ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語207「魚屋さんに売っている魚」

2020年02月29日 18時48分38秒 | 日記
ちいチャンは大きくなって、街で生活を始めたある日、
(魚が食べたいなぁ。)
と、思いました。
それで、ちいチャンは、魚を買おうと魚屋さんに行きました。
魚屋さんの店の前には、
ザルに盛られた魚が、所狭しと並べられていました。
店の前からは、大きな声で、
「よってらっしゃい!買ってらっしゃい!」
と、元気なオジサンの声が聞こえます。
元気なオジサン周りには、人だかりが出来ていて、
ちいチャンも、そお~っと後から覗いてみました。
オジサンの声に誘われて、気持ちが楽しくなりました。
でも、店先の魚を見て、
ちいチャンはビックリしてしまいました。
魚屋さんに売っている魚は、
みんな死んでいるのです。
ピチピチピチピチ跳ねていません。
おばあちゃんは、
いつも桟橋で、生きのいい生きたままの魚を買って来て料理をします。
おばあちゃんの買って来る魚は、まな板の上でピチピチピチピチ跳ねています。
魚屋さんに売っている魚は、ピクリとも動きません。
(死んだ魚を買うのはイヤだなぁ。)
と、ちいチャンは思いました。
仕方なくちいチャンは、とぼとぼと店を後にしました。
ちいチャンは、
ふぅ~、とため息をつきながら、
(おばあちゃんの魚が食べたいなぁ。)
と、故郷が恋しくなりました。
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ちいチャン物語206「東京オリンピックが始まった日」

2020年02月28日 19時21分05秒 | 日記
東京オリンピックが始まった日、
おじいちゃんとおばあちゃんは、
ずっとテレビを見ています。
ずっとテレビの前から離れません。
話す話題は、オリンピックの事ばかりです。
ちいチャンは、つまらなくて、
外に出てみました。
外は、シーンとしていて、
店先に、オバチャンの姿は無く、
桟橋に、漁の網を繕う漁師さんの姿も無く、
防波堤に腰かけて、タバコを吸うオジイサンの姿も無く、
いつもは、お茶飲みに歩くオバチャンの姿も無く、
まるで町から、人が消えたようでした。
いつもは楽しい海沿いの道が、
今日はひとりぽっちの散歩道。
ふと後を振り返っても、
ヒューと、風が髪を吹き抜けるだけでした。
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ちいチャン物語205「納豆」

2020年02月27日 19時30分04秒 | 日記
ちいチャンは、ピーマンが嫌いです。
スパゲティに入っている、
小さな、小さなピーマンも、
ひとつずつ、取り除きます。
ある日、ちいチャンは、
お友達の家に泊まる事になりました。
家族みんなでわいわい楽しい夕食を過ごし、
布団の中で、おしゃべりをする楽しい時間を過ごしました。
翌朝、
お友達のお母さんが、
「ちいチャンは、納豆は好き?」
と、聞きます。
ちいチャンは、納豆が大好きなので、
「うん!」
と、答えました。
でも、出て来た納豆に、
ちいチャンはビックリしました。
お友達の家の納豆には、
細かく刻んだピーマンが、
ネギの代わりに入っているのです。
ちいチャンは、心の中で悩みます。
(納豆が、ベタベタくっつくから、ピーマンを取るのは難しいなぁ。
納豆と同じぐらいピーマンが入ってるなぁ。
納豆、好き!って言っちゃったから、どうしよう。)
お友達も、お友達のお母さんも、キラキラした目で見ています。
仕方がないのでちいチャンは、
覚悟を決めて食べる事にしました。
納豆は、ピーマンで、シャリシャリします。
なんだか、緑の葉っぱを食べている味がします。
ちいチャンには、
楽しい夕飯に反して、つらい試練の朝ご飯でした。
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ちいチャン物語204「知らなかった3つの野菜・その3」

2020年02月26日 19時10分41秒 | 日記
ある日、ちいチャンは、
料理の本を見ていました。
そこには、調味料や野菜の材料が書いてありました。
「塩、コショウ、鷹の爪」
と、書いてあります。
(鷹の?爪?)
料理に鷹の爪を入れると書いてあるので、
ちいチャンは、不思議な気がしました。
ある日、
街の八百屋さんで、
「鷹の爪」を発見しました。
でも、それは、
赤い唐辛子に似ています。
「鷹の爪」は、本当に鷹の爪のように、
鋭く先がとがっていて、丸くカーブを描いています。
ちいチャンは、
(鷹の爪の本物を見るのは、初めてだ!)
と、鷹の爪に視線がくぎづけです。
(鷹の爪って、唐辛子に似ているんだなぁ。)
と、ちいチャンは思いました。
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ちいチャン物語203「知らなかった3つの野菜・その2」

2020年02月25日 18時55分43秒 | 日記
ちいチャンは、街の八百屋さんの店先で、
不思議な野菜を見つけました。
ザルに乗ってるその野菜には、
「キヌサヤ」と書いてありました。
その野菜は、「キヌサヤ」という名前のようでした。
でも、
おばあちゃんが言う「えんどう豆」に似ています。
おばあちゃんが作る味噌汁の、「えんどう豆」と似ています。
ちいチャンは、
「キヌサヤ」という野菜は初めてです。
(えんどう豆みたいなキヌサヤだなぁ。
キヌサヤって、どんな味がするのかなぁ。)
と、上から横から斜めから、
じっ!と、キヌサヤを見ています。
えんどう豆と、そっくり双子のキヌサヤは、
(どうやって食べるのかなぁ。)
と、ちいチャンは思います。
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ちいチャン物語202「知らなかった3つの野菜・その1」

2020年02月24日 18時33分06秒 | 日記
ちいチャンは、街の八百屋さんで、
不思議な野菜を見つけました。
それは、
「いんげん」です。
「いんげん」は、細くて長く、
町で言う「ササギ」に似ています。
(いんげんって、ササギかなぁ、似てるなぁ。
いんげんじゃなくて、ササギは売っていないのかなぁ。)
と、ちいチャンは、じっ!と、いんげんを見ています。
そして、
他の野菜のまわりに、ササギがないかと探しました。
でも、ササギは売っていませんでした。
いんげんは、ササギにとてもよく似ています。
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ちいチャン物語201「飛行船」

2020年02月23日 19時24分34秒 | 日記
ある日、
空に、
大きな、大きな、
空気の入ったバットのような、
太っちょで長い物体が、
ふわりふわりと揺れて、浮かんでいました。
その物体には、何か字が書いてありました。
どこかを目指して、進んでいるようでした。
ふわりふわり、ふわりふわり、
ゆっくりゆっくり、ゆっくりゆっくり、
ちいチャンの頭の上を、通り過ぎて行きました。
とても不思議な光景でした。
だから、
おばあちゃんに聞いてみました。
おばあちゃんは、
あれは、「飛行船」なのだと、
教えてくれました。
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ちいチャン物語200「夏の成人式」

2020年02月22日 18時42分35秒 | 日記
1月15日の成人式の日、
お姉さん達は、奇麗な着物を着て、
成人式に出席します。
ちいチャンは、20才の成人式の日に、
着物を着るのを楽しみにしていました。
でも、
ちいチャンの町の成人式は、
いつの頃からか、
夏の、8月15日になってしまいました。
それで、
夏の成人式には、
着物を着るお姉さんがいなくなりました。
ちいチヤンは、
長い振袖の着物が着たかったので、
とてもガッカリです。
成人式が夏になったのには、理由があります。
ちいチャンの町の子ども達は、学校を卒業すると、
ほとんどが、街へと出て行ってしまいます。
1月15日の成人式は、
年末年始の休暇で帰って来ていた子ども達も、
ほとんどが街へ戻ってしまい、
地元に残っている人しか集まらないのです。
成人式を、8月15日にすると、お盆の頃なので、
子ども達は里帰りで帰って来ていて、
成人式には、ちょうど良い時期のようでした。
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ちいチャン物語199「ととこ」

2020年02月21日 23時57分19秒 | 日記
英語の先生は、
前髪を横から分けています。
少し長い前髪は、
歩く度に、ゆらゆらと左右に揺れます。
それを見て、
男の子たちは先生に、
「ととこ」
と、あだ名を付けました。
授業の始まりに、
教科書を持って、先生が歩いて来ると、
「ととこが来た!」
と、誰かがみんなに知らせます。
「ととこ」というのは、ニワトリの事のようで、
先生の前髪の揺れ方が、
ニワトリのトサカの揺れ方に、似ているからのようでした。
男の子たちの、あだ名付け方は、
とてもユニークです。
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ちいチャン物語198「国語の先生」

2020年02月20日 19時05分28秒 | 日記
ちいチャンの学校の、国語の先生は、
作文やノートに、
渦巻きのマルや、花マルを書きません。
ちいチャンのよく分からない、評価の仕方をします。
先生は、赤ペンで、
「優」「良上」「良」「下」
と、それぞれを評価します。
(なんだろうなぁ。)
と、ちいチャンは不思議です。
それで、ちいチャンは、おばあちゃんに聞いてみました。
おばあちゃんは笑いながら、
「優」が一番良い評価で、
「下」が一番下の評価なのだと教えてくれました。
ちいチャンが、宿題で書いた「雲」の詩は、
赤いペンで、
「良上」と書いてありました。
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ちいチャン物語197「詩」

2020年02月19日 19時08分35秒 | 日記
ちいチャンは、困っていました。
学校の、国語の先生が、
「明日まで、詩を書いて来るように。」
と、宿題を出したのです。
“詩”は、どう書くのか、
ちいチャンはわかりません。
ずっとノートとにらめっこをして、悩んでいます。
「ちいチャン、どうしたんだい?」
側で、
洗濯物をたたんでいたおばあちゃんが聞きます。
「おばあちゃん、詩って、どうやって書くの?」
と、ちいチャンが聞きます。
「思ったことを書けばいいんだよ。」
と、おばあちゃんが答えます。
思ったことが浮かばないちいチャンは、
頭の中がまっ白です。
すると、
「空を見てごらん。あの雲はどうかな?」
と、おばあちゃんが言いました。
「白くて大きくて、クジラみたいだよ。」
と、ちいチャンが答えます。
「じゃあ、それを書けばいいんだよ。」
と、おばあちゃんが言いました。
ちいチャンは、クジラのような雲を見ていると、
雲は動いて進んでいました。
動くと、今度は形を変えて、後に小さな雲が付いて来ます。
(親子のクジラだ!)
楽しくなったちいチャンは、
クジラの親子の詩を書くことにしました。
雲のクジラの親子は、ふわふわふわふわと、
空を通り過ぎて行きました。
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ちいチャン物語196「マジシャン?」

2020年02月17日 19時14分50秒 | 日記
おじいちゃんとおばあちゃんは、
ちいチャンの嫌いな物を、
好きにさせるマジシャンです。
うるさく吠えている恐い犬、
食べられなかったお魚、
嫌いだった野菜。
みんな、みんな好きになりました。
今、犬が大好きです。
今、お魚が大好きです。
今、野菜が大好きです。
気が付いたら、
大好きになっていました。
おじいちゃんとおばあちゃんは、
謎のパワーを持っているのでしょうか。
(おじいちゃんとおばあちゃんは、すごいなぁ。)
と、ちいチャンは思います。
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ちいチャン物語195「山から立ち昇る白い煙」

2020年02月15日 19時30分50秒 | 日記
砂浜から、はるか遠くを見上げると、
遠い山のてっぺんに、
ポツンと、建物がありました。
この建物は、半島の、ずうっと端の方なので、
ちいチャンは、行った事がありません。
建物には、エントツが付いています。
そのエントツから、
時々、煙が立ち昇ることがあります。
ちいチャンは、おばあちゃんに、
「あれ、なぁに?」
と、聞くと、
おばあちゃんは、
あそこは火葬場なのだと言いました。
そして、
立ち昇る遠くの煙を見つめながら、
「誰か死んだんだなぁ。」
と、ささやくようにつぶやきました。
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ちいチャン物語194「がまガエル」

2020年02月14日 19時13分05秒 | 日記
ある日、
大きいお兄さんが、ちいチャンに、
「がまガエルに、おしっこをひっかけられると、目が見えなくなるんだよ。」
と、言いました。
がまガエルは、棒でつついたりりすると、
シュッ!と、おしっこをして跳びます。
がまガエルは、背中がボツボツしていて、姿も大きく、
見つけただけで、
ちいチャンは、恐くて逃げてしまいます。
「ウシガエルというカエルもいるんだよ。」
と、大きいお兄さんは言いました。
がまガエルよりも、もっと大きくて、
大きいお兄さんの、お父さんの手のひらぐらいの大きさ、
が、あるようです。
そして、
ウシガエルの鳴き声は、牛の声に似ているんだ、
と、教えてくれました。
ちいチャンは、まだ、ウシガエルを見たことがありません。
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ちいチヤン物語193「カップの中の白い皮」

2020年02月13日 19時30分55秒 | 日記
時々、おばあちゃんは、
食パンを焼いてくれます。
そして、
飲み物に、牛乳を温めてくれます。
おばあちゃんは、鍋に牛乳を入れて温めます。
牛乳は、鍋の中でぷくぷくと泡をたてます。
そして、おばあちゃんは、
その牛乳を、カップに注ぎます。
でも、
飲む時に、牛乳の上に白い皮が浮かんでいて、
飲むと、唇にベタッ!と、くっつくのです。
ちいチャンは、女の子なのに、
唇の上に、白いおヒゲが出来てしまいます。
牛乳を、温める前には無かった、この白い皮、
(なんだろうなぁ。)
とちいチャンは、不思議です。
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