ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

Play back ちいチャン物語(297)電車のドア前のキレイなお姉さん

2017年12月19日 18時44分48秒 | 日記

ちいチャンは、

お仕事に行く時は、電車とバスを使います。

ある日、帰りが少し遅くなり、

夜の電車に乗りました。

夜なので、座席は座る余裕がありました。

ちいチャンは、ぱふんと座席に座りました。

ふと目を上げると、

ドアの入り口の前に、外を見つめる様に、

長い髪の、キレイなお姉さんが立っていました。

お姉さんは、

空いている座席には座らないで、

ドアに寄りかかる様に立っていました。

ちいチャンは、

ドアのガラスに映るお姉さんが、キレイだったので、

ジッと見ていました。

すると、どこからか、

大きな蛾が飛んで来て、

お姉さんの肩に止まりました。

お姉さんは、白いブラウスを着ています。

ちいチャンは、

お姉さんのブラウスに、蛾の粉が付かないかと、

ハラハラドキドキです。

でも、

お姉さんがキレイなので、

ちいチャンは、お姉さんに声をかける事が出来ません。

周りにいる乗客の人も、

お姉さんの肩の蛾に、釘づけの様でした。

が、やっぱり、

お姉さんに、声をかける人はいませんでした。

ビックリしたお姉さんが、手で蛾を払うと、

ブラウスが汚れてしまう、そんな配慮もあったかもしれません。

いくつめかの駅に着き、ドアが開き、

お姉さんは、蛾を肩に付けたまま、ドアから外に出て行きました。

すると、蛾は、

お姉さんの肩を離れ、

お姉さんの後を通って、

ひらひらと飛んで行きました。

ドアが閉まって、電車が走り出した時、

ちいチャンは、ホッ!と胸をなでおろしました。

乗り合わせた他の人達も、同じ気持ちの様でした。