ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語150「シャツのそで口」

2019年12月31日 14時19分36秒 | 日記
ちいチャンのお友達に、みち子ちゃんがいます。
みち子ちゃんは、とても美人さんです。
みち子ちゃんは、いつもステキなお洋服を着ています。
みち子ちゃんのお母さんも、とても美人さんです。
みち子ちゃんは優しくて、男の子たちの天使です。
(お人形さんみたいだな。)
と、ちいチャンは思います。
だけど、
ステキなお洋服の中の、長袖のシャツのそで口が、
黒いです。
(どうしてかなあ。)
と、ちいチャンは思います。

ちいチャン物語149「疑惑の切手」

2019年12月30日 16時55分18秒 | 日記
ちいチャンは、いつものように、
おじいちゃんに頼まれて、手紙を出しに行きます。
切手はタバコやさんに売っていて、店の前にポストがあります。
その日も、ちいチャンは、
タバコやさんで切手を買って、
切手のノリの部分をペロリと舐めて、封筒に貼りました。
でも、その日は、切手が封筒にくっついてくれません。
どうも、ペロリペロリと舐めすぎて、
切手のノリが取れてしまったようです。
それでも、しかたがないので、ちいチャンは、
ツバで濡らした切手を封筒に付けて、ポストに入れました。
何日かたったある日、
ちいチャンは、おじいちゃんとおばあちゃんに呼ばれました。
大事な手紙が、戻ってきてしまった、
と、おじいちゃんが言います。
おばあちゃんは、
「切手は貼ったのかい?」
と、言います。
「うん、貼った。」
と、ちいチャンは言いました。
おじいちゃんとおばあちゃんは、
それ以上何も聞きません。
でも、ちいチャンは、なんだかとてもイヤな気持ちです。
(切手を貼らずに、出したと思ったのかなあ。)
(切手のお金を、自分のものにしたと思ったのかなぁ。)
ちいチャンは、何かを疑われているようで、
少し、悲しくなりました。

ちいチャン物語148「船に乗ってアサリ採り」

2019年12月29日 18時41分43秒 | 日記
ちいチャンの町の、海をはさんだ向かいには、
横に長い島があります。
その右横に、まるで親子のような小さな二つの島があります。
親の後に、子供がくっついているみたいです。
春が近づくまだ寒い頃、
おばあちゃんは、漁師さんの船に乗せてもらい、
親の島へ、アサリを採りに行きます。
ある年のことでした。
おばあちゃんが、ちいチャンに、
一緒にアサリを採りに行こうと言います。
ちいチャンは、漁師さんの船に乗るのは初めてです。
おばあちゃんは、ちいチャンに、
「船に乗っているときは、立っちゃいけないよ。」
と言いました。
船を操縦する漁師さんは、
「船の前の方は波がかかるから、真ん中に乗りなさい。」
と言いました。
島に着くと、みんないっせいにアサリを採り始めます。
この島は、石がアサリではないかと思うほど、
次々とアサリが姿を現します。
おばあちゃんは、大きなバケツに、
カツン、コロン、ガツッ、と、
アサリを入れる手に、休みがありません。
アサリは、砂を掘っていると、ピューと水を吐きます。
まるで居場所を教えているかのようでした。
お昼には、おばあちゃんが握ってくれたおにぎりを食べます。
ふと、おばあちゃんのバケツを見ると、
大きいバケツの半分は、あさりで埋まっていました。
帰りまで、おばあちゃんは、
バケツの八分目ぐらいまで、アサリを採っていました。
バケツを、アサリでいっぱいにしなかったのは、
アサリが呼吸をするための、海の水を入れるためです。
アサリは、船の上でも、
ピュー、ピュー、と元気よく水を吐いていました。

ちいチャン物語147「おばあちゃんのかかと」

2019年12月28日 18時46分16秒 | 日記
おばあちゃんの足のかかとは、
こちんこちんに固くなってヒビ割れています。
お正月の鏡餅にヒビが入ったような、
そんなかかとをしています。
おばあちゃんは、お風呂に入ると、
石鹸みたいな形の軽石で、
かかとをごしごしこすります。
ちいチャンもマネをして、
かかとを、こしこしやってみました。
すると、かかとは、するんするんになりました。
でも、こすりすぎると、ひりひりします。
おばあちゃんは、お風呂から上がると、
かかとに、何かの油をぬりました。

ちいチャン物語146「ほいどさん」

2019年12月27日 18時45分29秒 | 日記
ある日、ちいチヤンの家の玄関に、
変なかっこうをした男の人が来ました。
その男の人は、麻袋を切っただけのような服を着て、
縄をベルトにしていました。
そして、
ちいチャンの家の玄関前で、何かをつぶやいています。
それは、
呪文のようでもあり、お経のようでもありました。
おばあちゃんは、部屋の奥に行き、小銭を手に戻ってくると、
その男の人にあげました。
男の人は、
「おありがとうございます。」
と、言いました。
そして、おばあちゃんは台所へ行くと、
何か食べ物を包んで持ってきて、
その男の人にあげました。
男の人は、
「おありがとうございます。」
と、言いました。
その男の人は、「ほいどさん」という人のようでした。

ちいチャン物語145「バスの車掌さん」その②

2019年12月26日 17時22分39秒 | 日記
ちいチャンの町のバスには、
運転手さんと、車掌さんが乗っています。
車掌さんは、
急な山のカーブでも、ガタガタ揺れるじゃり道でも、
おーとっとっとっ、と揺れながらも、
ずっと、終点まで立っています。
ちいチャンの町のバスは、
車一台分の道の幅を走ります。
初めて乗る人は、具合が悪くなるほど、
多くのカーブがあります。
そして、山の上から下へと道が降りて行くので、
何メートルも先から、対向車が来るのがわかります。
対向車が見えると、
運転手さんはバスを止め、車掌さんはバスから降ります。
そして、
ピピーーッ!ピピーーッ!ピピーーッ!
と、笛を吹き、
バスを道幅の広い所までバックの誘導をします。
笛の吹き方には、決まりがあるようで、
ピピーーッ!と、ながーく吹いている時は、「バックしていいよ。」
ピピピピピッ!と、短く吹くときは、「ストップ!ストップ!」
のようでした。
車一台分の幅の道ですが、所々にくぼみがあって、
うまく車がすれ違えるようになっています。
バスの運転手さんは、毎日走る道なので、
何処で、何処までバックすればいいのかわかっています。
たいていは、バスの方がバックをして対向車を通します。
対向車とバスの運転手さんは、
すれ違いざまに、
「ありがとう。」「ご苦労様。」
と、手で合図をします。
ちいチャンは、この手の合図を、
(かっこいいな。)
と、思います。

ちいチャン物語144「バスの車掌さん」その①

2019年12月25日 19時28分29秒 | 日記
ちいチャンの町のバスには、
運転手さんと車掌さんが乗っています。
車掌さんは、バス停にバスが止まると、
ドアを開けて降りて来て、お客さんを乗せます。
そして、ドアを閉めると、
「はっしゃあオーライ!」
と、大きな声で言います。
車掌さんは、
がま口の形をした黒い大きなカバンを、首からぶらさげています。
バスが、ガタゴト揺れて走る中、
乗り込んで来たお客さんに近づいて、
行き先を聞いて、
切符を切って、渡します。
もちろん、お金と引き換えです。
車掌さんは、手に変なハサミを持っています。
お客さんに切符を渡す時に、そのハサミで穴を開けるのです。
車掌さんの大きなカバンには、
お金と、切符と、穴あけハサミが入っているようでした。

ちいチャン物語143「チヨちゃんの好きな人」

2019年12月24日 18時40分31秒 | 日記
ちいチャンの友達のチヨちゃんは、
テレビに出ている男の俳優さんが好きです。
チヨちゃんは、
ちいチャンのおじいちゃんが見ているテレビの、ちゃんばらが好きです。
チヨちゃんの好きな俳優さんは、
ちょんまげをして、着物を着て、刀を腰にさしています。
ちいチャンは、おじいちゃんと一緒にテレビを見ているので、
その男の俳優さんを知っていました。
でも、
その俳優さんは、
なんだか、とっても、
チヨちゃんのお父さんに似ているなぁ、
と、ちいチャンは思います。

ちいチャン物語142「庭の池」

2019年12月23日 18時13分13秒 | 日記
ちいチャンの家の庭には、池があります。
赤い金魚と黒い金魚が泳いでいます。
水面には、
カエルの座布団のような、葉っぱが浮かんでいます。
葉っぱには、ふわっと広がる白い花が咲いています。
時々、おばあちゃんは、池の掃除をします。
大きなタライを二つ用意して、
ひとつのタライには、池の花と葉っぱを、
もうひとつのタライには、網ですくった金魚を入れます。
そうして、池の水を止めている栓を抜きます。
池の水は、外の溝に流れて行きます。
池に水がなくなると、
おばあちゃんは、タワシに棒がついているようなもので、
ゴシゴシゴシゴシ洗います。
池の底は、コンクリートのような固いものでできていました。
そして、まわりは、
ゴツゴツとした岩や石で取り囲まれていました。
おばあちゃんは汗かきなので、汗がびっしょりです。
きれいになった池には、きれいな水が張られました。
金魚が放され、葉っぱと花も浮かべられました。
透き通った水からは、金魚がとてもよく見えます。
一年に、何度か洗うその池も、
おばあちゃんが、ひとつ年をとるごとに、
池には花が咲かなくなり、
池には葉っぱがなくなり、
そして、金魚もいなくなってしまいました

ちいチャン物語141「かわいく切ってください」

2019年12月22日 17時50分45秒 | 日記
ちいチャンは、
おじいちゃんと同じ床屋さんで、髪を切ってもらいます。
いつものように、床屋さんに行くと、
床屋さんのおじさんが、ちいチャンに聞きます。
「今日は、どんな風にしようか。」
ちいチャンは、
「かわいく切ってください。」
と、答えます。
床屋さんのおじさんは、にっこり微笑むと、
「かわいく、だね。」
と、言いました。
ちいチャンは、テレビに出ている女の子のように、
かわいくなるかもしれないと、ウキウキしています。
でも、
できあがったのは、いつものおかっぱ頭でした。
前髪がまっすぐ真一文字。
横の髪は、耳の下から後にまっすぐに切ってあります。
床屋さんのおじさんは、
「かわいくなったね。」
と、言います。
でも、
(いつもとおんなじ。)
と、ちいチャンは思います。

ちいチャン物語140「おばあちゃんの足のコブ」

2019年12月21日 17時22分39秒 | 日記
おばあちゃんの足には、まあるいコブがあります。
右の足首と左の足首の前の方です。
親指と人差し指で丸を作ったぐらいの大きさです。
痛そうでも、痒そうでもありません。
ちいチャンは、そのコブをさわってみました。
とても固くて、コチコチしています。
おばあちゃんは、いつも正座をして座っています。
おばあちゃんは、女の人が足を伸ばすのは、
みっともないと言います。
ご飯を食べるときも、お茶を飲むときも、テレビを見るときも、
いつも、いつも、正座をしています。
おばあちゃんの足のコブは、「座りダコ」というもののようでした。
正座ばかりしているので、畳や座布団ですれて固くなって、
それが、だんだんと大きくなり、
ちいチャンには、コブに見えたのでした。
おばあちゃんの「座りダコ」は、
ずうっと、消えることはありませんでした。

ちいチャン物語139「おばあちゃんが漬けるたくあん」

2019年12月20日 18時52分05秒 | 日記
おばあちゃんは、漬物を作るのが上手です。
大きな木のタルに、干した大根を漬けます。
おばあちゃんは、むいたミカンの皮と柿の皮を、
広い大きなザルに広げて干します。
大根を漬ける時に、
このカラカラに乾いたミカンの皮と柿の皮を、
一緒に入れて漬けるためです。
おばあちゃんは、木のタルに米のぬかを振り入れ、
塩を振りいれると、大根をならべ始めました。
まっすぐに、きれいに大根が前にならえをしています。
すると、おばあちゃんは、その上にまた、ぬかを振り入れ、
塩を振り、今度はミカンの皮と柿の皮を乗せました。
そうして、次に並べられた大根は、
先に並べたタテの大根とは違う、ヨコ並べでした。
おばあちゃんは、その同じ順番を何度も繰り返し、
最後に、
大きな丸みのある石を、
ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつと、
タルに乗せていきました。
大根の上には、重いものをいっぱい乗せないと、
おいしく漬からないのだと、おばあちゃんが言います。
でも、
ちょうど食べごろになったころ、
重い石を、ひとつ、ふたつ、みっつとよけて行き、
おいしく漬かった「たくあん」を取り出して、
そして、また、
ひとつ、ふたつ、みっつと、
重い石を、もとにもどして行くのは大変だなぁ、と、
ちいチャンは思います。

ちいチャン物語138「学校へ続く一本道」

2019年12月19日 18時34分17秒 | 日記
ちいチャンは、テストが近くなると、
教科書を読みながら、学校への道を歩きます。
道は、車も通らず信号もありません。
通学時間帯には、バスもありません。
うつむいて教科書を見ていると、
教科書の下に、道路の右側と左側が見えるのです。
そして、教科書の上側は、道路の前方が見えます。
水たまりを避け、馬のふんを避け、
小道にも入り込まずに、学校に着きます。
道は一本道で、
途中から、車の走る道と歩行者用の道に分かれます。
山道なので、歩行者用の道は、車は通れません。
道がせまく、坂が急で、車1台の道の幅もないのです。
だから、この道路で寝ころんでも、
ふざけて遊びながら歩いていても自由です。
子供たちは、手に手に、いろんなものを持っています。
道端で摘んだ「花」、
落ちていた「木の枝」、
白いキラキラした「石」
ぼろぼろになった「縄」
つかまえた「昆虫」
子供たちのオモチャは、自然の中の自然のもので出来ていました。

ちいチャン物語137「恐怖マンガ」

2019年12月18日 18時41分08秒 | 日記
ちいチヤンのお友達に、
学校にマンガを持って来て、休み時間に読んでいる子がいます。
ちいチャンは、マンガを買ってもらえないので、
その子が読んでいる時に、後からのぞいて一緒に見ています。
毎週、マンガの続きを見るのが楽しみです。
ある日、ちいチャンは、その子からマンガを借りて、家へ持って帰りました。
わくわく、どぎどき。
ひとりで、じっくり見るのは初めてです。
ちいチャンは、自分がマンガの主人公になったような気がします。
読み進んで行くと、
「ヘビ女」のマンガがのっています。
いつもは、友達の後から一緒に見るので、あまり怖さを感じません。
でも、その日はひとりです。
マンガの中の母親は、人間の姿をしていますが、
本当はヘビだったのです。
夜にはヘビに姿を変え、毎夜“生の卵”をまる飲みしています。
口を大きく開け、飲み込んだ卵は、のどをごくりごくりと通って行きます。
そして、次の日の朝は、いつものやさしい母親に戻っています。
ちいチャンは、
(おばあちゃんも、ヘビ女かもしれない・・・。)
そんなことを思ってしまいました。

ちいチャン物語「そして、ちいチャン」(136)

2019年12月17日 19時25分23秒 | 日記
鏡を見て、ちいチャンは、にこっ!とほほえんでみました。
鏡を見て、ちいチャンは、ぷんっ!とふくれてみました。
鏡を見て、ちいチャンは、つん!とすましてみました。
それから、
右を見て、左を見てみました。
(おかあさんみたいだ。)
と、ちいチャンは思います。