ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語(32)『蜘蛛の巣の虫取り網(虫網)』

2013年08月31日 13時28分40秒 | 日記


ちいチャンの町の雑貨屋さんには、夏になると虫かごや虫取り網が店頭に並び
ます。
でも、男の子たちが虫取りに使う網は、手作りだったりします。
針金で、丸い輪っかを作り、竹の棒の先に差し込んで、網が付いていない虫取
り網みたいん物を作ります。
そうしたら、軒下や縁の下に、蜘蛛の巣がないか探します。
時には、電信柱と屋根の間などに、大きい蜘蛛の巣があったりします。
その蜘蛛の巣を、丸い輪っかに引っかけて取ります。
上手く行くと丸い輪っかに、蜘蛛の巣がキレイに貼り付いて網ができます。
失敗したら、次の蜘蛛の巣を探し、貼り付けます。
そうして出来た虫取り網で、男の子たちは、トンボやセミを取りに行きます。
蜘蛛の巣が昆虫の羽に付くと、昆虫は飛べなくなるようで、そのまま落下して
しまいます。
ちいチャンは、男の子たちの虫取りを見ていて、落ちたトンボにさわってみま
したが、羽が蜘蛛の巣でベタベタしていました。
きれいな羽は蜘蛛の巣で汚れ、
(かわいそうだなぁ....。)
と、思いました。
男の子たちは、羽に付いた蜘蛛の巣を手で軽く拭いて、虫取りかごにトンボを
入れました。




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ちいチャン物語(31)『おばあちゃんの教え』

2013年08月30日 18時27分20秒 | 日記


おじいちゃんもおばあちゃんも、爪を切る時には、日差しの明るい縁側で、
新聞紙を広げて切ります。
大きなレンズの老眼鏡をかけて、ダルマバサミというハサミを使って切りま
す。
ダルマバサミは、お裁縫の握りバサミの親分みたいな大きさです。
おじいちゃんとおばあちゃんの爪は、厚みがあって、爪切りでは切れないみ
たいに見えました。
ある夜、
ちいチャンは、爪切りではなくてダルマバサミで爪を切ろうと思い、新聞紙
を用意して、広げようとしました。
すると、おばあちゃんが、
「ちいチャン、夜に爪を切るもんじゃないんだよ。」
と、言います。
「どうして?」
と、ちいチャンは、おばあちゃんに聞きました。
「夜に爪を切るとな、゛親の死に目に会えない゜と、昔から言われているん
だよ。」
と、おばあちゃんは言いました。
ちいチャンは、
(親の死に目には会いたくないけど、会えないのはイヤだ。)
と、思いました。
だから、ダルマばさみと新聞紙は、もとに戻しておきました。
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ちいチャン物語(30)『輪まわし(自転車のタイヤ)』

2013年08月29日 04時17分43秒 | 日記


すり切れて古くなった自転車のタイヤは、子供たちの遊びの道具です。
まずは、タイヤで遊ぶ道具を作ります。
手に握れるほどの太さの竹に、ナタで縦に切り込みを入れ、タイヤの太さ
より少し長めの小さい竹をはさみ込みます。
アルファベットのYの字に、横線が入ったような形になります。
そうしたら、切り込みが広がらないように、根本をビニールテープでクル
クルっと巻いて止めます。
道具は、これで出来上がりです。長さは1メートル位です。
自転車のタイヤを立てて、地面近くに斜めに棒を差し込み、コロコロと転
がします。
これは、なかなか難しく、タイヤは真っ直ぐには転がってくれません。
本体から外されたタイヤは、中が空洞なので、右に左にカーブして、倒れ
てしまったりします。
ちいチャンの海辺の町は、車があまり通らず、防波堤にそって道路も真っ
直ぐなので、子供たちは道路で、このタイヤ転がしを競います。
地面に線を引き、よ~いどん!で走りはじめ、道路に置いた目印の空き缶
をぐるっとまわって、Uターンをして折り返し、もとの場所に早くたどり着
いた子が勝ちです。
ちいチャンは、すり切れた自転車のタイヤを持っていないので、この遊び
はいつも見ているだけでした。
ちいチャンは、ちょっとだけ貸してもらった事がありましたが、転がす前
にタイヤは倒れてしまいます。
うまくタイヤが立って転がっても、タイヤだけが先に行ってしまい、ちい
チャンは竹の棒を持って追いかける事になります。
この遊びは、ほとんどが男の子で、タイヤを自由自在にあやつります。
男の子たちは、まるで曲芸師のようです。
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ちいチャン物語(29)『下駄のお天気占い』

2013年08月28日 12時24分47秒 | 日記


ちいチャンは、下駄でお天気占いをして遊びます。
ちいチャンは、履いている下駄をぽーん!と、空に向かって放り投げます。
下駄が、ひっくり返って落ちたら「雨」、横向きに落ちたら「曇り」、履いて
いた通りに落ちたら「晴れ」です。
明日、晴れて欲しい時に、ひっくり返って落ちたら「雨」なので、もう一度や
り直して、「晴れ」が出るまで続けます。
たまには、何度やっても「晴れ」が出ない時があります。
そんな時、ちいチャンは、裏返しの下駄を表向きに直して、
(晴れ!)
にします。
今日もお天気占いの、元気なちいチャンの声が響きます。
「あーした天気に、なーあーれ!!!」
ちいチャンのお天気占いに、「雪」が無いことに、ちいチャンは気が付いてい
ないようです。

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ちいチャン物語(28)『砂浜の忍者石(石投げ)』

2013年08月27日 10時18分23秒 | 日記

海岸の砂浜には、たくさんの小石が落ちています。
小石は、丸くて平です。
ほとんどの小石は、波で角が削られ丸くなっています。
ちいチャンは、この平な丸い石で、石投げをして遊びます。
人差し指、中指、親指の3本で小石を平に持ち、脇の下から真っ直ぐに海に向けて、
波の上をすべらせます。
石は、水面上でバウンドをして、次の水面へ向かいます。
そして、またそこでバウンドをして、次の水面へ跳びます。
上手くできると、小石は、3段4段と水面上を飛び跳ねます。
最初の頃は、石投げが上手くいかずに、ちいチャンの投げた石は、ポチャン!と海の中
に落ちていました。
ちいチャンは、小石をたくさん集めて足元に置き、いっぱいいっぱい練習をしました。
ちょっと、野球の投手の投げ方に似ているような気がします。
石は、ポチャン!と落ちてる段階から、1バウンドするようになり、2バウンド、3バ
ウンドと出来るようになりました。
すご~く上手く行く時は、石がビョンビョンビョンビョンビョン!と波の上を忍者のよ
うに、飛び跳ねて行きます。
昼間は波がまぶしく、石の着地地点がよく見えません。
夕方の空が赤く染まる頃になると、砂浜には点々と、石投げをする子供たちの固まりが
出来てきます。
その中に、大きいお兄さんもいて、大きいお兄さんの投げ方は、子供たちの憧れでした。
大きいお兄さんの持つ石は大きく、石のバウンドする長さも長く、バウンドする数も多
く、ずうっと遠くまで、石が跳んで行くからです。
子供たちは、大きいお兄さんの足元に、小石を小さな山にして集め、大きいお兄さんが
投げるのを、キラキラした瞳で見つめていました。
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ちいチャン物語(27)『お風呂の名前 (五右衛門風呂)』

2013年08月26日 14時35分31秒 | 日記


ちいチャンの家のお風呂は、薪(まき)で沸かします。
お風呂は、変な形をしています。
ご飯を炊く時の鉄の釜のような形をしていて、蓋(ふた)は半月の木の板が2枚
です。
蓋を開けるとお湯の上に、まあるい平な木がプカプカと浮かんでいます。
これは足を乗せる為の、底の板です。
この板を、静かにお湯の中に沈めて行くと、丁度いい深さの所でカシッ!とハマ
ります。
お風呂は釜の形なので、底は丸くなっています。
だから、この浮かんでる木を床にして、湯船につかります。
板は、底まで行くと、しっかりとハマるようで、1度沈めてしまえば大丈夫てす。
でも、ちいチャンがやると、板が斜めにハマったり、板を踏み外して底に足が着い
てしまったり、板が飛び上がって湯船からジャンプしたりして、少し危ないです。
この釜のようなお風呂の隣には、小さい釜のお風呂が付いていて、そこには水が入
っています。
お湯がちょっと熱い時に、ここから水を汲んで湯船に入れたりします。
おばあちゃんは、背中にタオルを当てて湯船に入ります。
このお風呂は金属なので、直接触れると少し熱いです。
でも、火傷をする程の熱さでもなく、少し不思議なお風呂です。
このお風呂の名前は、「五右衛門風呂」というのだそうで、ちいチャンの町で「五
右衛門風呂」は、ちいチャンの家だけでした。
ちいチャンは、そろ~りそろ~り入る、この「五右衛門風呂」より、ざぶん!と入
れるお風呂がいいな、と、思います。






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ちいチャン物語(26)『夏の訪問者』

2013年08月25日 08時35分50秒 | 日記


ある夏の日、
ちいチャンの家の中に、巨大な黒いトンボが入って来ました。
トンボは、開け放した縁側の、一番奥の部屋からスイ~~~~~~っと飛んで
来て、ちいチャンの目の前をまっすぐに通り過ぎ、どこにもぶつからずに、ま
たスイ~~~~~っと玄関から出て行きました。
あまりに巨大なので、ちいチャンは、思わず逃げ出しそうになりました。
至近距離10センチ。
玄関から出て行った時は、
(あ~、良かった~、恐かった!)
と、思いました。
後になって、それは、「オニヤンマトンボ」というのだとわかりました。
男の子たちが、とても欲しがっているトンボのようでした。
それから、また別の日の夜、
ちいチャンが外にあるトイレに行こうとすると、門の外灯の灯りに誘われて、
大きな虫が、羽音をさせて飛んでいる時があります。
それはカブトムシだったり、クワガタムシだったり。
カブトムシは、門にぶつかって下に落ち、仰向けになって手足を、モジャモジ
ャと動かして、起き上がれないでいたりします。
ちいチャンは、おばあちゃんを呼びに行きます。
「おばあちゃーん!変な虫が落ちてるよー!」
おばあちゃんは、カブトムシをつまむと、庭の木の枝につかまらせてあげました。
翌朝、ちいチャンが庭の木を見ると、カブトムシはいなくなっていました。
(山に帰ったんだな~。良かったな~。)
ちいチャンは、家の裏の山を見上げました。


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ちいチャン物語(25)『輪ゴムの音』

2013年08月24日 12時40分34秒 | 日記


輪ゴムは、ちいチャンの楽器です。
輪ゴムを1本歯にくわえ、指で引っ張って伸ばします。
そして、空いている片方の指で輪ゴムをはじきます。
ビョョン!ビョョン!ビョョン!
輪ゴムが歌います。
引っ張ったり、縮めたり、指ではじく場所を変えたりすると、音が変わる
ので、ちいチャンは
(面白い!)
と、思います。
唇を閉じると、きれいな音が出ずに、ブルルンブルルンとこもった感じに
なって、唇もしびれます。
だから、ちいチャンは、唇をイーッ!という形にします。
そうすると、音もきれいに響きます。
時々、ちいチャンは、布団にもぐってこれをやります。
布団の中は真っ暗で、音もきれいに聞こえます。
でも、布団の中は暑くて、長くはもぐっていられません。
ちいチャンは、出たり、入ったり。
布団の会場で、輪ゴムの演奏を続けます。


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ちいチャン物語(24)『クルミの木の実』

2013年08月23日 16時25分14秒 | 日記


川沿いの道を、山に向かって歩くと、大きなクルミの木があります。
見上げると、クルミの実がたくさん付いています。
ちいチャンは、
(クルミを取りたいなぁ。)
と、思いますが、手が届きません。
そこで、ちいチャンは、木の下に実が落ちていないか探します。
たいてい、実のなる木の下には、雨や風で落ちた実が落ちているのです。
木の下を、ぐるぐる歩くと、落ちていました!クルミの実!
クルミは、木に付いている時は緑色で、下に落ちると茶色くなります。
でも、クルミは、表面の皮が茶色くなって腐れた時が、丁度いい食べ頃です。
茶色くなって、腐れた皮の中には、固いクルミの衣があって、それを、かなづちや
大きな石でたたき、割ると中からしぶ皮に包まれた、クルミの実が出てきます。
落ちているクルミは、表面の茶色い皮をとってタワシで洗い、カラカラに乾くまで
干しておきます。
洗った後のクルミは、
(梅干しの種を大きくしたみたいな形だなぁ。)
と、ちいチャンは思います。
乾いたクルミは、庭の石の上で、かなづちでカンカン!と、たたきます。
クルミは、案外固くて、1度たたいただけでは割れません。
きれいに、2つに割れると、大きな実が取り出せます。
バラバラに砕けて割れると、中の実もバラバラになってしまいます。
ちいチャンは、木の下のクルミを、両手に持てるだけ拾って帰ります。
クルミを洗って干し終わったら、ちいチャンの手は、指の先から爪の中、手のひら全
体まで、茶色くなっていました。
これは、お風呂に入ったり、顔を洗ったりしている内に、自然と取れていきました。
近所の大きいお兄さんは、クルミふたつを片手に持って、手の中でこすり合わせ、キ
ュルキュルと音をさせています。
ちいチャンは、つまようじで、ほじりほじりクルミを食べます。
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ちいチャン物語(23)『ちいチャン夏の昼ご飯』

2013年08月22日 14時23分23秒 | 日記


シオビキ(塩漬けの鮭)を焼きます。おばあちゃんが。
焼き上がりは、シオビキの表面が、白く塩を吹いています。
それをほぐして、朝の残りの冷たいご飯にのせ、冷蔵庫で冷やした冷たい水を
かけます。
それから、氷を1個、2個、ご飯の上に乗せます。
そうしたら、
ズルズルズルッと、かきこんで、ゴックン!
しょっぱいシャケと冷たい水が、のどにいい気持ちです。
ちいチャン、しあわせ真っ最中。
「おかわり!」




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ちいチャン物語(22)『エビ?』

2013年08月21日 18時46分03秒 | 日記


波うちぎわに、透明で小さな、数ミリ程のエビがいます。
波が寄せてひいた後の波うちぎわで、あわてんぼのように動きまわっています。
そして、隠れなくちゃ!隠れなくちゃ!という風に、シャカシャカと砂にもぐって
いなくなります。
ちいチャンが、波うちぎわに座っていると、波でぬれている足先で、波が来たらチ
ョロチョロっと出てきて泳いで、波がひくと隠れろ!と、いなくなります。
かくれんぼをしていて、見つかった!みたいで、見ていると面白いです。
そのエビは、波がひいた後で砂と間違えて、ちいチャンの足の上で、一生懸命もぐ
ろうと、クルクルクルクル動きまわることがあります。
くすぐったいのですが、エヒだから、トゲトゲの足やヒゲがあるのか、すこ~し痛
いです。
痛くすぐったい。
だから、エビが何匹も足の上で動いていたりすると、ちいチャンは海の水の中へ入
って逃がします。
(かわいいけど、痛い。)
と、ちいチャンは思います。
砂浜で穴を掘ると、自然と下から水がしみ出てきます。
そうすると、周りの砂の中からそのエビが出て来て、水の中を泳ぎまわり、水の底
の砂にもぐっていなくなったりします。
自由きままに出て来て、自由きままにいなくなります。
ちいチャンは、そのエビを食べた事はありません。
飼った事もありません。
名前も知らない、波うちぎわの、ちい~さなエビです。

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ちいチャン物語(21)『竹の物干し竿』

2013年08月20日 14時09分00秒 | 日記

ちいチャンの家の外には、なが~い竹が置いてありす。
その竹は、縁側の下にまとめて置いてあって、おばあちゃんが洗濯物を干す時に
使います。
ちいチャンの家には、物干し台はありましたが、角ハンガーの様なものは無く、
洗濯物ひとつひとつを、竿(さお)に干すので、竿が足りなくなります。
時には、シーツを何枚も洗ったり、カーテンを洗ったり。
そこで、おばあちゃんは、家の庭にある松の木に、竹をかけて竿にして、洗濯物
を干します。
松の木は、庭に3本ありました。
かなり年数が経った松のようで、太くしっかりしています。
おばあちゃんは、手前の松の木から向かい側の松の木に、竹竿をかけます。
たいていは、1本の竹竿をかければ大丈夫です。
でも、雨の日が続いて洗濯物が多くなった時は、竹竿は2本、3本と、松の木に
かけられます。
松と松の間は、距離があって、竹竿の長さもかなり長いです。
だから、竹竿をかける時も取り外す時も、大変です。
一気に上から下へと取り外せないので、竹竿の片方を松の木から抜いて、下に下
し、それから竹竿のもう片方を取り外します。
かける時も同じです。
おばあちゃんは、時々、竹竿に布団を干します。
それで、竹竿は、使っている内に、弓のように曲がってしまいます。
最初の内は、曲がった方を上にして真っ直ぐに戻そうと、洗濯物を干しますが、
だんだん曲がるカーブが大きくなると、曲がった面を上にしても、クルン!と元
に戻ってしまいます。
そして、竹もだんだん黄色っぽくなり、ひびが入って来ます。
そうなってくると、手をケガしたりして危ないので、新しい竹に取り換えます。
ちいチャンの家は海辺の近くですが、家の後は山になっていて、竹林があります。
おばあちゃんは、近所の大工さんに頼んで、竹を切って来てもらいます。
古い竹竿と新しい竹竿の入れ変えは、ちいチャンは見た事がありません。
(古い竹竿は、どこに行ったのかなぁ。)
と、新しい竹竿を見るたびに、ちいチャンは思います。

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ちいチャン物語(20)『ハエたたき』

2013年08月19日 13時01分23秒 | 日記


ちいチャンの家の茶の間には、テレビがあって、その隣は出窓になっています。
出窓には、おばあちゃんのお薬や、チリ紙、新聞紙、メガネなど、日常すぐに使
うものが置いてありました。
その中のひとつに、「ハエたたき」があります。
ハエたたきは、先端が野球のベースの形をしていて、10センチ位の大きさです。
そして、ザルのように穴が空いています。
素材もザルと同じようです。
そして、そのベースの形をした所の下に、持つ所があり、それは30センチ位の
長さでした。
おばあちゃんの座る場所は、出窓の前になっているので、ハエたたきは、いつも
おばあちゃんの手の届く所にありました。
ちいチャンの家は、玄関も窓も全部開けっぱなしで、網戸が付いている窓は、数
か所だけです。
だから、時々ハエが入って来ます。
テーブルに止まったり、蛍光灯の紐に止まったり、テレビに止まったり、そこら
中どこにでも止まります。
すると、おばあちゃんは、そお~っと、ハエたたきに手を延ばし、目にも止まら
ぬ早さで、パシーン!!と、ハエをたたきます。
おばあちゃんが、出窓から少し離れた所にいて、ハエたたきに手が届かない時は
、そばにある新聞紙を、しずか~に、クルクルっと丸め、バシッ!とハエをたた
きます。
おばあちゃんは、空中を飛んでいるハエも、パシーン!とたたきます。
でも、空中を飛んでいるハエは、たたいた瞬間に、何処へ落ちるのかわからない
ので、食べ物がテーブルにある時には、気を付けなければいけません。
(う~ん、おばあちゃんって、すごい!)
と、ちいチャンは、思います。
ちいチャンも、ハエを見つけると、おばあちゃんのマネをして、新聞紙をクルク
ルっと丸め、エイッ!とたたきますが、たいていは逃げられてしまいます。
でも、ちいチャンは、ハエが逃げてくれた方がいいと思います。
つぶされたハエは、血が出たりして、チョット気持ちが悪いからです。
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ちいチャン物語(19)『おじいちゃんのそろばん』

2013年08月18日 12時54分29秒 | 日記

ちいチャンの家には、書斎と呼ばれる部屋がありました。
障子(しょうじ)と襖(ふすま)と押入れに囲まれていて、下は畳です。
その部屋に、ちょっと大きな机が置いてあります。
その机の両側には、引き出しが何段がついていて、机の真ん中には、大きな引き出し
が付いていました。
大きな引き出しを開けるとすぐに、そろばんが目につきます。
そろばんは、黒っぽい茶色をしていて、少し重いです。
そろばんの玉は、木の線を境にして、上にひとつ、下に5つで、6つ付いていました。
おばあちゃんは、
「下の玉ひとつずつが1円で、上の玉が5円と数えるんだよ。」
と、教えてくれました。
そして、
「下の玉5つと上の玉ひとつが合わさると、10円になるから、左側の下の玉をひと
つ上に上げて、右側の玉は全部、もとに戻すんだよ。左の玉は、ひとつが10円だか
らね。」
と、言いました。
(5円玉ひとつと1円玉5つで、10円。)
なんだか面白くて、1円、2円、3円、と玉をひとつずつ上に上げて、5つ上げ終わ
ったら、5円玉を下して1円玉を全部下します。
そして、10円になったら左の玉を上げて...10円!
そろばんは、ちいチャンのオモチャになってしまいました。
そろばんは、振るとカシャカシャと音がして、楽器のようです。
タンッ!と机の上に置いて、人差し指で左から右へ、シャッー!と5円玉を上げるの
がいい気持ちです。
しばらくして、ちいちゃんの家に、新しいそろばんがやってきました。
新しいそろばんは、上にひとつ、下に4つの玉で、全部で5つしか付いていませんで
した。
(上の玉ひとつで5円、下の玉4つで4円、たしたら9円にしかならないなぁ。左の
10円玉を上げられない。10円に1円たりないなぁ。)
と、ちいチャンは思いました。
(やっぱり、おじいちゃんのそろばんがいい!)
ちいチャンが手にするのは、やっぱりいつも、おじいちゃんのそろばんでした。
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ちいチャン物語(18)『ちいチャン町のバスの運転手さん』

2013年08月17日 13時28分12秒 | 日記

ちいチャンの町のバスは、運転席の前方が前に突き出ています。
横から見ると、顔のようにも見えます。
車体の後ろから、白い煙を吐いて、ガタガタガタガタじゃりの道を走ります。
途中、バス停に向かって歩いている人が、バス停に着くのが間に合わずに、思わず
バスに向かって手を上げてしまう時があります。
そんな時、運転手さんは、その人の側でバスを止め、入口を開けて乗せてくれます。
「いやあ、どうも、どうも、行かれてしまうかと思ったよ。」
そう言いながら、運転手さんにおじぎをして、ハンカチで汗をふきながら、その人は
座席に座ります。
それからまた別の日、バスが発車した後で、後ろから小走りで追いかけて来る人が
いたりすると、運転手さんはすぐに気が付いて、バスを止めて待っていてくれます。
ガタガタガタガタ海岸沿いの山道を走っていると、途中で、山から下りて来た子供た
ちに出会います。
手には、本日の収穫「アケビ」を持っています。
運転手さんは、子供たちの横でバスを止めると、
「おー!いっぱい採ってきたなあー!俺にひとつくれ!」
と、窓を開けて言いました。
子供たちの一人が、小枝についてる「アケビ」をひとつ、ちょっとはにかみながら、
運転手さんにあげました。
「ありがとな!」
運転手さんは、お礼を言うと、またバスを走らせます。
運転席の横で、枝の付いた「アケビ」は、バスが揺れるたびに、小さく揺れていま
した。

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