ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

Play back ちいチャン物語(21)竹の物干し竿

2016年11月30日 18時26分41秒 | 日記

ちいチャンの家の外には、なが~い竹が置いてありす。

その竹は、縁側の下にまとめて置いてあって、おばあちゃんが洗濯物を干す時に

使うのです。

ちいチャンの家には、物干し台はありましたが、角ハンガーの様なものは無く、

洗濯物ひとつひとつを、竿(さお)に干すので、竿が足りなくなります。

時には、シーツを何枚も洗ったり、カーテンを洗ったり。

そこで、おばあちゃんは、家の庭にある松の木に、竹をかけて竿にして、洗濯物

を干します。

松の木は、庭に3本ありました。

かなり年数が経った松のようで、太くしっかりしています。

おばあちゃんは、手前の松の木から向かい側の松の木に、竹竿をかけます。

たいていは、1本の竹竿をかければ大丈夫です。

でも、雨の日が続いて洗濯物が多くなった時は、竹竿は2本、3本と、松の木に

かけられます。

松と松の間は、距離があって、竹竿の長さもかなり長いです。

だから、竹竿をかける時も取り外す時も、大変です。

一気に上から下へと取り外せないので、竹竿の片方を松の木から抜いて、下に下

し、それから竹竿のもう片方を取り外します。

かける時も同じです。

おばあちゃんは、時々、竹竿に布団を干します。

それで、竹竿は、使っている内に、弓のように曲がってしまいます。

最初の内は、曲がった方を上にして真っ直ぐに戻そうと、洗濯物を干しますが、

だんだん曲がるカーブが大きくなると、曲がった面を上にしても、クルン!と元

に戻ってしまいます。

そして、竹もだんだん黄色っぽくなり、ひびが入って来ます。

そうなってくると、手をケガしたりして危ないので、新しい竹に取り換えます。

ちいチャンの家は海辺の近くですが、家の後は山になっていて、竹林があります。

おばあちゃんは、近所の大工さんに頼んで、竹を切って来てもらいます。

古い竹竿と新しい竹竿の入れ変えは、ちいチャンは見た事がありません。

(古い竹竿は、どこに行ったのかなぁ。)

と、新しい竹竿を見るたびに、ちいチャンは思います。

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Play back ちいチャン物語(20)ハエたたき

2016年11月29日 16時00分58秒 | 日記

ちいチャンの家の茶の間には、テレビがあって、その隣は出窓になっています。

出窓には、おばあちゃんのお薬や、チリ紙、新聞紙、メガネなど、日常すぐに使

うものが置いてありました。

その中のひとつに、「ハエたたき」があります。

ハエたたきは、先端が野球のベースの形をしていて、10センチ位の大きさです。

そして、ザルのように穴が空いています。

素材もザルと同じようです。

そして、そのベースの形をした所の下に、持つ所があり、それは30センチ位の

長さでした。

おばあちゃんの座る場所は、出窓の前になっているので、ハエたたきは、いつも

おばあちゃんの手の届く所にありました。

ちいチャンの家は、玄関も窓も全部開けっぱなしで、網戸が付いている窓は、数

か所だけです。

だから、時々ハエが入って来ます。

テーブルに止まったり、蛍光灯の紐に止まったり、テレビに止まったり、そこら

中どこにでも止まります。

すると、おばあちゃんは、そお~っと、ハエたたきに手を延ばし、目にも止まら

ぬ早さで、パシーン!!と、ハエをたたきます。

おばあちゃんが、出窓から少し離れた所にいて、ハエたたきに手が届かない時は

、そばにある新聞紙を、しずか~に、クルクルっと丸め、バシッ!とハエをたた

きます。

おばあちゃんは、空中を飛んでいるハエも、パシーン!とたたきます。

でも、空中を飛んでいるハエは、たたいた瞬間に、何処へ落ちるのかわからない

ので、食べ物がテーブルにある時には、気を付けなければいけません。

(う~ん、おばあちゃんって、すごい!)

と、ちいチャンは、思います。

ちいチャンも、ハエを見つけると、おばあちゃんのマネをして、新聞紙をクルク

ルっと丸め、エイッ!とたたきますが、たいていは逃げられてしまいます。

でも、ちいチャンは、ハエが逃げてくれた方がいいと思います。

つぶされたハエは、血が出たりして、チョット気持ちが悪いからです。

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Play back ちいチャン物語(19)おじいちゃんのそろばん

2016年11月28日 19時41分05秒 | 日記

ちいチャンの家には、書斎と呼ばれる部屋がありました。

障子(しょうじ)と襖(ふすま)と押入れに囲まれていて、下は畳です。

その部屋に、ちょっと大きな机が置いてあります。

その机の両側には、引き出しが何段がついていて、机の真ん中には、大きな引き出し

が付いていました。

大きな引き出しを開けるとすぐに、そろばんが目につきます。

そろばんは、黒っぽい茶色をしていて、少し重いです。

そろばんの玉は、木の線を境にして、上にひとつ、下に5つで、6個付いていました。

おばあちゃんは、

「下の玉ひとつずつが1円で、上の玉が5円と数えるんだよ。」

と、教えてくれました。

そして、

「下の玉5つと上の玉ひとつが合わさると、10円になるから、左側の下の玉をひと

つ上に上げて、右側の玉は全部、もとに戻すんだよ。左の玉は、ひとつが10円だか

らね。」

と、言いました。

(5円玉ひとつと1円玉5つで、10円。)

なんだか面白くて、1円、2円、3円、と玉をひとつずつ上に上げて、5つ上げ終わ

ったら、5円玉を下して1円玉を全部下します。

そして、10円になったら左の玉を上げて...10円!

そろばんは、ちいチャンのオモチャになってしまいました。

そろばんは、振るとカシャカシャと音がして、楽器のようです。

タンッ!と机の上に置いて、人差し指でシャッー!と5円玉を上げるのがいい気持ち

です。

しばらくして、ちいちゃんの家に、新しいそろばんがやってきました。

新しいそろばんは、5円玉はひとつでしたが゛、1円玉は4つしか付いていませんで

した。

(5円玉ひとつで5円、1円玉4つで4円、たしたら9円にしかならない。10円玉

を上げられない。10円に1円たりないなぁ。)

と、ちいチャンは思いました。

(やっぱり、おじいちゃんのそろばんがいい!)

ちいチャンが手にするのは、やっぱりいつも、おじいちゃんのそろばんでした。

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Play back ちいチャン物語(18)ちいチャン町のバスの運転手さん

2016年11月27日 19時34分34秒 | 日記

ちいチャンの町のバスは、運転席の前方が前に突き出ています。

横から見ると、顔のようにも見えます。

後ろから白い煙を吐いて、ガタガタガタガタじゃりの道を走ります。

途中、バス停に向かって歩いている人が、バス停に着くのが間に合わずに、思わず

バスに向かって手を上げてしまう時があります。

そんな時、運転手さんは、その人の側でバスを止め、入口を開けて乗せてくれます。

「いやあ、どうも、どうも、行かれてしまうかと思ったよ。」

そう言いながら、運転手さんにおじぎをして、ハンカチで汗をふきながら、その人

は座席に座ります。

それからまた別の日、バスが発車した後で、後ろから小走りで追いかけて来る人が

いたりすると、運転手さんはすぐに気が付いて、バスを止めて待っていてくれます。

ガタガタガタガタ海岸沿いの山道を走っていると、途中で山から下りて来た子供たち

に出会います。

手には、本日の収穫「アケビ」を持っています。

運転手さんは、子供たちの横でバスを止めると、

「おー!いっぱい採ってきたなあー!俺にひとつくれ!」

と、窓を開けて言いました。

子供たちの一人が、小枝についてる「アケビ」をひとつ、ちょっとはにかみながら、

運転手さんにあげました。

「ありがとな!」

運転手さんは、お礼を言うと、またバスを走らせます。

運転席の横で、枝の付いた「アケビ」は、バスが揺れるたびに、小さく揺れていま

した。

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Play back ちいチャン物語(17)怖いトイレ

2016年11月26日 19時12分50秒 | 日記

ちいチャンの家のトイレは、家の外にあって、外のお風呂と屋根でつながって

います。

トイレは、女性用が二つと男性用がひとつで、男性用のトイレは、タイルで出

来た壁に白い便器が付いていました。

女性用のトイレは、男性用トイレの隣に一つずつの個室になっていて、一段高

くなっています。

そして、中には陶器で出来た便器が付いています。

便器は、床をくり抜いた穴にはめ込んだ形になっていて、底面がありません。

ちいチャンの家のトイレは汲み取り式です。

便器から下をのぞくと、深さは2.5メートルぐらいあります。

便器は、しゃがんで手でしがみ付く所以外は空洞なので、人が一人すっぽりと

入ってしまいそうです。

ちいチャンは、トイレに行くたびに、

(ドボ~ン!と下に落ちたらどうしよう?)

と、ヒヤヒヤします。

便器のまわりの床は板張りで、キシッキシッと音がして、板が抜けそうな気も

します。

(板が腐れて、踏み外したらどうしよう?)

と、ドキドキします。

いつも、いつも、ヒヤヒヤします。

いつも、いつも、ドキドキします。

便器は取り外す事も出来て、時々、おばあちゃんは便器をトイレから外して

、トイレ用のタワシでゴシゴシと洗います。

便器は陶器なので、外すのはとても重そうです。

でも、便器を外されたトイレは、もっと怖くなります。

なぜって、つかまる所が何も無い、ただの穴がそこにあるからです。

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Play back ちいチャン物語(16)メダカ採り

2016年11月25日 16時33分11秒 | 日記

ちいチャンの家の近くに、海に流れ込む川があります。

川の幅は、3~5メートルぐらいで、深さは、膝から腰ぐらいです。

流れはゆるやかで、川底の石が見えるほど透きとおっています。

その川にはメダカがたくさんいて、足を踏み入れるとパアッ!と散って逃げます。

ちいチャンは、バケツとザルを持って、メダカ採りをします。

この川のメダカは、のんびりやさんで、ちいチャンがザルで川の水をすくうだけで

、簡単にザルの中に入ってしまいます。

でも、ザルに入るのは数匹で、やっぱりたくさん採りたいと、ちいチャンは思いま

す。

そこで、ちいチャンは、ザルを手に持って水に沈め、メダカがザルの上を通るのを

ジッと待ちます。

メダカの集団が、ザルの上を通ったら、ザバッ!とザルを持ち上げると、うまく行

けば、たくさんのメダカが採れます。

そして、川の水を汲んでおいたバケツの中に離します。

バケツにメダカを離す時は、手で入れずに、ザルごとバケツの水に沈め、ザルから

離れて泳ぐのを見届けます。

メダカは、バケツの中で元気に泳ぎます。

男の子たちは、小さいメダカだけではつまらないようで、もっと大きな魚を採るの

にチャレンジをします。

それは「かじか」と言って5~10㎝ぐらいの魚です。

「かじか」は、川の石の下に潜んでいたりする様で、男の子たちはよく石をひっく

り返して探していました。

「かじか」は、メダカほどのんびりはしていなくて、石をどけられると、すごい速

さで逃げます。

「かじか」を採るのにはコツがあって、まず、「かじか」の逃げ込んだ石を見つけ

、その石の前に、しずか~にザルを差し込み、えいっ!と石をどけます。

隠れ場所を失った「かじか」が、慌てて飛び出してザルの中に入るのを見届けて、

今だ!とばかりに、ザルを引き上げます。

でも、「かじか」の泳ぐ方向を間違えると、ザルの中には石の下の砂やゴミが入る

だけでした。

ちいチャンも、何度か「かじか」採りにチャレンジしてみましたが、一度も採る事

ができませんでした。

ちいチャンは、採ったメダカは帰りには、川に離してあげました。

この川は、ちいチャンの大自然の水槽なのでしょう。

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Play back ちいチャン物語(15)木の冷蔵庫

2016年11月24日 17時18分00秒 | 日記

ちいチャンの家には、冷蔵庫がありますが、全体が木で出来ているのです。

中を開けると、内側は金属でおおわれていて、四角い大きな氷が入っています。

ちいチャンの町には、「氷屋さん」というお店があって、それは、魚屋さんが

やっていたりもするのですが、電話で氷を注文をすると、大きな氷を持ってやっ

て来て、お客さんの家で、注文の大きさに切ってくれます。

おばあちゃんは、氷の重さを、「一貫目」とか「二貫目」とか言っていましたが、

それはたぶん1㎏とか2㎏の事なのだと、ちいチャンは思いました。

氷屋さんは、大きなのこぎりを持って来て、シャリ!シャリ!シャリ!っと、氷

を注文の大きさに切ってくれます。

氷を切ると、氷のクズが雪のようにこぼれ落ちます。

(キレイ!)

ちいチャンは、思いました。

でも氷のクズは、すぐに溶けて水になってしまいます。

おばあちゃんは、四角い固まりに切ってもらった氷を、木の冷蔵庫に入れます。

そして、氷の上にはお魚を乗せ、パタン!と扉を閉めました。

 

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Play back ちいチャン物語(14)土間の薪

2016年11月23日 19時33分29秒 | 日記

ちいチャンの家の台所の土間には、ちいチャンの背丈よりも高く、薪(まき)が

積んであります。

これは、お風呂を焚(た)く時の為の薪です。

ちいチャンの家のお風呂は、家の外にあって、お風呂の外にはお風呂を沸かす焚

き口がありました。

地面より少し低くなっていて、下に向かって階段が2つ付いています。

おばあちゃんは、夕方になると毎日そのたき口にしゃがんで、お風呂を沸かしま

す。

たき口の扉は鉄で出来ていて、側には、熱くなった扉を開ける為の鉄の棒が置い

てありました。

おばあちゃんは、たき口の扉を開けて、新聞紙をクシャクシャっと丸めて入れ、

お弁当箱みたいに大きいマッチ箱から、マッチを取り出して、シュッ!と擦(す)

ります。

マッチは、シュウウウと音を出して、小さく燃えます。

その火を新聞紙に移し、火が付いた所で薪を入れます。

ちいチャンは、火の燃える様子が面白くて、おばあちゃんがお風呂を沸かすのを

いつも見ていました。

「ちいチャンも、やりたい!」

ちいチャンは、おばあちゃんに言いました。

すると、おばあちゃんは、

「小さい子が火をいじると、おねしょをするよ。」

と、言いました。

ちいチャンは、もう、おねしょはしない年になっていたので、

(おねしょをしたら恥ずかしい。)

と、思いました。

だから、やっぱり見ているだけにする事にしました。

お風呂を沸かしたき口の下は、翌朝になると灰がたくさん溜まっています。

おばあちゃんは、灰をスコップのような物で取り出すと、水をかけます。

火は消えていますが、用心に用心です。

そして、その灰は、植木の肥料になるようでした。

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Play back ちいチャン物語(13)馬のフン

2016年11月22日 19時15分52秒 | 日記

ちいチャンが小さい頃、道路を馬が歩いていました。

馬には、手綱を持って付き添って歩いている人がいます。

馬は、本当にパッカパッカと音をたてて歩きます。

カポンカポンという音にも聞こえます。

馬の後を後ろから歩いていると、突然の出来事に見舞われる時があります。

馬は、シッポをひょい!と上に持ち上げると、ボトボトボトとフンをするのです。

話に夢中になって歩いていると、出来立てのフンをグニャっと踏んでしまう危険が

あります。

出来立てのフンは、ホカホカと湯気が出ています。

子供たちの間では、

゙馬のフンを踏むと背が伸びる゛

とされていて、背の低いちいチャンは、馬のフンを踏む事にチャレンジしようと

思っていました。

でも、ホカホカのフンはフニャフニャで、大量で、靴が汚れてしまいそうです。

ちいチャンは女の子だから、

(フンだらけの靴はイヤだなあ...。)

と、思いました。

馬のフンは、日にちが立つと、干からびたワラの固まりみたいになって、ちいチ

ャンは、

(乾いたフンなら踏める!)

と、思いました。

そこで、乾いたフンの上を歩いてみました。

乾いたフンは、枯草の上を歩いているみたいで、靴も汚れませんでした。

(背、大きくなるぞ!)

ちいチャンは、ちょっぴり嬉しくなりました。

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Play back ちいチャン物語(12)海に浮かぶ飛び込み台

2016年11月21日 18時44分06秒 | 日記

ちいチャンの町には、海水浴場があります。

海水浴場は、海岸の真ん中へんにあって、泳げる範囲を浮きで囲ってあり、少し沖合

いには、木で作られた「飛び込み台」がありました。

飛び込み台は、いかだにコタツを乗せたような形をしていて、はしごのような階段が

ついていました。

飛び込み台のてっぺんは、座ったり、寝そべったりできるように、板張りになってい

ます。

飛び込み台は、少し沖合いにあるので、そこへたどり着く途中に、休憩をする為の丸

太が浮かんでいます。

それは、両端をロープでくくり、重しで流されないように安定されています。

プカッ、プカッと浮いています。

子供たちの泳ぎには、段階があるようです。

あまり泳げない子供たちは、波打ち際で走ったり、水をかけあったり、泳ぎの真似を

してみたり。

少し泳げる子供たちは、休憩の丸太を目指します。素泳ぎだったり、浮き袋を片手に

持って泳いだり。

浮き袋を持つのは、丸太にたどり着く前に疲れてしまったら、つかまって休むためで

す。

泳ぎに自信のある子供たちや大人は、一直線に飛び込み台を目指します。

早い!早い!白い波しぶきをあげて、見る間に飛び込み台にたどり着きます。

飛び込み台まで泳げた人は、たいてい階段を上り、海めがけて飛び込みます。

ずう~んともぐって、ぷはっ!と海面に顔を出します。

時には、浮き袋で泳いでたどり着いた子供が、浮き袋のまま飛び込み台からジャンプ

して、自分の身体だけがすっぽりと浮き袋から抜けて、沈んでしまったりする子供が

います。

「おい!浮かんでこないぞ!」

飛び込み台の上で、誰かが言います。

飛び込み台の上は、勇者がたくさんいるので、何人かで飛び込んで、沈んだ子供を引

き上げます。

ちょっと恐いこんな出来事も、ちいチャンが小さい頃は、笑い話ですむ出来事のよう

でした。

ちいチャンも、波打ち際の泳ぎから、丸太まで、そして、飛び込み台まで、と泳げるようになって行くのでした。

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Play back ちいチャン物語(11)おばあちゃんのミシン

2016年11月20日 19時44分46秒 | 日記

ちいチャンの家には、ミシンがあります。

ミシンは机のようになっていて、イスに腰かけると足を乗せる所が、四角になっています。

その四角い足のせ台を前後に踏むと、ミシンが動くのです。

足のせ台を踏む前に、ミシンの右側にある丸いドーナッツみたいなものを、手前にクルッ

と回さなければいけません。

ミシンには、自転車のタイヤのようなものが付いていて、そこにベルトが掛けてあります。

ベルトは、丸いドーナッツみたいなものにつながっていて、おばあちゃんがミシンを踏む

とグルグル回ります。

時々、そのベルトは外れたりするので、おばあちゃんは、掛け直すのが大変です。

そのベルトは、びろ~んとのびてる時があって、その時はベルトの交換です。

ある日、おばあちゃんは、大きな巻物のような布を部屋の奥から出して来ました。

布の端を持って、巻物をころがし、何枚かの大きな布に切り分けました。

それから、ミシンでカタカタと縫い始めました。

(何を作るのかなぁ。)

ちいチャンは、おばあちゃんのミシンの側で、おばあちゃんが何かを作っているのを見て

いました。

おばあちゃんのミシンは、朝から始まり、昼が過ぎ、夕方までかかりました。

何枚かの大きな布、それは、縁側のカーテンでした。

おばあちゃんは、踏み台に上がると、1枚1枚取り付け始めました。

新しいカーテンです。

縁側は、ずうっーと長いので、カーテンが何枚も必要です。

それから長さも、長く必要です。

おばあちゃんは、両開きにはしないで、柱から柱までを1枚、柱から柱までを1枚、と、

作りました。

これは、カーテンを開けたり閉めたりするのに、とても便利でした。

閉める時、カーテンを持って、ずんずんずんと縁側を歩きます。すると、ふたつめのカー

テンにたどり着き、またそのカーテンを持って、ずんずんずんと歩きます。

朝、カーテンを開ける時は、一番奥から開けて行きます。

閉めた時と、反対方向へ歩きながらカーテンを開けて行きます。すると、ふたつめのカー

テンがそこにあるので、カーテンの端を持って、また開けて行きます。

新しいカーテンが嬉しくて、ちいチャンは、カーテンの裏へまわると、モコモコモコとカ

ニさん歩きをしました。

カーテンは、新しい布の匂いがしました。

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Play back ちいチャン物語(10)夢中になってしまう場所

2016年11月19日 18時48分02秒 | 日記

ちいチャンの家の近くに、床屋さんがあります。

おじいちゃんは1ヶ月に1度、床屋さんに行きます。

ちいチャンは、おじいちゃんと一緒に床屋さんに行って、待っているのが好きです。

なぜって、床屋さんには、たくさんの本があるからです。

男の子用の漫画の本、女の子用の漫画の本。

漫画が大好きなちいチャンは、おじいちゃんと床屋さんのおじさんが、話をしているのも聞

こえないほど、夢中になって読んでいます。

おじいちゃんが床屋を終わって帰る時、

「ちいチャン、帰るよ!」

おじいちゃんが声をかけても、ちいチャンには聞こえません。

おじいちゃんは、床屋さんのおじさんに、小声で聞きます。

「(ちいチャンを)置いて行ってもいいかい?」

床屋さんのおじさんは、

「いいですよ。」

微笑みながら答えます。

ちいちゃんは、お店の中に人がだ~れもいなくなっても、気が付きません。

気が付いたのは、太陽が西の空に沈みかけた頃でした。

「おじさ~ん!帰るから~!」

と、ちいチャンは大きな声で言いました。

「気をつけてなー!」

床屋さんのおじさんが言いました。

ガラガラガラッ、床屋さんの入口の戸を開けて、ちいチャンは走り出します。

夕焼けが、ちいチャンの顔を赤く染めます。

(明日、漫画のつづきを読ませてもらおうかなぁ。)

まだまだ読み足りない、ちいチャンでした。

翌日、

「漫画みせてくーださーい!」

床屋さんの入り口には、ちいチャンの姿がありました。

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Play back ちいチャン物語(9)岩場の生き物

2016年11月17日 16時45分40秒 | 日記

ちいチャンの町には、桟橋があります。

桟橋の左側は砂浜で、右側は岩場になっていました。

ちいチャンは、お友達と一緒だったり、ひとりでだったりと、よくその岩場に行きます。

岩場には、大きな岩や小さな岩があり、少しだけ歩ける砂浜もあります。

岩場には、たくさんの生き物がいます。

岩の間にできたくぼみには、海水が少し入っていて、イソギンチャクや小さな魚やヤドカリ

がいました。海藻もあります。

ちいチャンは、イソギンチャクを指でつついてみると、シュッ!と水を吐きながらしぼみま

す。

イソギンチャクは、開いている時は、花のような形をしていて、指でつつくと、きゅっ!と

丸くなってしぼむのです。

そして、また静か~に開き始めます。

イソギンチャクの上を小さな魚が泳いでいました。

ちいチャンが指を入れると、魚は、クルッ!と向きを変えます。

ちいチャンは、それが面白くて何度も何度も、水の中に指を入れ、魚の動きを見ています。

それから、岩場には小さなカニがいて、岩の隙間から、そろ~と目を出して、ちょろちょろ

っと出て来ます。

1㎝ぐらいの小さなそのカニは、ちいチャンが上から手をかぶせると、すぐに捕まって、手

の中でカサカサと動くので、ほんの少しくすぐったいです。

だから、時々このカニで、お友達と我慢くらべをしたりします。

手の平にカニをのせて、カニが腕をよじ登るのを、どこまで我慢ができるのか、というもの

で、くすぐったさに負けて、カニを落としてしまった方が負けです。

我慢しすぎると、カニが腕から肩、肩から背中まで、ぐるっと回って行ってしまうので、

「取って!取って!」

と大騒ぎ。

それから、大きな岩にはフナムシがいます。

すごい速さで歩きます。走ります。

サササササッ!サササササッ!たくさんの足で、スピード全開。

ちいチャンは、フナムシは虫のようなので、あまり好きではありませんでした。

フナムシが、ちいチャンの手のそばを横ぎったり、座っているそばを通り過ぎると、少しゾ

ワッ!とします。

(フナムシは、なんだかチョットさわりたくないなぁ。)

と、ちいチャンは思いました。

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Play back ちいチャン物語(8)海を飛ぶ白い鳥

2016年11月16日 16時28分37秒 | 日記

とっても天気のいい日です。

ちいチャンとおばあちゃんは、砂浜をお散歩しています。

空は、まぶしいくらいに真っ青で、ところどころに白い雲。

雲は、動くのを忘れているかのように、じっとしています。

空には、ミュウ!ミュウ!と鳴く白い鳥がたくさん飛んでいます。

「ウミネコがたくさんいるね。」

おばあちゃんが言いました。

「ウミネコ?」

ちいチャンが聞き返します。

「ほら、いっぱい空を飛んでいるだろ。」

おばあちゃんが答えます。

「おばあちゃん、あれは鳥だよ。ネコじゃないよ。」

すると、おばあちゃんは少し笑いながら、教えてくれます。

「ミュウミュウって鳴く声が、猫の鳴き声に似てるから、ウミネコって言うんだよ。」

そう言うと、おばあちゃんは、防波堤の階段に腰をおろし海をながめます。

空と海の交わるところは、まっすぐの一本線になっていて、折り紙のように折り返したら、

空と海が重なるようです。

空の青と海の青は、すこ~し色が違います。

ちいチャンは、おばあちゃんの隣に腰かけます。

「おばあちゃん!猫は、ミュウ!ミュウ!じゃなくて、ニャ~ンって泣くよ。」

空を飛ぶ、たくさんの白い鳥をながめながら、ちいチャンは、少し不思議に思うのでした。

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Play back ちいチャン物語(7)自転車

2016年11月15日 20時30分16秒 | 日記

ある日、ちいチャンの町に自転車やさんが出来ました。

それは、物置みたいな建物で、中には自転車がたくさん並んでいました。

その建物の中で、おじさんはネジをいじったり、ドライバーを回したりしています。

道行く人には、笑顔で、

「こんにちは!」

と、挨拶をします。

ちいチャンの町の子供たちは、自転車を持っていません。

自転車が珍しく、おじさんが何か機械をいじっているのを見るのも珍しく、自転車やさんの前には、いつも

大勢の子供たちが集まっていました。

自転車やさんのおじさんは、とても気さくな人で、子供たちと気軽に話をします。

その内、子供のひとりが自転車を買ってもらいました。

補助車を付けて、海辺の道路で練習をしています。

練習をしている子のまわりには、いつもたくさんの子供たちがいました。

気が付くと、子供たちみんなが自転車持ちになっていました。

道路は、補助車を付けて練習をする子供たちでいっぱいです。

ちいチャンも、みんなよりは少し遅れて自転車を買ってもらいました。

補助車が取れて、ピュンピュン走る友達がかっこよく見えました。

ちいチャンは、早く補助車を取りたくて、朝から日が暮れるまで、毎日練習をしています。

毎日、毎日、練習をしています。

そうしたらお尻が痛くなって、自転車に座れなくなってしまいました。

ちいチャンのおしりは、真っ赤になって腫れていました。

ちいチャンは、お風呂の熱いお湯がしみるので、湯船に入れません。

おばあちゃんは、たらいにお湯を張り、白い粉のような物をいれてかき混ぜ、

「はい、ここに入りなさいょ。」

と、言いました。

たらいの白いお湯は、つるんつるんとしていて、入ってもしみません。

(魔法の粉だぁ。)

翌日、おばあちゃんは、自転車用にひもの付いた座布団を作ってくれました。

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