ある日、
少し遅くなった、仕事の帰り道、
自動販売機の前のバス停に、
つばの広い帽子をかぶり、
トレンチコートを着たおじさんが、
バスを待っている風に立っていました。
道幅が狭かったので、
ちいチャンは、おじさんの後を通り過ぎようとしました。
すると、おじさんは、
まるで“とうせんぼ”でもするかの様に、
ちいチャンの前に立ちはだかって、
トレンチコートを、
左右に、バッ!と開きました。
「見て!」
か、
「見た?」
か、
おじさんは何か言った様でしたが、
おじさんは、
おじさんの正面が影になる様に立っていたので、
ちいチャンは、
トレンチコートを開いたその場所に、
何があるのか分かりませんでした。
(???変なおじさん。)
ちいチャンは、頭をかしげつつ帰りました。