ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語215「マムシ酒」

2022年10月22日 19時05分29秒 | 日記
大きいお兄さんの家のお父さんは、
お酒が大好きです。
お酒を飲むと、
ほっぺたと、鼻のてっぺんが赤くなります。
大きいお兄さんの家には、
“マムシ酒”があります。
生きたマムシを捕まえて、お酒に漬けたようなのです。
大きいお兄さんの上のお兄さんが、
台所から、“マムシ酒”を持って来て、
見せてくれました。
マムシは、一升瓶の中で、とぐろを巻いて、
頭は、瓶の上の方を向いていました。
そして、そのマムシは、
日本酒の中に、どっぷりと漬かっていました。
「ちいチャン、飲むか?」
と、冗談で、
酔っぱらった大きいお兄さんのお父さんが言いました。
大きいお兄さんのお父さんは、
“マムシ酒”をコップに注ぎ、飲み始めました。
なんだか、
身体にいいんだと言っていました。
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ちいチャン物語214「大きいお兄さんの家の大きいおばあさん・その2」

2022年10月14日 19時26分08秒 | 日記
ある日、
ちいチャンが、大きいお兄さんの家に行くと、
大きいお婆さんが、ひとりでお茶を飲んでいました。
大きいお婆さんは、
「上がりなさいょ。」
と言ったので、
ちいチャンは、玄関で靴を脱ぎ、
大きいお婆さんの横に座りました。
大きいお婆さんは、お茶をすすりながら、
昔、自分が病気をした時の事を話し始めました。
大きいお婆さんは、病気で胸を取ったらしいのです。
ちいチャンは、病気の事はよくわかりません。
でも、うん、うん、と聞いていました。
大きいお婆さんは、
「ほれ!」
と言って、着物の前を開けて、胸を見せました。
大きいお婆さんは、いつも着物を着ているので、
胸の大きさは分かりません。
着物を開いて見せた大きいお婆さんの胸は、
平らで、少しひきつっていました。
大きいお婆さんは、
「胸、切ったんだぁ。」
と、小さくつぶやきました。
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ちいチャン物語213「大きいお兄さんの家の大きいお婆さん」

2022年10月13日 18時58分39秒 | 日記
大きいお兄さんの家には、大きいお婆さんがいます。
大きいお兄さんの家の、大きいお婆さんは、
時々、おじいちゃんの所に、お茶を飲みに来ます。
大きいお婆さんは、おじいちゃんに挨拶をした後は、
余りおしゃべりさんではないようです。
おじいちゃんも、余り話す方ではなく、
でも、放っておいたり無視をするというのでもありません。
おばあちゃんが居ない時は、
ちいチャンが、大きいお婆さんに、お茶を入れてあげます。
そして、
ちいチャンが、大きいお婆さんの話し相手になります。
ちいチャンは子供なので、
気の利いたおべんちゃらや、
話の間を持たせようという技術を持っていません。
だから、
大きいお婆さんに、聞かれた事の返事だけをします。
そして、しばらくすると、
大きいお婆さんは、会話の無い会話に満足したかのように、
「いやいや、ご馳走様。」
と言って、帰って行きます。
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ちいチャン物語212「波で削られる川辺の砂」

2022年10月10日 20時03分22秒 | 日記
ちいチャンの町には、
海へと流れ込む川があります。
この川には、
山から流れてくる水と、
海から押し寄せる波とが、
ぶつかり合う場所があります。
それは、ちょうど橋の下になっています。
橋の横の階段を下り、砂浜に降り立つと、
橋の幅ほどの川が、海へと広がって行きます。
川の水は、とてもキレイで澄んでいて、
所どころに、湧き水が出ている所があります。
山から流れてくる水と、
海から押し寄せる波とがぶつかる所は、
地面の砂が削られて、
断崖絶壁の様な風情をかもし出しています。
この砂を、知らずに歩くと、
ズボッ!と、足を取られて靴がびしょびしょに濡れてしまいます。
子供たちは、この場所が好きで、
地面のもろい砂に、
そお~っと、足をかけて、押し崩し、
川へ、ぽちゃんぽちゃんと落とします。
数センチから30センチぐらいの高さなので、
すべって落ちても、お尻が濡れる程度の深さです。
子供たちの足によって削られた砂は、
翌日には、また新しい絶壁を作り出します。
山からの水の量や、波の強さによって姿を変える川の幅。
そして、形や高さを変える川辺の絶壁。
川沿いを、砂を崩して歩いても、
翌朝には、新しい川辺が出来ています。

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ちいチャン物語211「自然体」

2022年10月05日 19時29分36秒 | 日記
ちいチャンの町の家は、家族がいっぱいです。
オジイチャン、オバアチャン、
おとうさん、おかあさん、
おにいさん、おねえさんが数人。
そして、
どこの家も、広くて大きいです。
子供たちは、玄関から奥の部屋まで、
全力疾走で走れるほどです。
家の中で、鬼ごっこも出来ます。
だから、身体も機敏で、すばしっこいです。
川を飛び越え、
海で泳ぎ、
山をかけあがり木に登り、
飛んだり、跳ねたり、走ったり、
子供たちの身体は、
毎日の生活の中で、
元気に、丈夫に育って行きます。
そして、家の中は笑いが絶えません。
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ちいチャン物語210「町の病院」

2022年10月04日 19時21分10秒 | 日記
ちいチャンの町には、町立の病院が1件あります。
お医者さんや、看護婦さんは、そう何人もいません。
看護婦さんは、
ケガ人の手当をします。
注射をします。
注射器を、四角い蒸し器のような物に入れて、消毒をします。
包帯は、洗って診察室の隣の部屋に干してあります。
お医者さんの横には、
消毒液の入った洗面器が置いてあり、その下にタオルがかけてあります。
そして、診察室は、白い布で覆われたつい立てがあります。
つい立ての奥にはベッドがあり、
そこで手当をしたり、注射をします。
注射の液は、ガラスのアンプルに入っていて、先が長いです。
看護婦さんは、ヤスリのようなもので、アンプルに傷を付け、
先端を、ポキッと折ります。
そして、
注射器で、中の液を吸い取り、それから針を付けました。
ちいチャンは、注射が嫌いなので、
看護婦さんの行動を、いつもじっと見ています。
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ちいチャン物語209「街の“靴磨き屋さん”」

2022年10月03日 19時42分23秒 | 日記
ちいチャンが、街に出て、
かかとの高い靴を、履くようになった頃、
ちょっと悩み事がありました。
街には、あちらこちらにマンホールがあって、
小さい穴が開いています。
網目状になっているマンホールもあります。
朝の通勤ラッシュの時に、
人ごみに急かされながら歩いていると、
靴のかかとが、マンホールの穴に入って、
ヒールの底が、スポッ!と取れてしまうのです。
これは、ちいチャンだけではない様で、
街の信号待ちの横には、
ずらりと、「靴磨き屋さん」が並んでいます。
靴磨き屋さんは、靴を磨いたり、靴の修理をします。
靴磨き屋さんの前で、バリッ!とスーツを着た紳士が、
片足を台に乗せ、靴を磨いてもらっています。
そしてその隣では、
イスに腰掛け、靴を直してもらっているお姉さんがいます。
ちいチャンは、丁度、この靴磨き屋さんの目の前で、
ヒールの底が取れてしまったので、
靴を脱いでピヨンピョンと跳ねながら、
靴磨き屋さんの前に行きました。
ちいチャンは、靴のかかとを見せました。
「靴磨き屋さん」は、ちいチャンの靴のかかとを見ると、
四角い台紙のような物の上に靴を置き、
ペンで、ぐるりと型を取りました。
それから、ノミとカナヅチで、型を切り取りました。
そして、ちいチヤンの靴を裏返し、足型の台にはめ込み、
接着剤でかかとを貼り付けて、
小さな釘で、トントントンと止めました。
ヒールの底が、きちんと合っているかどうか確認をして、
はみ出ててる部分を、刃物で削り取りました。
5分程で出来る早わざです。
靴磨き屋さんのおかげで、ちいチャンは、
靴の底がすり減った時に、取り換えてもらったり、
靴の先がぱかぱかと、剥がれそうになった時に、くっ付けてもらったり、
ヒールが折れた時に、直してもらったり、
と、お気に入りの靴は、いつまでも履く事が出来ました。

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