goro's 花 Diary

東京の街を彩る花たちを追っかけています。

あかねさす・・・

2008年10月23日 | 08 花たち



【アカネ・茜】アカネ科アカネ属

久々に初登場の「科名の花」です。
今回は「アカネ科」の「アカネ」です。

以前にも書きましたが、科名になっている花は是非とも押さえておきたいと思っています。
科名での分類は植物を整理するのに欠かせません。
初めて出会った花でも、科名が推測出来れば名前に辿り着く近道になりますのでね。

花を紹介するようになって4年目に突入しておりますが、花(植物)ってこんなにも多くの種類があるんですね。
野生種、園芸種を問わず、日々これでもかというくらい初対面の植物との出会いがあります。
おじさんの花フィールドは東京、それも限られた街の花たちしか紹介しておりませんが、これほども多くの植物があるのかと呆れることがあります。

当初は、四季を一巡り、精々二巡りもすれば、ほとんどの花をカバー出来るんじゃないかと思っていたおじさんの思惑は、見事に外れています。
嬉しい誤算ではありますが、その分大変な時間を過ごしていることは、これまでの数々のボヤキでおわかりですよね。
所詮がこの程度のブログなんだから、まあまあ適当にとの開き直りを口にしつつ、気がつくと肩に力が入ってしまい、袋小路に入ってしまっているのが現状です。

日本、朝鮮半島、中国など極東アジアが原産で、山野や路傍などに生育する蔓性の多年草です。
蔓性植物ではありますが、細い蔓を巻きつけながら勢力範囲を拡大させるタイプではなくて、側にある植物に寄りかかり、下向きの棘を引っ掛けるように蔓を伸ばしていきます。
愛しのママコちゃんと同じシステムですね。

直径3~4mmの白っぽい黄緑色の花は、基部がつながっている合弁花です。

夏に紹介したキヌタソウやヒメヨツバムグラなど、同じアカネ科の植物たちに似て、繊細な小さな花です。

葉っぱも可愛いでしょう?

四角形の茎を4枚の葉っぱが取り囲むように付いているように見えますが、これは対生する2枚の葉と、2枚の托葉が変化したものとのことなんですが、どれが葉か托葉か見分けられませんね。

「アカネ・茜」の名前は、「赤根」に由来します。
乾燥した根が赤黄色なんだそうです。

根を煮出した液に布を浸し、この作業を繰り返して茜色に染め上げていきます。
茜色は(アカネの)、根で染めるから「茜根」の名前が付けられたとの説も、同じようなものですね。

茜染めは、触媒の灰汁の濃度が薄いと黄色に、濃いと赤味が深い色になるんだそうですよ。

後日訪ねてみたら、可愛い5㎜ほどの実が生っていました。
この後、黒くなります。


そういえば、「あかねさす」って枕詞があったよな。
何にかかるんだったっけと調べてみたら、「日」、「昼」、「紫」、「照る」、「君」などにかかるんでした。

           茜さす 紫野ゆき標野ゆき

              野守は見ずや 君が袖ふる
                             額田王


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4 コメント

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 (ポージィ)
2008-10-24 11:16:16
アカネには私も今年初めて出会いました!結局写真には
撮らずじまいだったのですけれど。…とある畑の生け垣(お茶)に夏の頃からつる性の植物がびっしり被さるように
這っていて、これはなんだろうとずっと思っていたのです。
そしたらすぐ近所でももう少しおとなしめのを見て、それから
アカネにたどり着きました。これがアカネだったのか!と
感動しましたよ。できれば根っこも見てみたかったです。

茜色というと、柿の実のような色の夕焼けや朝焼けを思い出す
のですが、調べると「赤色のやや沈んだ色、暗赤色」と出てきて
ちょっとイメージと違うことにとまどいます。でもま、暗さとの
境目の色はそんな感じかなとも、昔は現在よりもっと真っ赤な、
濃くドラマチックな夕焼けが多く見られたのかも…とも思って
みたりしています。

「日」「昼」「照る」「君」「紫」などにかかる「茜さす」という
枕詞の持つイメージ、雅というかとても美しさを感じます。
うまく言葉になりませんが。 額田王のこの恋の歌も、美しい自然の
情景と相まってロマンチックさが増して感じられます。

悟郎さんのアカネのお写真の背景に、ゴキヅルの実らしきものや
ヤブマメが一緒に写っているのも興味深かったです(^^)
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あ、 (noodles3)
2008-10-24 11:50:22
無事、実も撮れたようですね!

ラストカットのヤブマメとの、ツーショット、惜しい〜(笑)
それにしても、この場所も蔓植物の独裁国家のゆですね。
返信する
こんなことって… (富山ばあちゃん)
2008-10-24 23:58:12
 悟郎さま

 はっきり自覚してこの花をみたわけでもないのに、 でも、やっぱりどこかでであったような…。
 花だけ見るとキズタに似てませんか。
 もっとも、キズタはもう実になってますよね。

 私が心ときめくのは額田王の歌です。まさか、悟郎 さんからこの歌を聞こうとは。

 茜さす 紫野ゆき… この歌のお返しが、紫ににお う妹の憎くあらば…です。この歌を私の耳元に囁き 続けた人が居りました…。
 いまひとつは 梅香うつぎの咲く頃になると、
 さつき待つ花橘の香をかげば むかしの人の袖の香 ぞする…と言いつづけた人。もちろん別別のひとで す。  

 みんな、亡くなりました…。
 
 花が好きになったのも、知識がそこそこ豊富になっ たのも、花橘の人のおかげ です。
 
 だから富山ばあちゃんは時として生きていくのがさ びしくなるのです。

 鐘叩きの声を教えてくれた人。

 鐘叩き、ちっとも鳴かなくなりました。 …
返信する
コメントありがとうございます! (悟郎)
2008-10-25 03:25:10
★ポージィさん

私と同様、ポージィさんも今年初めて出会ったんですね。
それも2ヶ所で。
noodlesさんがアップしてたアイ同様、アカネも古代から染料として使われていたことは、知識として知っていますよね。
日本の色の原点とも言える「藍」や「茜」は、言葉だけ聞いてもときめくものがあります。
浪漫というか、憧れというか、昔から惹かれていました。
とはいいながらアカネが蔓性植物だ知ったのはずっと後年で、それまで普通の草本だと思い込んでいました。
その時もかなり驚いたことを思い出しました。

そうそう、現代だと茜色は明るい朱色のイメージですが、本来はもう少しくすんだ赤なんですよね。
夜と昼しかなかった時代には、どれだけ朝の光の存在が偉大だったか、そんなことも思いやりながら、時代を越えて遊んでいます(笑)。

「あかねさす」が「紫」にかかる枕詞だとは憶えていましたが、調べなおしてみると、「日」「昼」「照る」「君」などにもかかることが分かりました。
こちらのほうが、本来の枕詞としては、しっくりきますね。
和歌のことをそれほど知ってる訳ではありませんが、額田王のこの歌は、教科書にも載っていましたのでね。
情景が浮かんでくる歌で、何故か憶えていました、

ゴキヅルの実に見えますよね?
実はあれはアカネの実なんですよ。
花にピントを合わせるのに夢中で、撮影してたときには気付いていなかったのです。
面白い形だと思いましたので後日実を撮影に行ったら、今回アップした丸いものしかなくって、まるで狐につままれたように思ってます。
ひょっとして別の植物かとの思いもよぎりましたが、撮影場所は同じなんですよ。
新しい謎が、またひとつ生まれました(笑)。

★noodlesさん

どうせなら実の写真もアップしようと、再度撮影に行ってきました。
noodlesさんがアップしてた2個くっついた実を期待してたのですが、真ん丸のものしかありませんでした。

ヤブマメはご遠慮願いたかったのですが、紹介できるのはこれしかなかったので、敢えて使っちゃいました。
蔓が入り乱れていましたが、いちばんはヤブマメでしたね。

★富山ばあちゃん

アカネの花、どこかでご覧になったことおありですか?
形はキヅタに似ているかもしれませんが、もっと小さくて柔らかいです。
そうですか、そちらではチヅタはもう実になっていますか。
今年はまだ花もチェックしておりません。

あらら、若き日の甘いお話ですね。
ふとした時に、ご自分をある時代に連れていってくれる思い出があるなんて、シアワセなことだと思いますよ。
思い出とともに亡くなったかたちを偲ぶのは、最高の供養だと、そう思ってます。
たくさん偲んであげてください。
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