ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語264「街の駐車場で・その4」

2020年04月30日 19時57分27秒 | 日記
ちいチャンは、
街の駐車場で、
揃えてある靴を、時々見る様になりました。
(あれ?また靴が置いてある。どうしてかなぁ。)
不思議が不思議でたまりません。
そんなある日、
駐車場で、車に乗り込もうとしている男の人がいました。
その男の人は、車のドアを開け、
運転席に腰かけて、足は車の外に出し、
普通の事の様に、靴を脱ぎました。
そして、
脱いだ靴を手にすると、助手席側に置きました。
そして、
普通の事の様にドアを閉め、走り去って行きました。
それを見て、
ちいチャンは、
駐車場の、揃えてある靴の原因が分かった様な気がしました。
駐車場に靴があったのは、
運転する人が、
自分が靴を脱いだのを忘れて、
そのまま走り去って行ってしまったのでしょう。
(ああー、そうかー。)
ちいチャンは、
忘れん坊の運転手さんがいるんだなぁ、と、
不思議の心が、くすぐったくなりました。

ちいチャン物語263「街の駐車場で・その3」

2020年04月29日 19時24分30秒 | 日記
ちいチャンは、
街の駐車場で、
また、不思議な光景を見ました。
車の去ったその場所に、
靴が、キチンと揃えて置いてあるのです。
ちいチャンは、
その靴の主は、ここで靴を脱いで、身体は何処にいったのたろう?
と、周りを見渡しました。
でも、周りに人はいません。
裸足で歩いて行ったのか、
突然消えてしまったのか。
ちいチャンは、探偵の様に頭の中がぐるぐるぐるです。

ちいチャン物語262「街の駐車場で・その2」

2020年04月28日 19時11分11秒 | 日記
ちいチャンは、
街の駐車場で見かけた、タバコの吸い殻の山が、
なぜそこにあるのかと、
ずっと不思議で、不思議で、不思議でした。
ある日、
ちいチャンは、
駐車場から出て行こうと、エンジンをかけている車を、
なにげなく見ていました。
すると、
その車の運転席の男の人は、
ドアを開け、座ったままで、
車の中の吸い殻入れを取り出すと、
地面に、コンッ!と捨てました。
吸い殻入れには、沢山吸ったタバコの殻が、
たまっていた様でした。
それから、
車のドアを閉めると、普通に走り去って行きました。
車のいなくなったその場所には、
ちいチャンが前に見た、
タバコの吸い殻の山がありました。
ちいチャンは、
とても不思議な光景を見た気がして、
しばらく、その場から離れられず、
また、同じ光景を見ていました。

ちいチャン物語261「街の駐車場で」

2020年04月27日 18時45分56秒 | 日記
ある日、ちいチャンは、
街の駐車場で、不思議なものを見つけました。
車が去った後の駐車場に、
タバコの吸い殻が、こんもりと山を作っていたのです。
ちいチャンは、
なぜそこに、タバコの吸い殻の山があるのか分かりません。
立ち止まって、ジッと見ています。
タバコの吸い殻の山は、風が吹くと、
コロコロコロところがって、
散り散りバラバラに広がって行きました。
そして、それぞれの方向に飛んで行って、
吸い殻の山は、無くなってしまいました。
(なんだったんだろう。)
と、ちいチャンは不思議です。

ちいチャン物語260「ギブスと松葉づえ」

2020年04月26日 18時45分17秒 | 日記
大きいお兄さんの弟が、
足を骨折して、松葉づえをついています。
足は、ギブスで大きくて、
白い包帯でぐるぐる巻かれていました。
大きいお兄さんの弟は、
松葉づえを、まるで遊具のように操って、
なんだか少し、得意げです。
ちいチャンは、
松葉づえや、ギブスの包帯を、
かっこいいな、と思いました。
大きいお兄さんの弟は、
家族のみんなに、いつもより優しくされて、
なんだか、いつもより、
甘えっこさんでした。

ちいチャン物語258「眠れない」

2020年04月24日 18時29分49秒 | 日記
ちいチャンは、布団の中で困っていました。
あっちを向いたり、こっちを向いたり。
隣の部屋からは、
おじいちゃんとおばあちゃんの、いびきが聞こえて来ます。
おじいちゃんとおばあちゃんは、ぐっすり寝むっている様です。
ちいチャンは、目がギンギン。
お茶を飲み過ぎて、なかなか眠くなりません。
柱時計は、たくさんの時を知らせる音を出し始め、
そして、
少ない時を知らせる音に変わります。
ちいチャンは、なんだか悲しくなって来て、
布団から起き出して、
おじいちゃんとおばあちゃんの部屋へ行き、
おばあちゃんの枕元に座りました。
おばあちゃんは、ぐっすり寝むっているので、
眠れないからと、起こすわけにも行きません。
ちいチャンは、心の中で、
(おばあちゃん、なかなか眠れなくて、困った。)
と、ささやきました。


ちいチャン物語257「お茶・その2」

2020年04月23日 18時58分53秒 | 日記
おばあちゃんは、
お客様やおじいちゃんに、一番茶を入れます。
それから、
おばあちゃんとちいチャンの湯飲み茶わんに、
お茶をそそぎます。
ちいチャンは、お茶が好きです。
お客様がいない時でも、
おじいちゃんにお茶を入れてから、
自分の湯飲み茶わんにお茶を入れて、
一緒に飲みます。
時々、お茶の葉を多く入れ過ぎます。
お茶の色は濃くなって、苦いです。
そんな苦いお茶を飲んだ夜は、
目がギラギラ、ギラギラ。
あっちに寝返り、こっちに寝返り。
柱時計の音を聞きながら、
睡魔に見放された夜を過ごします。

ちいチャン物語256「お茶」

2020年04月22日 19時20分15秒 | 日記
ちいチャンの家では、
毎日、お茶をいれます。
朝一番に、仏壇の仏様へ供える為のお茶です。
その時、おばあちゃんは、
おじいちゃん、おばあちゃん、ちいチャンの湯飲み茶わんにも、
朝一番のお茶をそそぎます。
ちいチャンの家では、
朝起きて、お茶を飲み、
朝食後に、お茶を飲み、
近所の人が来ては、お茶を飲みます。
だから、茶の間には、すぐにお茶がいれられる様に、
「筒に入った茶葉」「急須」「湯飲み茶わん」「茶托」「お盆」
が、置いてあります。
そして、
出がらしの茶葉を入れる、
「茶殻入れ」
が、置いてあります。

ちいチャン物語255「お金は」

2020年04月21日 19時22分06秒 | 日記
ちいチャンが小さい頃のお金は、
百円は、紙幣で出来ています。
五十円は、十円玉よりも大きい大きさで、
まん中に穴が開いているものと、
まん中に穴が開いていないものがありました。
キャラメルは、一粒一円で、
イチゴのかき氷は、十円です。

ちいチャン物語254「キセル」

2020年04月20日 19時28分25秒 | 日記
また別の日、
おじいちゃんに、お客様が来ています。
そのお客様は、
キセルとタバコの葉をお土産に、持って来ました。
そしてやっぱり、
おじいちゃんに、使い方と吸い方を説明しています。
キセルをくわえたおじいちゃんは、
テレビの時代劇の人の様で、カッコイイです。
キセルに、タバコの葉を詰めて火をつけて、
ふう~、と煙をはきました。
そして、中身をポン!と囲炉裏に投げ捨てました。
おじいちゃんは、いつも、
目を細めながら、静か~にタバコの煙を吸い込んで、
静か~に煙をはき出します。
何かを考えている様な、
何も考えずにいる様な、
おじいちゃんだけの時間の中にいます。
キセルのタバコは、お客様が帰った後、
一度か二度、吸ったみたいでしたが、
その後は、
おじいちゃんが手にする事はありませんでした。
でも、
ちいチャンは、
テレビの中でしか見た事のないキセルを目の前で見て、
(キセルって、かっこいい!)
と、思います。

ちいチャン物語253「葉巻」

2020年04月19日 18時01分35秒 | 日記
おじいちゃんに、お客様が来ています。
おみやげにと、箱に入った葉巻を持って来ました。
その人は、葉巻が好きな人の様で、
おじいちゃんに、葉巻の吸い方を説明しています。
おじいちゃんは、葉巻を一本取り出して、
ぷかっと、吸って見せました。
それから、楽しく話が弾み、お客様は帰って行きました。
でも、
ちいチャンは、
その後、
おじいちゃんが葉巻を吸っているのを、見た事がありません。

ちいチャン物語252「編み物上手なオバチャン・その2」

2020年04月17日 18時53分11秒 | 日記
近所のオバチャンは、
着なくなったセーターをほどいて、
大きな輪っかに、束ねます。
クリスマスのリースみたいな形です。
束ねた毛糸を、洗剤の入ったお湯で手洗いをします。
そおっと、そおっと、押し洗いをします。
そうすると、
ほどいてチリチリになった毛糸が、
真っすぐの、ふわふわの、新しい毛糸に生まれ変わるようです。
そうして干して、乾いたら、
今度は、毛糸の巻き取り機みたいな物にはめ込んで、
オバチャンは、くるくるくると毛糸を巻き取って行きます。
オバチャンは、毛糸を巻くのが速いです。
毛糸の玉が、どんどんどんどん大きくなって行きます。
オバチャンは、とても上手に、
まんまるの毛糸の玉を作ります。
ちいチャンも、やらせてもらいましたが、
デコボコの毛糸の玉になってしまいます。
まんまるの毛糸の玉を作るには、
タテに巻いたり、ヨコに巻いたり、斜めに巻いたりと、
コツがある様でした。

ちいチャン物語251「手のひらの卵」

2020年04月16日 21時12分40秒 | 日記
ちいチャンは、近所の友達と一緒に、
背より高く伸びた草むらで、
探検ごっこをしています。
草をかき分け、斜面を登り、
トゲのある枝にひっかかっては、振りほどき、
草の実が、髪に服にくっつきます。
ふと、見ると、
高く伸びた草の上に、小さな卵が乗っていました。
2㎝ほどの小さな卵です。
ちいチャンは、
何かの鳥の卵だと思いました。
だから、
(うちに持って帰って暖めたら、鳥になる。)
と、思いました。
そおっと手のひらでくるんで、大事に大事に持ちました。
そして、探検続行です。
今度は、片手で草をかき分けて進まなければいけません。
草は、ばしっばしっと顔に当たります。
そして、少し小さな斜面は、草をロープ替わりにして、
うんしょ、うんしょと登ります。
それでも、ちいチャンは片手なので、
なかなか登れません。
友達が手を引っ張ってくれて、
やっと、小高い丘に出ました。
帰りは今度は、今来た道を戻ります。
やっぱり、背より高く伸びた草をかきわけ、
草を、ロープ替わりに斜面をすべり下ります。
汗びっしょりの探検が終わって、卵を思い出し、
手のひらを開いてみると、
卵は、べとべとになって、つぶれていました。
探検中、卵を忘れて、つい手に力が入ってしまったのでしょう。
卵は、手のひらの中で、つぶれていました。
ちいチャンは、
大事な宝物を失ったように、
とてもガッカリして、
とぼとぼとぼとぼ、家へ帰ります。

ちいチャン物語250「エレベーターガール・その2」

2020年04月15日 19時46分58秒 | 日記
エレベーターガールのお姉さんは、
エレベーターに乗ったまま、
上へ行ったり、下へ行ったりしています。
そして、
呪文の様に、
「上へまいります。」
「下へまいります。」
「○○売り場でございます。」
を繰り返しています。
ちいチヤンは、エレベーターガールのお姉さんを、
(お人形さんみたい。)
と、思います。
素敵なスタイルに、綺麗な顔。
そして、
無表情です。
ある時、
エレベーターの前に、
エレベーターガールのお姉さんが立っていました。
エレベーターのドアが開くと、
中にはエレヘーターガールのお姉さんがいます。
エレベーターガールのお姉さんが二人になりました。
ちいチャンは、とても珍しい光景を目にしたのでした。
ちいチャンは、珍しいので、ジッと見ています。
エレベーターガールのお姉さん達は、
お互いに向かい合って、
深々と丁寧なおじぎをし、
中のお姉さんと外のお姉さんが、入れ替わりました。
そして、
ドアが閉まる前に、また、お互いにおじぎをし、
お互いを見送りました。
ちいチャンは、
エレヘーターから降りて来たエレベーターガールのお姉さんを、
不思議そうに見ています。
お人形の様なエレベーターガールのお姉さんの、
歩く姿を見るのは初めてです。
エレベーターガールのお姉さんは、
普通のお姉さんの様に、歩いて去って行きました。
ちいチャンは、
ほっ!として、がっかり!しました。

ちいチャン物語249「エレベーターガール」

2020年04月14日 18時50分30秒 | 日記
街のデパートには、エレベーターがあります。
エレベーターには、
「エレベーターガール」
と言われるお姉さんが乗っています。
エレベーターガールのお姉さんは、
とても綺麗で美人です。
そして、
色が白くて、マツゲが長く、綺麗にお化粧をしています。
エレベーターガールのお姉さんは、
帽子を被り、デパートの制服を着て、白い手袋をしています。
そして、
いつも、エレベーターの階を押すボタンの場所に立っています。
片方の手を、階を押すボタン所に、
片方の手は、扉の開け閉めのボタン所に、
スタンバイしています。
そして、
「上へまいります。」
「下へまいります。」
と言ってボタンを押します。
そして、
階ごとに、〇〇売り場でございます、と知らせてくれます。
「2階、婦人服売り場でございます。」
乗っているお客さんは、
「降ります!」
「〇階お願いします。」
と、伝えます。
ちいチャンにとって、
エレベーターのボタンは、
エレベーターガールのお姉さんだけが使える、
眩しい、憧れのボタンでした。