ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

Play back ちいチャン物語(138)学校へ続く一本道

2017年04月30日 19時40分42秒 | 日記

ちいチャンは、テストが近くなると、

教科書を読みながら、学校への道を歩きます。

道は、車も通らず信号もありません。

通学時間帯には、バスもありません。

うつむいて教科書を見ていると、

教科書の下に、道路の右側と左側が見えるのです。

そして、教科書の上側は、道路の前方が見えます。

水たまりを避け、馬のふんを避け、

小道にも入り込まずに、学校に着きます。

道は一本道で、

途中から、車の走る道と歩行者用の道に分かれます。

山道なので、歩行者用の道は、車は通れません。

道がせまく、坂が急で、車1台の道の幅もないのです。

だから、この道路で寝ころんでも、

ふざけて遊びながら歩いていても自由です。

子供たちは、手に手に、いろんなものを持っています。

道端で摘んだ「花」、

落ちていた「木の枝」、

白いキラキラした「石」

ぼろぼろになった「縄」

つかまえた「昆虫」

子供たちのオモチャは、自然の中の自然のもので出来ていました。


Play back ちいチャン物語(137)恐怖マンガ

2017年04月29日 18時52分14秒 | 日記

ちいチヤンのお友達に、

学校にマンガを持って来て、休み時間に読んでいる子がいます。

ちいチャンは、マンガを買ってもらえないので、

その子が読んでいる時に、後からのぞいて一緒に見ています。

毎週、マンガの続きを見るのが楽しみです。

ある日、ちいチャンは、その子からマンガを借りて、家へ持って帰りました。

わくわく、どぎどき。

ひとりで、じっくり見るのは初めてです。

ちいチャンは、自分がマンガの主人公になったような気がします。

読み進んで行くと、

「ヘビ女」のマンガがのっています。

いつもは、友達の後から一緒に見るので、あまり怖さを感じません。

でも、その日はひとりです。

マンガの中の母親は、人間の姿をしていますが、

本当はヘビだったのです。

夜にはヘビに姿を変え、毎夜“生の卵”をまる飲みしています。

口を大きく開け、飲み込んだ卵は、のどをごくりごくりと通って行きます。

そして、次の日の朝は、いつものやさしい母親に戻っています。

ちいチャンは、

(おばあちゃんも、ヘビ女かもしれない・・・。)

そんなことを思ってしまいました。


Play back ちいチャン物語(136)そして、ちいチャン

2017年04月28日 19時19分04秒 | 日記

鏡を見て、ちいチャンは、にこっ!とほほえんでみました。

鏡を見て、ちいチャンは、ぷんっ!とふくれてみました。

鏡を見て、ちいチャンは、つん!とすましてみました。

それから、

右を見て、左を見てみました。

(おかあさんみたいだ。)

と、ちいチャンは思います。

 


Play back ちいチャン物語(135)おばあちゃんの髪

2017年04月27日 20時13分31秒 | 日記

おばあちゃんは、逆毛を立てています。

髪の毛を、まっすぐ上にひっぱって、

くしを上や下にとかしています。

おばあちゃんの髪の毛は、綿アメみたいにふくらんで、

ぺたんぺたんだったおばあちゃんの頭が、

髪の毛がふえたみたいに大きくなりました。

それから、

おばあちゃんは、口紅をつけました。

おばあちゃんは美人さんだな、

と、ちいチャンは思います。


Play back ちいチャン物語(134)しるし

2017年04月26日 23時53分14秒 | 日記

ちいチャン物語は、133話めに一旦終了の告知をしましたが、まだ少しだけ続きます。

ちいチャン物語134話「しるし」

ちいチャンとおばあちゃんは、海に沿った道を歩いています。

ふと見ると、電信柱や塀に何かしるしが書いてあります。

おばあちゃんは立ち止り、じっとしるしを見ています。

「ちいチャン、これはな、津波の波がここまで来たというしるしなんだよ。」

と、おばあちゃんが言いました。

そのしるしは、小さいちいチャンの背丈より、ずっと高い位置にありました。

ちいチャンは、泳げないので、

(こんな高さまで波が来たら、おぼれてしまう。)

と、思いました。

近所の人が数人出て来て、おしゃべりを始めました。

「津波が来た時、うちのばあちゃんは、庭の木に登ったそうだ。」

「若だんなは、電信柱に登ったんだと。」

「生きた心地がしなかったそうだ。」

と、伝え聞いた話を始めました。

そして、ちいチャンは、おばあちゃんに、

「おばあちゃん、浮き袋をふくらませて、枕のとこに置いておく。そして、津波が来たら、浮き袋で泳ぐよ。」

と、言いました。

おばあちゃんは、返事をせずに、小さく微笑むだけでした。

今、大きくなったちいチャンは、

何も言わなかったおばあちゃんの頭の中を、覗いた気がします。

おばあちゃんは、どんな気持ちで、電信柱や塀のしるしを見ていたのかと。

 


Play back ちいチャン物語(132)咳が止まらない夜・その2

2017年04月26日 00時11分15秒 | 日記

コンコン!コンコン!コンコン!コンコン!

布団の中で、ちいチャンが咳をしています。

コンコン!コンコン!コンコン!コンコン!

止まりません。

おばあちゃんは、台所に行って、ネギを火であぶります。

ネギに少し、焦げ目が付きました。

おばあちゃんは、そのネギをガーゼに乗せて、くるくるっと巻きました。

「ちいチャン、これを首に巻きなさい。」

と、言って、おばあちゃんは、ネギをくるんだガーゼを、ちいチャンの首

に巻きました。

焼いたネギは、少し温かいです。

首に巻いたネギは、ネギの匂いがします。

ちいチャンは、ネギの匂いに包まれなから、うとうと眠ってしまいました。

翌朝、首に巻いたネギは、ぐるっと首を回って後に行っていました。


Play back ちいチャン物語(131)魚拓

2017年04月24日 20時10分49秒 | 日記

漁師さん家に、炭で描かれた大きな魚の絵が飾ってありました。

ある家では、茶の間の壁に飾ってあります。

ある家では、奥の部屋の神棚近くに飾ってあります。

版画のようなその絵は、「魚拓」というのだそうです。

漁師のおじさんは、

「今まで釣った魚の中で、一番大きいやつだ。」

と、言って笑います。

「おじさん、コレどうやって作ったの?」

ちいチャンが聞くと、おじさんは、

「魚に墨をつけて、上から紙で押さえたんだ。」

と、言います。

ちいチャンは、せっかく釣った魚に墨をつけたら、真っ黒で食べられ

なくなってしまう、と思います。

(もったいないなぁ。)

と、ちいチャンは思いました。

漁師のおじさんは、ちょっと自慢そうでした。


Play back ちいチャン物語(130)ハモをさばくおばあちゃん

2017年04月22日 18時31分27秒 | 日記

朝、おばあちゃんが桟橋から帰って来ました。

手には金属のボールを持っています。

中にはなんだかにゅるにゅる動く魚が入っています。

それは、“ハモ”という魚のようでした。

“ハモ”は、ボールの中でヘビのようにカーブを描いて動きます。

おばあちゃんは、木のまな板と千枚通しを用意すると、“ハモ”の頭を

千枚通しで固定しました。

包丁で頭の方からしっぽにかけてまっすぐに切り込みを入れます。

そして頭から尻尾にかけて、骨だけを切り落としました。

ちいチャンは、おばあちゃんの技はすごいなと思います。

夕方、おばあちゃんは朝にさばいたハモを、砂糖と醤油で煮ました。

この日の夕ご飯は、ハモ丼です。

ちいチャンは、ハモ丼が大好きです。

大きくなってウナギ丼を初めて食べた時、ちいチャンは、ハモ丼を思い

出したのでした。


Play back ちいチャン物語(129)寝押し

2017年04月20日 18時38分29秒 | 日記

ちいチャンは、ひだのたくさんあるスカートを履いていました。

夜、おばあちゃんは、ちいチャンのスカートを畳に置きひだを揃えています。

そして、その上に日本手ぬぐいをかけ、ちいチャンの敷布団を敷きました。

今夜は、ちいチャンは敷布団の下にスカートを敷いて寝ます。

翌朝、布団を上げると、スカートのひだはアイロンをかけた様に、折り目正しく

揃っていました。

おばあちゃんは、これを、

「寝押しと言うんだよ。」

と言いました。

ズボンプレッサーがまだ無かった頃、おじいちゃんのズボンも「寝押し」をされて

いました。

おじいちゃんやおばあちゃんの布団の下では、寝押しができません。

体重の重い人の布団の下にズボンを敷くと、翌朝、ズボンに畳の網目の跡が付

いてしまいます。

「ちいチャン、布団を貸してね。」

と、おばあちゃんは、ちいチャンの布団でいつも「寝押し」をします。

 


Play back ちいチャン物語(128)蛇の目傘

2017年04月19日 20時57分47秒 | 日記

ちいチャンが小さい頃、家には2種類の傘がありました。

布の傘と紙の傘です。

紙の傘は、蛇の目傘と名前がついていました。

蛇の目傘は、骨が竹で出来ていて、その上には紙が貼ってあります。

紙の上は、なにか雨がはじくような工夫がされているようでした。

傘は、玄関に置く時は、持ち手を下にして置きます。

濡れた時は、開いて干して乾かします。

ちいチャンは、蛇の目傘って、なんだか油っぽいような気がします。

蛇の目傘は、古くなってくると、骨と骨の間が破けてきます。

蛇の目傘は重いので、両手で持ったり肩にのせたりしてさします。

近所に折り紙の好きなおばさんがいました。

おばさんの家のテレビの上には、小さな蛇の目傘が飾ってありました。

おばさんは、おじさんが吸ったタバコの空き箱で、蛇の目傘を折ったの

だと言いました。

とてもかわいい、素敵な傘です。

 


Play back ちいチャン物語(127)鳴きの悪いカラス

2017年04月17日 18時56分31秒 | 日記

ちいチャンの家の裏は、山です。

夕方になると、カアカアとカラスが山の中へ消えて行きます。

ある昼下がり、ちいチャンの家の近くの電信柱のてっぺんで、カラスが

ガアガア、ガアガアと鳴いていました。

おばあちゃんは、

「カラスの鳴きが悪いな。」

と、言いました。

「カラスの鳴きが悪いの?」

と、ちいチヤンは聞きました。

カラスの鳴きが悪いと、何日かの内に亡くなる人が出るのだと、おばあ

ちゃんは言いました。

そして、そう言ったおばあちゃんの顔は、少し暗くなりました。

 


Play back ちいチャン物語(126)おじいちゃんが仕事に行く朝・その3

2017年04月16日 19時36分31秒 | 日記

おじいちゃんは、仕事に出かける時はいつも、白いワイシャツにネクタイ、

そして、スーツです。

玄関には、毎朝ピカピカの黒い靴が揃えてありました。

その靴は、毎朝、おばあちゃんが磨いています。

瓶に入った黒い靴墨を布に付け、靴全体に塗ってのばします。

それから、別の布で拭き取って、靴用ブラシでシャカシャカ、シャカシャカ

何度でも、つやが出るまで磨きます。

おばあちゃんの指は、靴墨で真っ黒になります。

ときどきは、ちいチャンもマネをして磨いてみます。

でも、おばあちゃんの様には、ピッカピッカにはなりません。


Play back ちいチャン物語(125)台所大改造

2017年04月14日 18時52分43秒 | 日記

ある日の事でした。

ちいチャンが外から帰って来ると、家の中に大工さんがいました。

大工さんは、台所の床に何かを貼っています。

それは、“ビータイル”というもののようでした。

ちいチャンは、“ビータイル”がめずらしくて、大工さんの仕事をじっと見つ

めています。

見渡すと、台所にはタイルの流しがなくなっていて、ピカピカのシンクの流

しが置いてありました。

水道の蛇口も付いています。

見渡すと、釜戸と水がめは取り外され、その分床が広くなっています。

そして、広くなった床の上には“ビータイル”が貼られ、ガス台が置かれて

います。

バーナーのコンロも外されました。

ちいチャンの家の台所の大改造です。

床が板ではなくなったので、ちいチャンは、なんだか外国の台所を見てい

るような気がしました。

“ビータイル”床になってから、床の掃除は雑巾からモップに変わり、水から

ワックスに変わりました。

毎日の掃除が、ちょっと楽になりました。

おばあちゃんも嬉しそうです。

 


Play back ちいチャン物語(124)おじいちゃんが仕事に行く朝・その2

2017年04月13日 18時55分32秒 | 日記

おじいちゃんの髪は白いです。

おじいちゃんは、髪に“ポマード”というヘアクリームを付けます。

それは、半透明の黄色いクリームです。

仕事に行く日の朝、おじいちゃんはポマードを髪に塗り、くしでとかします。

鏡を見て、髪の右や左を丁寧にとかします。

髪には、くしの跡が付いています。

ポマードは、なんだか油みたいだな、と、ちいチャンは思います。


Play back ちいチャン物語(123)おじいちゃんの家着

2017年04月12日 19時19分38秒 | 日記

おじいちゃんは、家にいる時は、ラクダのももひきとラクダのシャツを着て

囲炉裏の前に座っています。

冬は、その上に丹前を着ます。

丹前は、着物に綿が入っているような長い物です。

おじいちゃんは、囲炉裏のそばで、タバコをふかします。

時々、キセルに煙草を入れて吸います。

お客様が葉巻をひと箱おみやげにと、持って来た事がありました。

でも、おじいちゃんはあまり好きではないようでした。

ラクダのももひきとラクダのシャツは、夏は半そでの綿シャツとサルマタ

に変わります。

玄関にお客様が見えると、おじいちゃんは奥の部屋にチョット引っ込み、

上に着物を着て出て来ます。

おじいちゃんは、ちょっとオシャレです。