岩波新書「漢字」白川静著から
文字が象形で表される場合は目に見える形の有るものに限られる。観念的、抽象的な概念は象形では表現し得ない。がそれら象形の文字の音や形だけを本来の意を無視して使う仮借と言う方法を使用する事によって抽象的な対象を文字にする事が可能となった。実は自分自身と言う対象も眼に見えるがその代名詞を示す「我」と言う文字もこの仮借によっている。我と言う文字はもとは鋸(のこぎり)を形にしたものであるが自分を示す言葉の音と同じである為、のこぎりの意味を意識する事なく自我の我として使われているのである。我が鋸である事は犠牲の犠や義が羊の肉を鋸で切っている事を表現した文字である事から判るのである。
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