ちいチャンが、
教室の窓から外を見ていると、
突然雨が降り出しました。
ちょうど、お帰りの時間だったのですが、
ちいチャンは、カサを持っていませんでした。
ちいチャンと同じ様に、カサを持っていない子は、
昇降口で立ち止まり、雨を見つめています。
すると、
雨のカーテンを押し分けて、
誰かのお母さんが、カサを持ってお迎えに来ました。
そしてそれは次々と続き、
ひとり、ふたりと、昇降口から子ども達がいなくなって行きました。
お迎えに来たお母さん達は、
学校に近い、隣町に住んでいる子ども達のお母さんでした。
ちいチャンは、
薄暗い昇降口で、雨がやむのを待っています。
ちいチャンは、雨がやまなかったら、
雨の中を、走るしかない!と、覚悟を決めていました。
ため息ひとつついた時、
雨の中から、おばあちゃんの姿が現れました。
おばあちゃんは、ちいチャンのカサと長靴を、持って、
お迎えに来てくれました。
おばあちゃんは、おばあちゃんだから、
山をひとつ越えて、お迎えに来るのには、
少し時間がかかった様でした。
「ほら!長靴履いて!」
元気に、おばあちゃんが言いました。
ちいチャンの、心細さを吹き飛ばす様な、
元気な、おばあちゃんの声でした。