ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(3)『宇宙への交信』

2013年07月31日 20時32分46秒 | 日記

ちいちゃんは、おじいちゃんに頼まれて、たばこやさんにあるポストまでハガキを出しに、夜のおつかいです。
おじいちゃんは、夜にハガキをポストに入れておけば、朝一番に郵便屋さんが持って行って
くれると決めています。
ちいチャンは、懐中電灯を手に持って、海に面した道を歩きます。
ざぶ~ん、ざぶ~んと波の音がします。
波は、砕けて落ちる時に、キラッ!キラッ!と光ります。
ちいチャンは小さいので、それがプランクトンなのだという事は、知りません。
(きれいだなぁ。)
道路と海は平行に並んでいます。
ちいチャンは、たばこやさんに着くまでキラキラ光る波を見ながら歩きました。
帰り道、夜空には、キラッ!キラッ!と星が光っていました。
まるでプラレタリウムのような、星、星、星。
ときおり、星がウインクをします。
キラリ~ン。
じーっと夜空を見上げていた、ちいチャン。
(おほしさまの光が見えるんだから、懐中電灯の光も見えるかな~。)
そう思ったちいチャンは、懐中電灯の光を空に向けました。
(おーい、宇宙の人ー!懐中電灯の光、見えますかー!)
そして、合図をするかのように、懐中電灯を持った手を、大きくぐるんぐるんと回しま
した。
(懐中電灯の光は、いつごろ宇宙に届くのかな~。)

ちいチャンの、懐中電灯の光が宇宙に届いたら、大きな輪を描く星に見えるのでしょうか
.....。
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ちいチャン物語(2)『雨上がりの水たまり』

2013年07月29日 19時44分25秒 | 日記

雨が上がったばかりの道には、水たまりがいっぱいです。
長ぐつをはいたちいチャンが、パシャンパシャンと水たまりに、ジャンプをしています。
こっちの水たまりに、ジャンプ、あっちの水たまりにジャンプ。
今度は、おおきな水たまりめがけて、ジャーンプ!!!
バッシャーン!!!ドブン!
長ぐつが、すっぽりと水たまりに入ってしまいました。
水たまりから歩き出すと、長ぐつの中の水が、ちゃぶんちゃぶんと音をたてます。
水の入った長ぐつは、ちょっと重いのです。
ちいチャンは小さいので、すぐに足が疲れてしまいました。
長ぐつを片方脱いで、中の水をジャー!と捨てました。
そして、もう片方の水もジャー!
水の無くなった長ぐつは軽くなり、ちいチャンは歩き始めます。
水たまりを見ながら歩くと、水たまりに雨上がりの青い空と白い雲が映っていました。
ちいチャンが歩くと、青い空がついて来ます。
ちいチャンが歩くと、白い雲がついて来ます。
(わあ~、お空がついて来る。)
まるで、ちいチャンと一緒に、青い空と白い雲が歩いているようです。
たち止まって、水たまりをのぞきこむと、ちいチャンの顔がそこにありました。
ちいチャンは、水たまりの中のちいチャンに、にっこりと笑ってみました。
水たまりのちいチャンは、にっこりと笑い返してくれます。
歩き始めると、長ぐつの中がぬるりぬるりとすべります。
ちいちゃんは、長ぐつをぬぐと両手に持ちました。
長ぐつをくるんくるんとまわしながら、歩きます。
ちいチャンの歩いた後ろには、引きずりながら持っていた傘が描いた一本線が、ずうっと続いていました。




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ちいチャン物語(1)『危なかった浮き袋』

2013年07月26日 21時09分33秒 | 日記

ちいチャンの家は、海のすぐ近くにあります。
夏になると、ちいチャンは家で水着に着替え、浮き袋を片手に海に泳ぎに行きます。
ちいチャンは、泳げるんです。3メートル。
浮き袋を、ポーンと1メートルほど先に飛ばし、海底の砂を足でキックして、飛ばした浮き袋まで
パシャパシャと泳いで、浮き袋にターッチ!
それが、ちいチャンの泳ぎの練習でした。
ある日、いつものように浮き袋を飛ばし、海底の砂をキックしてパシャパシャと浮き袋めざして泳
いでいたら、なぜだか浮き袋が、ちいチャンの泳ぐ波で、だんだんと離れで行ってしまうのです。
「まってー!まってー!」
ちいチャンは、一生懸命泳ぎます。
けれど、ちいチャンは3メートルしか泳げないので、疲れてしまいました。
(ちょっと立って休もう。)
そう思ったちいチャンは、海底に足をつけようとしました。
すると、ブクブクブク頭がすっぽり海の中に入ってしまいました。
(足がとどかない...。)
浮き袋は波に流され、だんだんと深い方へ流されていたのです。
(うきぶくろー!もうおよげないー!あしがつかないー!)
海の中でちいチャンはもがきました。
するとそこへ、ちいチャンの友達が泳いで来ました。
「どうしたの?」
「うきぶくろがとどかない!あしがつかない!」
ちいチャンの友達は泳ぎをやめて、海底に足をつけて立ちました。
ちいチャンを自分の肩につかまらせ、浅い方へ連れて行き、ちいちゃんの足のつく所まで戻ると、
今度は、ちいチャンの浮き袋めざして泳ぎだしました。
「はい!浮き袋!」
戻って来た友達は笑顔で、ちいチャンの浮き袋をちいチャンに渡してくれました。
「ちいチャンは、背が小さいから足が届かなかったんだね。」
友達が立てる程の深さの所で、ちいチャンはおぼれかけたのでした。

それからは、ちいチャンは、浮き袋を飛ばして泳ぎの練習をするのをやめることにしました。
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