ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

Play back ちいチャン物語(296)突然の雨

2017年12月18日 18時34分50秒 | 日記

ちいチャンが、

教室の窓から外を見ていると、

突然雨が降り出しました。

ちょうど、お帰りの時間だったのですが、

ちいチャンは、カサを持っていませんでした。

ちいチャンと同じ様に、カサを持っていない子は、

昇降口で立ち止まり、雨を見つめています。

すると、

雨のカーテンを押し分けて、

誰かのお母さんが、カサを持ってお迎えに来ました。

そしてそれは次々と続き、

ひとり、ふたりと、昇降口から子ども達がいなくなって行きました。

お迎えに来たお母さん達は、

学校に近い、隣町に住んでいる子ども達のお母さんでした。

ちいチャンは、

薄暗い昇降口で、雨がやむのを待っています。

ちいチャンは、雨がやまなかったら、

雨の中を、走るしかない!と、覚悟を決めていました。

ため息ひとつついた時、

雨の中から、おばあちゃんの姿が現れました。

おばあちゃんは、ちいチャンのカサと長靴を、持って、

お迎えに来てくれました。

おばあちゃんは、おばあちゃんだから、

山をひとつ越えて、お迎えに来るのには、

少し時間がかかった様でした。

「ほら!長靴履いて!」

元気に、おばあちゃんが言いました。

ちいチャンの、心細さを吹き飛ばす様な、

元気な、おばあちゃんの声でした。