ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(110)『台所の水がめ』

2022年05月30日 18時47分38秒 | 日記
ちいチャンが小さい頃、台所に釜戸があり、その横に水がめがありました。
水がめは四角い形をしていて、周りは四角の小さなタイルで囲まれていました。
水がめの上には、お風呂の蓋のような蓋がかぶせてあります。
蓋の上には、水まきをする時に使うような柄杓(ひしゃく)が置いてあります。
水がめは、非常用に水を汲んで入れてあるようでした。
時々、おばあちゃんは、柄杓で水を汲み、台所の洗い物に使います。
中の水を使い切ると、おばあちゃんは、水がめ用のバケツに水を汲んで運び、水がめの中に入れます。
バケツは大きいので、とても重そうです。
バケツひとつでは、水がめは一杯にはならないので、
おばあちゃんは、何度も水を汲んで運びます。
非常用の水なので、水がめの中にはいつも、きれいな水を入れておかなければいけないようでした。
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ちいチャン物語(109)『おばあちゃんの教え・その3』

2022年05月29日 19時40分36秒 | 日記
夏の頃、お墓の近くに、赤いかんざしの様な花が咲きました。
それは、お墓のあちらこちらに咲いていて、赤の色が鮮やかでした。
「おばあちゃん、あの花きれいだね。」
ちいチャンがお墓の方を指さすと、
「ちいチャン、お墓を指さしてはダメだよ。お墓を指さすと指が曲るよ。」
と、おばあちゃんが言いました。
それから、
「あの花は、曼珠沙華(まんじゅしゃげ)と言って、毒があるから触っては
ダメだよ。」
と、言いました。
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ちいチャン物語(108)『おばあちゃんの教え・その2』

2022年05月27日 19時16分16秒 | 日記
大きいお兄さんが、口笛を吹きながら桟橋を歩いています。
潮風に乗って、メロディーが聞こえて来ます。
(わあ~、すごいなあ。)
口笛を吹くお兄さんは、かっこ良く見えました。
ちいチャンは、大きいお兄さんのマネをして、
唇をとがらせて吹いてみました。
ふー!ふー!ふー!
音は出てきません。
ふー!ふー!ふー!
音のない息だけが出て来ます。
(口笛が吹けるようになりたい。)
と、ちいチャンは思いました。
翌日からちいチャンは、口笛の練習を始めます。
ふー!ふー!ふー!
ふー!ふー!ひゅー!
ひゅー!ひゅー!ピュー!
最初はぜんぜん出なかった音が、すこ~し出る様になりました。
ある日の夜、
口笛の練習をすると、
ピーー!!
唇から大きな音が出てきました。
(あっ!吹けた!)
ちいチャンは、びっくりして、そして嬉しくなりました。
すると、おばあちゃんが、
「ちいチャン、夜に笛を吹くもんじゃないよ。夜に笛を吹くと、蛇が出るよ。」
と、言いました。
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ちいチャン物語(107)『敷居にろうそく』

2022年05月26日 19時17分35秒 | 日記
ちいチャンの家の各部屋は、障子(しょうじ)、襖(ふすま)、引き戸で仕切られています。
障子をスーッと開けて、パタンと閉めます。
襖をスーッと開けて、パタンと閉めます。
引き戸をスーッと開けて、パタンと閉めます。
時々、障子や襖や引き戸が、スーッと開かなくなる時があります。
ガタッと引っかかったり、手前と後の障子がぶつかったり。
おばあちゃんは、障子にハタキをかける時、障子を開けたり閉めたりするの
で、開けにくい障子には手間取ります。
そんな時、おばあちゃんは、敷居にロウを塗ります。
ローソクの芯の付いていない方で、すりすりすりすりと敷居にロウを塗ります。
そうすると、とてもすべりが良くなって、障子が列車のように走ります。
おばあちゃんは、ついでにと、家中の開きの悪い敷居にロウを塗ってまわります。
ロウは、縁側のガラス戸の敷居にも、塗る時があります。
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ちいチャン物語(106)『トイレの手洗い水、吊り手水(ちょうず)』

2022年05月25日 19時04分15秒 | 日記
ちいチャンが小さかった頃、トイレの手洗い場に水道が付いていませんでした。
白い洗面台のような物は付いていましたが、蛇口がありません。
手洗い場の右上に、小さいバケツのような物がぶらさがっています。
小さいバケツのような物の中には、水が入っています。
小さいバケツのような物の底には、指先でチョンと押すと引っ込むような、ノズルが付いています。
ノズルを下から手で押すと、水がチョロチョロ出て来ます。
これは、トイレから出た後で、手を洗うための水です。
中の水がなくなったら、水を汲んで来て足しておきます。
隣には、手拭き用のてぬぐいが掛けてあります。
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ちいチャン物語(105)『七輪(しちりん)でサンマ』

2022年05月24日 19時08分25秒 | 日記
おばあちゃんが、物置から「しちりん」を出してきました。
「しちりん」は、植木鉢みたいな形をしています。
下の方に、小さな扉があります。
おばあちゃんは、「しちりん」を、庭に置きます。
「しちりん」の中には、焼けた炭を入れ、上に網を乗せます。
おばあちゃんは、「しちりん」で、サンマを焼き始めました。
「しちりん」の下の小さな扉を開けて、うちわでパタパタあおいでいます。
風のふく方向によって、サンマから立ち上る煙の向きが変わります。
時々、うちわであおいでいるおばあちゃんの方へ、煙が来ます。
おばあちゃんは、頭をずらして煙をよけます。
時々、煙を吸って、咳をします。
「ばっぱ!サンマを焼いているのかい。」
サンマの煙に誘われて、近所のオジサンがやって来ました。
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ちいチャン物語(104)『古いお金』

2022年05月23日 18時53分21秒 | 日記
おじいちゃんの机の、そろばんの入っている引き出しには、見た事の
ないお金が入っています。
それは、ちいチャンが、おじいちゃんのそろばんで遊ぼうと、引き出しを開けた時に、見つけました。
銭形平次が投げるような、真ん中が四角の丸い小銭と、外人の男の
人が描かれている紙のお金、それから、ぞうりを小さくしたみたいな形の、金色のお金です。
真ん中が四角の丸い小銭は、銭形平次が投げる小銭に似ています。
(銭形平次の小銭だ!)
ちいチャンは思いました。
(でも、銭形平次って、こんな字じゃない。)
小銭には、なんだか難しい字が書いてあります。
ちいチャンは、銭形平次の投げる小銭には、「銭形平次」と書いてある、と思っています。
外人の男の人が描かれている紙のお金は、
ちいチャンには、オモチャのお金のように見えました。
ぞうりみたいな金色のお金は、テレビで見る小判に似ています。
(悪代官が、着物の袖から出す小判だ!)
ちいチャンは、心がわくわくしました。
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ちいチャン物語(103)『台所の天窓』

2022年05月22日 18時27分52秒 | 日記
ちいチャンの家の台所には、天窓がありました。
台所の天井は高く、三角形にとがっています。
三角形にとがった天井の斜めの所に、四角い天窓が付いています。
天窓は手の届く高さではなく、天窓から下へロープが下してあります。
そのロープは、台所の床の脇に、くるくると巻き込んで止めるようになっています。
おばあちゃんが、巻き込んであるロープを外すと、天窓は、ガラガラガラッと音をたてて、斜めにすべり落ち窓が開きます。
開いた天窓は、まっすぐに空を写し出します。
晴れた日は、青一色の天窓です。
そして、そこからこぼれ落ちる太陽の光を、台所の床に四角に映します。
ちいチャンが、四角に映った床の光を覗き込むと、ニョロっと、ちいチャンの影が映ります。
面白くて、四角い光の中へ、出たり入ったりしてみます。
そして、中指と親指でキツネを作って、影絵遊びをします。
両手で鷹を作ってみます。
両手で犬を作ってみます。
天窓からのライトと台所の床のスクリーンで、ちいチャンは、影絵師です。
夜、天窓が開いている時、ちいチャンは、台所の床にあおむけに寝ころびます。
見上げると、天窓の向こうには、キラキラとお星様が光っています。
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ちいチャン物語(102)『甘酒を作るおばあちゃん』

2022年05月21日 19時00分09秒 | 日記
おばあちゃんは、毛が生えたようなお米を、ボールの中でポロポロにほぐしています。
そして、白いご飯を混ぜました。
楽しそうに何か、作っています。
大きめのボールに入ったそれは、毛布にくるまれて、コタツの中に入れられました。
「ちいチャン、足に気をつけてね。」
と、おばあちゃんが言います。
コタツに入ると、そのボールは足先にツンと触れて、ちいチャンは、そろ~りと足を横にずらします。
出来上がったボールの中身は、どろっとした白い液体と、お米のつぶつぶが、混じっているものでした。
甘いょうな、すっぱいような、臭いような、変な臭いがします。
「ちいチャン、飲んでみるかい。」
そう言って、おばあちゃんは、おちょこに少しくれました。
唇をちょんとつけて、ちょろっとなめてみました。
甘いけれど、変な味です。
「おばあちゃん、これ、いらない。」
ちいチャンは、おちょこをおばあちゃんに返しました。
おばあちゃんは笑いながら、
「これはね、甘酒というんだよ。」
と、言いました。
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ちいチャン物語(101)『おじいちゃんの入れ歯』

2022年05月20日 19時00分15秒 | 日記
ちいチャンの家には,洗面台というものがありませんでした。
その代り、台所に流しのシンクが二つありました。
ひとつは料理用のシンクで、もうひとつが洗面用のシンクです。
右側のシンクで、おばあちゃんが料理をして、左側のシンクで、おじいちゃん
やちいチャンが、歯を磨いたり、顔を洗ったりしています。
おじいちゃんは、夜、歯を磨き終わると、水の入ったコップの中に、入れ歯を
入れて寝ます。
朝、ちいチャンが起きて顔を洗う時、シンクの少し上の所に、コップに入った
入れ歯が置いてあります。
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ちいチャン物語(95)『年末に、手伝いに来てくれるオジサン』

2022年05月19日 19時03分00秒 | 日記
年末になると、いつも手伝いに来てくれるオジサンがいます。
オジサンは、おじいちゃんの年賀状の代筆をしたり、まゆだま用の
枝を、山から切って来てくれたり、綱を編んでくれたりします。
綱は、玄関扉の上に飾る物で、横綱のまわしの様な形をしていま
す。
オジサンは、綱を編んで玄関上に飾り、白い紙を付けました。
おじいちゃんは、この綱に思い入れがあるようで、きっちり仕上がる
と満足そうで、何度も外に出ては、玄関上の綱を見上げ、目を細め
ます。
おじいちゃんは、このオジサンをとても信頼している様です。
オジサンは、おじいちゃんが大好きな様です。
おばあちゃんは、おじいちゃんとオジサンの間には、口をはさみま
せん。
オジサンは、おじいちゃんの要望になんとか近づける様にと、一生
懸命手伝ってくれます。
日も暮れて帰る頃、おばあちゃんはオジサンに、日本酒や酒の肴
を持たせてあげます。
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ちいチャン物語(94)『お歳暮の時期』

2022年05月18日 19時34分39秒 | 日記
十二月になると、ちいチャンの家には小包が届きます。
長崎の「カステラ」、青森の「りんご」、「飴の入った丸い缶の3個入り」、北海道の「チーズとバターの詰め合わせ」、なぜか「福神漬け」,「牡蠣飴」、お酒などなど。
荷物は、おじいちゃんの書斎に置かれます。
おじいちゃんの書斎は、荷物置き場になってしまいます。
近所の人が、のしを付けたビールやお酒を持って来ると、おばあちゃんは、
「ちょっと待ってて。」
と言って、おじいちゃんの書斎に駆け込み、その中からお返しにあげたい物を探して持たせてあげます。
「これ、持って行って。どうもありがとう。」
おじいちゃんは、各県に知り合いが多いようです。
荷物が届けば、お返しも送らなければなりません。
近所の人から、いただき物をすれば、お返しをしなければなりません。
おばあちゃんは、やりくりが大変そうでした。

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ちいチャン物語(93)『神棚のまゆだま』

2022年05月17日 19時46分56秒 | 日記
ちいチャンの家では、お正月に、天井近くにある神棚に、「まゆだま」を飾ります。
「まゆだま」は、数本付いてる木の枝に、小さくちぎった餅を付けた物です。
この「まゆだま」作りは、毎年、ちいチャンの仕事でした。
暮れにお米屋さんから、お正月用に突き上がった餅が届いた日、おばあちゃんは、餅を切り分けながら、「まゆだま」用に細長いひものように切った餅を数本作り、ちいチャンに渡します。
ちいチャンは、畳の上に新聞紙を敷き、「まゆだま」用の木の枝を置きます。
それから、ボールに水を入れ、側に置きます。
細長い紐のような餅を小さくちぎり、木の枝に付けて行きます。
餅は、だんだんベタベタとして来て、指に付き始めます。
そうすると、小さくちぎった餅が指から離れなくなり、枝に付けられません。
そこで、側に置いたボールの水で指先を洗います。
「まゆだま」は、餅がたくさん付いていると、雪のようにキレイに見えるので、ちいチャンは、たくさん付けます。
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ちいチャン物語(92)『お正月の餅』

2022年05月16日 18時54分54秒 | 日記
暮れ近く、ちいチャンの家では、近所のお米屋さんに、もち米を持って行って、餅をついてもらいます。
もち米は、四角い平らな餅になって、戻って来ます。
大きさは、座布団ぐらいです。
まだ、消しゴムのような弾力のある段階で、おばあちゃんは、四角い平らな餅に包丁を入れます。
最初は、長方形の長い餅に切り分けます。
それから、1センチ幅くらいの大きさの、切り餅に切って行きます。
包丁で切れるくらいの柔らかさなので、切るほどに餅が包丁にくっついて来て、だんだんと重くなります。
おばあちゃんは、包丁を軽く濡らしながら、餅を切ります。
餅は、お米屋さんから届いた日に切らないと、一日置くごとに固くなり、切るのが大変になります。
おばあちゃんは、切り分けた餅に白い粉を振りました。
「こうすると、餅をはがしやすいからね。」
おばあちゃんが言いました。
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ちいチャン物語(91)『暮れの大掃除』

2022年05月15日 18時41分43秒 | 日記
ちいチャンの町は、暮れの大掃除の時期が来ると、町中の人た
ちが、大掃除をする家に、手伝いに集まります。
一件一件、日にちを変えて、各家々に手伝いに行きます。
おとうさん達は、天井のすすを掃ったり、重い家具を移動したり、
おかあさん達は、雑巾片手にあっちへ行ったり、こっちへ行ったり。
そして、台所では、数人のおかあさん達が、料理当番です。
食事は、大掃除を手伝いに来てもらっている家が、ふるまいます。
ちいチャンの町の家々は、広い家が多いので、大掃除は夕方まで
かかります。
大掃除中、にぎやかな話し声や笑い声が絶えません。
町中揃って、家族の様です。
ちいチャンは、ちいチャンの家の大掃除の日になると、人がたくさん
集まるので嬉しいです。
でも、ちょろちょろして危ないからと、外に出されてしまいます。

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