おばあちゃんの髪」(135)

2022年06月26日 19時43分36秒 | 日記
おばあちゃんは、逆毛を立てています。
髪の毛を、まっすぐ上にひっぱって、
くしを上や下にとかしています。
おばあちゃんの髪の毛は、綿アメみたいにふくらんで、
ぺたんぺたんだったおばあちゃんの頭が、
髪の毛がふえたみたいに大きくなりました。
それから、
おばあちゃんは、口紅をつけました。
おばあちゃんは美人さんだな、
と、ちいチャンは思います。
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ちいチャン物語 (134) 『しるし』

2022年06月25日 19時38分23秒 | 日記
ちいチャンとおばあちゃんは、海に沿った道を歩いています。
ふと見ると、電信柱や塀に何かしるしが書いてあります。
おばあちゃんは立ち止り、じっとしるしを見ています。
「ちいチャン、これはな、津波の波がここまで来たというしるしなんだよ。」
と、おばあちゃんが言いました。
そのしるしは、小さいちいチャンの背丈より、ずっと高い位置にありました。
ちいチャンは、泳げないので、
(こんな高さまで波が来たら、おぼれてしまう。)
と、思いました。
近所の人が数人出て来て、おしゃべりを始めました。
「津波が来た時、うちのばあちゃんは、庭の木に登ったそうだ。」
「若だんなは、電信柱に登ったんだと。」
「生きた心地がしなかったそうだ。」
と、伝え聞いた話を始めました。
そして、ちいチャンは、おばあちゃんに、
「おばあちゃん、浮き袋をふくらませて、枕のとこに置いておく。そして、津波が来たら、浮き袋で泳ぐよ。」
と、言いました。
おばあちゃんは、返事をせずに、小さく微笑むだけでした。
今、大きくなったちいチャンは、
何も言わなかったおばあちゃんの頭の中を、覗いた気がします。
おばあちゃんは、どんな気持ちで、電信柱や塀のしるしを見ていたのかと。
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ちいチャン物語(132)「咳が止まらない夜・その2」

2022年06月24日 19時44分25秒 | 日記
コンコン!コンコン!コンコン!コンコン!
布団の中で、ちいチャンが咳をしています。
コンコン!コンコン!コンコン!コンコン!
止まりません。
おばあちゃんは、台所に行って、ネギを火であぶります。
ネギに少し、焦げ目が付きました。
おばあちゃんは、そのネギをガーゼに乗せて、くるくるっと巻きました。
「ちいチャン、これを首に巻きなさい。」
と、言って、おばあちゃんは、ネギをくるんだガーゼを、ちいチャンの首
に巻きました。
焼いたネギは、少し温かいです。
首に巻いたネギは、ネギの匂いがします。
ちいチャンは、ネギの匂いに包まれながら、うとうと眠ってしまいました。
翌朝、首に巻いたネギは、ぐるっと首を回って後に行っていました。
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ちいチャン物語(131)「ハモをさばくおばあちゃん」

2022年06月22日 19時24分09秒 | 日記
朝、おばあちゃんが桟橋から帰って来ました。
手には金属のボールを持っています。
中にはなんだかにゅるにゅる動く魚が入っています。
それは、“ハモ”という魚のようでした。
“ハモ”は、ボールの中でヘビのようにカーブを描いて動きます。
おばあちゃんは、木のまな板と千枚通しを用意すると、“ハモ”の頭を
千枚通しで固定しました。
包丁で頭の方からしっぽにかけてまっすぐに切り込みを入れます。
そして頭から尻尾にかけて、骨だけを切り落としました。
ちいチャンは、おばあちゃんの技はすごいなと思います。
夕方、おばあちゃんは朝にさばいたハモを、砂糖と醤油で煮ました。
この日の夕ご飯は、ハモ丼です。
ちいチャンは、ハモ丼が大好きです。
大きくなってウナギ丼を初めて食べた時、ちいチャンは、ハモ丼を思い
出したのでした。
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ちいチャン物語(130)「寝押し」

2022年06月21日 20時32分50秒 | 日記
ちいチャンは、ひだのたくさんあるスカートを履いていました。
夜、おばあちゃんは、ちいチャンのスカートを畳に置き、ひだを揃えています。
そして、その上に日本手ぬぐいをかけ、ちいチャンの敷布団を敷きました。
今夜は、ちいチャンは、敷布団の下にスカートを敷いて寝ます。
翌朝、布団を上げると、スカートのひだはアイロンをかけた様に、折り目正しく揃っていました。
おばあちゃんは、これを、
「寝押しと言うんだよ。」
と言いました。
ズボンプレッサーがまだ無かった頃、おじいちゃんのズボンも、「寝押し」をされていました。
おじいちゃんやおばあちゃんの布団の下では、寝押しができません。
体重の重い人の布団の下にズボンを敷くと、翌朝、ズボンに畳の網目の跡が付
いてしまいます。
「ちいチャン、布団を貸してね。」
と、おばあちゃんは、ちいチャンの布団でいつも「寝押し」をします。
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ちいチャン物語(129)「蛇の目傘」

2022年06月20日 20時32分42秒 | 日記
ちいチャンが小さい頃、家には2種類の傘がありました。
布の傘と紙の傘です。
紙の傘は、蛇の目傘と名前がついていました。
蛇の目傘は、骨が竹で出来ていて、その上には紙が貼ってあります。
紙の上は、なにか雨がはじくような工夫がされているようでした。
傘は、玄関に置く時は、持ち手を下にして置きます。
濡れた時は、開いて干して乾かします。
ちいチャンは、蛇の目傘って、なんだか油っぽいような気がします。
蛇の目傘は、古くなってくると、骨と骨の間が破けてきます。
蛇の目傘は重いので、両手で持ったり肩にのせたりしてさします。
近所に、折り紙の好きなおばさんがいました。
おばさんの家のテレビの上には、小さな蛇の目傘が飾ってありました。
おばさんは、おじさんが吸ったタバコの空き箱で、蛇の目傘を折ったの
だと言いました。
とてもかわいい、素敵な傘です。
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ちいチャン物語(128)「鳴きの悪いカラス」

2022年06月19日 19時22分51秒 | 日記
ちいチャンの家の裏は、山です。
夕方になると、カアカアとカラスが山の中へ消えて行きます。
ある昼下がり、ちいチャンの家の近くの電信柱のてっぺんで、カラスが
ガアガア、ガアガアと鳴いていました。
おばあちゃんは、
「カラスの鳴きが悪いな。」
と、言いました。
「カラスの鳴きが悪いの?」
と、ちいチヤンは聞きました。
カラスの鳴きが悪いと、何日かの内に亡くなる人が出るのだと、おばあ
ちゃんは言いました。
そして、そう言ったおばあちゃんの顔は、少し暗くなりました。
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ちいチャン物語(127)「おじいちゃんが仕事に行く朝・その3」

2022年06月18日 19時53分50秒 | 日記
おじいちゃんは、仕事に出かける時はいつも、白いワイシャツにネクタイ、
そして、スーツです。
玄関には、毎朝ピカピカの黒い靴が揃えてありました。
その靴は、毎朝、おばあちゃんが磨いています。
瓶に入った黒い靴墨を布に付け、靴全体に塗ってのばします。
それから、別の布で拭き取って、靴用ブラシでシャカシャカ、シャカシャカ
何度でも、つやが出るまで磨きます。
おばあちゃんの指は、靴墨で真っ黒になります。
ときどきは、ちいチャンもマネをして磨いてみます。
でも、おばあちゃんの様には、ピッカピッカにはなりません。
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ちいチャン物語(126)「台所大改造」

2022年06月17日 20時14分30秒 | 日記
ある日の事でした。
ちいチャンが外から帰って来ると、家の中に大工さんがいました。
大工さんは、台所の床に何かを貼っています。
それは、“ビータイル”というもののようでした。
ちいチャンは、“ビータイル”がめずらしくて、大工さんの仕事をじっと見つ
めています。
見渡すと、台所にはタイルの流しがなくなっていて、ピカピカのシンクの流
しが置いてありました。
水道の蛇口も付いています。
見渡すと、釜戸と水がめは取り外され、その分床が広くなっています。
そして、広くなった床の上には“ビータイル”が貼られ、ガス台が置かれて
います。
バーナーのコンロも外されました。
ちいチャンの家の台所の大改造です。
床が板ではなくなったので、ちいチャンは、なんだか外国の台所を見てい
るような気がしました。
“ビータイル”床になってから、床の掃除は雑巾からモップに変わり、水から
ワックスに変わりました。
毎日の掃除が、ちょっと楽になりました。
おばあちゃんも嬉しそうです。
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ちいチャン物語(125)「おじいちゃんが仕事に行く朝・その2」

2022年06月16日 19時15分55秒 | 日記
おじいちゃんの髪は白いです。
おじいちゃんは、髪に“ポマード”というヘアクリームを付けます。
それは、半透明の黄色いクリームです。
仕事に行く日の朝、おじいちゃんはポマードを髪に塗り、くしでとかします。
鏡を見て、髪の右や左を丁寧にとかします。
髪には、くしの跡が付いています。
ポマードは、なんだか油みたいだな、と、ちいチャンは思います。

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ちいチャン物語(124)「おじいちゃんの家着」

2022年06月15日 19時34分17秒 | 日記
おじいちゃんは、家にいる時は、ラクダのももひきとラクダのシャツを着て
囲炉裏の前に座っています。
冬は、その上に丹前を着ます。
丹前は、着物に綿が入っているような長い物です。
おじいちゃんは、囲炉裏のそばで、タバコをふかします。
時々、キセルに煙草を入れて吸います。
お客様が葉巻をひと箱おみやげにと、持って来た事がありました。
でも、おじいちゃんはあまり好きではないようでした。
ラクダのももひきとラクダのシャツは、夏は半そでの綿シャツとサルマタ
に変わります。
玄関にお客様が見えると、おじいちゃんは奥の部屋にチョット引っ込み、
上に着物を着て出て来ます。
おじいちゃんは、ちょっとオシャレです。
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