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読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

【津山恵子の欧州最新ルポ】日本情報専門紙やマンガ―高いフランス人の日本への関心

2012-06-08 09:05:19 | 新聞
日本版コラムニストの津山恵子氏が4月末から約1カ月間、欧州・北アフリカを縦断取材。
財政問題や金融不安に揺れる欧州各国の市民生活の今、ムバラク政権崩壊後1年余りたった
エジプトの様子など、最新事情をリポートする。

 「カンヌ国際映画祭に行ったらどうか。あそこは日本への関心も高いし」

 フランス大統領選挙でスタートを切った欧州取材の途中、知り合った記者数人がそう勧めてくれた。
私が日本人で、日本と欧州とのつながりという切り口を探しているのではないか、
という同業者ならではの嗅覚だ。

 カンヌには行かなかったが、同映画祭では過去に、今村昌平監督の「楢山節考」など日本の
4作品がグランプリを獲得。米アカデミー賞に比べると、同映画祭での日本映画の人気は極めて高い。
冒頭の記者たちが考えたように、フランス人は日本への関心が他の国よりも高く、
カンヌに行けばさらにネタがあるのでは、と思わせる背景がそこにある。

 果たしてほんとうに、フランス人は特別に日本への関心が高いのだろうか。

 まず、日本料理屋でふと手にした「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)」という
無料の月刊紙にびっくりした。日本人も知らないような日本ネタを、すべてフランス語で掲載
。5月号は「原子力 静かな革命」と題して6ページに渡り、昨年の福島第1原子力発電所事故以降
、顕在化した日本の反原発運動や、反原発を題材にしたアーティスト・ミュージシャンの
動きなどをまとめていた。

 発行するエディシオン・イリフネによると、同紙は2010年創刊で、読者の95%がフランス人。
店頭置きなどが毎月5万~6万部、ウェブサイトからのダウンロードが約5000部というから、
フリーペーパーながら、その部数の多さに驚かされる。

 パリに40年以上在住し、パリの日本語隔週新聞「OVNI(オブニー)」などを発刊してきた
イリフネの小沢君江さんは、こう語る。

 「昨年は、『パール・ハーバーから70年 日米の歴史の重み』という特集もしました。
小さな媒体だからこそ、日本国内でも読むに値するような、書きたいことが書けるという特徴がある。
そういう日本の姿をフランス語で知ってもらうために、ずっとこうした新聞を出したいと思っていました」

。米国と異なり、日本と同じ右開きのマンガが主流だ
 村上春樹作品などをフランス語に翻訳し続けている翻訳家・作家コリーヌ・アトランさんによると、
日本ファンの層は2つの世代に分かれるという。
川端康成や三島由紀夫を読んでいた知識層が中心の50~70歳代と、日本のアニメやマンガで育った20~40代という2つだ。

 「1950年代までは、日本に行かれることはなく、情報もなく、フランス人の中で、畳とか着物とか
、神秘的なイメージだけが膨らんでいました。
その後、旅費が下がって、旅行ができるようになり、マンガなどからもライフスタイルが分かり
、もっと身近な存在になってきました」

 実際に、20~30代の若いフランス人作家のデビュー作品は、日本が舞台だったり、
日本人の登場人物がいることが多いという。以前では極めて少なかったことだ。

 日本人女性がパリに来ると「パリ症候群」という鬱(うつ)病にかかるという話が流布しているというのも聞いた。
日本好きで、日本での仕事を探しているというラジオ・アナウンサーのマージョリー・アシェさんが解説してくれた。

 「美しいパリで働けると期待を膨らませて来た日本人の特に女性が、実際には街は日本に比べて汚いし、
サービスも悪いし、人々が不親切なので、失望して鬱病になるという話です。
実際に、私の日本人の友人も、バッグをすられたりして1カ月泣いていましたが、しばらくして生活に慣れると回復しました。
でも、英国メディアが大きく報じたので、欧州のほかのメディアも追い掛けて、
特に日本人女性に対する先入観になってしまいました」

 実際に記事を探すと、英BBCが「パリ症候群が日本人を襲う」(2006年)という記事を出している。

 しかし、前出のアトランさんはこうも指摘する。

 「フランス人も京都症候群とか東京症候群というのがあるのではないでしょうか。
ありきたりですが、日本女性がきれいで優しいというのは、サービスやマナーが行き渡っている社会だからです。
また、京都の美しいお寺の横にラブホテルがあったりするのは、日本人には当たり前ですが、フランス人は、
逆に社会や文化に対して隔たりを感じてしまうようです」

 私が住む米ニューヨークでは、米国人に対し、ズーム・ジャポンのような情報源はないし、
一般的に米国人が文学や文化にいたるまで、日本に関心を高めているという実感はあまりない。
書店をのぞいても、村上春樹以外で平積みになっているアジア人作家は中国人ばかりだ。
しかし、パリは書店でも驚くような日本の小説の種類があった。日本人、フランス人の双方にあるとされる「症候群」も、
もともと抱いていたイメージとのギャップが原因で、それだけ期待が高かったという表れだ。

 その意味で、もちろん国民性の違いもあるが、フランス人の日本に対する関心は、少なくとも米国人よりはかなり高い、
とうれしい驚きを感じてパリを後にした。

南カリフォルニア沖合に回遊してきたクロマグロが

2012-05-30 09:01:28 | 新聞
wsj日本版から

28日刊行の米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された研究結果によると、昨年日本海沿岸海域から南カリフォルニア沖合に回遊してきたクロマグロが、福島第1原子力発電所の事故に伴うセシウムに汚染されていることが分かった。



 セシウムの濃度は米国と日本が危険としているレベルの10分の1で、これを食べても健康被害はないとみられる。この調査は、スタンフォード大学の海洋生態学者ダニエル・マディガン氏らのチームが行ったもので、福島原発から遠く隔たったところまで回遊魚が短期間に放射性物質を運んできたことを初めて示した。

 マディガン氏は「マグロは放射性物質に汚染され、これを世界最大の海洋を横断して運んできた」とし、「われわれはこのことに驚いたが、もっと驚いたのは調査対象の全てのマグロから放射性物質が検出されたことだ」とした。

 この調査結果を受けて、ウミガメやサメ、海鳥など、日本の周辺にいるもっと広範囲な海洋生物が低いレベルのセシウムを運んでいる可能性も指摘されている。同チームは今夏、クロマグロの他、ビンナガマグロ、ウミガメ、数種類のサメを調査することにしている。

 日本をはじめ世界中ですしの材料として人気の高い太平洋のクロマグロは、日本海で産卵する。成長すると日本の南海域を回遊し、黒潮に乗って北上して、福島沖を通る。その後、6000カイリ(1万1000キロメートル)以上を泳いで太平洋の東部に至る。最終的にはここから生まれた海域に戻って産卵する。

 マディガン氏らは、趣味の釣り人が原発事故約5カ月後の昨年8月にサンディエゴ沖合で釣った15匹の若いクロマグロを調べた。マグロが太平洋を横断する前に通過する東日本沿岸海域の放射能濃度は事故の数週間後に最大で通常の1万倍に達した。

 調査では、カリフォルニア沿岸海域に到着したマグロのセシウム137とセシウム134の濃度はわずかに高まっていた。これらはいずれも筋肉組織に集まる傾向がある。セシウム137の量は数十年前の核実験の影響で自然界に残っているセシウムのレベルの5倍だった。半減期約2年のセシウム134は原発事故の前は海洋生物や海水からは検出されていなかった。

 科学者らは、全般的なレベルはマグロの自然発生的な放射能を3%ほど押し上げるものだったと述べている。調査に参加したストーニーブルック大学(ニューヨーク州立)の海洋生物学者ニコラス・フィッシャー氏は「全てのマグロから同程度のセシウム134とセシウム137が検出された」とし、「これは非常に明瞭なデータだ」と話した。

 同チームは比較のために同時期に捕ったキハダマグロと、08年に捕ったクロマグロの組織も調べた。キハダマグロは通常、一生を通じてカリフォルニア沖合で過ごす。調査の結果、いずれの組織からもセシウム134は検出されず、セシウム137は事故以前のレベルだった。

Arigato for Nothing, Keynes-san

2012-05-24 20:28:20 | 新聞
wsj日本版から
西側諸国ではエコノミストやコメンテーターがケインズ理論に基づく
景気刺激策をもっと行うべきだと長年にわたって主張してきたが、
ここで再度、この試みが数十年間行われてきた国を検証してみるのも悪くないだろう。

 日本が先週発表した今年1~3月期のGDP(国内総生産)速報値は、
政府による財政支出が寄与し、驚くほど堅調な成長を示した。ところが22日、
格付け大手フィッチ・レーティングスが日本国債を格下げしたことで、
この明るいニュースが曇ってしまった。

 日出ずる国の経済は第1四半期で前期比1%の成長を示した。
年率換算で4.1%だ。この力強い数字は震災後の復興事業に対する財政支出のおかげだ。
またエコカー補助金の復活も個人消費の大きな伸びを支えた。

 ではなぜ誰も喜んでいないのだろうか。
誰もがこの高い成長率が続かないことを知っているからだ。
第1四半期の輸出は他と比べて明るさを見せていたものの、
欧米諸国や中国の需要は不透明だ。消費者信頼感指数が4月に下落したのは、
夏の電力不足と海外市場の低迷に対する懸念が原因であることは明白だ。

 日本では、経済成長が文字通り「財政支出か、もしくは破たんか」の
問題になったようだ。そして政府はこの両方が現実になり得ることに気づき始めている。
政府の資金は結局どこからか調達しなければならないからだ。つまり納税者だ。
政府は何十兆円もの資金をこの20年で公共事業に投じてきた。
このため公的債務はGDP比200%以上に達している。

 かつて世界第2位だった経済大国は、ケインズ理論に基づく公共投資が民間主導型の
成長を実現させる一助になるとの主張への反証の役割を果たしている。
日本は長い間、できたばかりの道路をまたすぐに掘り返すといったことを繰り返してきたが、
第1四半期の数字が示すように、この国はまだ民間部門主導による成長が実現していない。

 公営企業の民営化に再度取り組むとか、野田佳彦首相が打ち出している
自由貿易政策を進めるといった経済の活性化案を欠いた状態では、
それをどう実現させていくのか見極めることは難しい。

 日本の有権者はいずれ、このような偽りの期待を持ち続けることはできないと
決断するだろう。一方、日本以外の専門家や政策決定者らは、効果のなかった
ケインズ理論とともに歩んできた日本について、知的な誠実さをもって
あらためて考えてみる必要がある。


震災後も世界では原発の建設が進行中

2012-04-17 09:55:38 | 新聞
wsj日本版から
「フクシマ」の大惨事は原子力発電の世界的な広がりにブレーキをかけたかに見えた。
だが、あれから1年、飽くことのない電力消費を続ける発展途上国は原発建設を
フルスピードで進めている。

 世界原子力協会(WNA)によると、現在、世界では60基の原子力発電所が建設中であり、
計画中もしくは発注済みのものは163基余りを数える。
この数字は、福島の事故の前月と比べ、ほとんど変化していない。
当時は62基が建設中で、156基が計画中もしくは発注済みだった。

 1986年のソ連チェルノブイリ原発事故以来、最悪の事故となった福島原発の炉心溶解(メルトダウン)は
原子力産業の拡大に待ったをかけたーー。それが一般的な認識だった。
しかし、上記の数字はそれに疑問符を付ける
。日本と欧州の数カ国が原発の廃炉もしくは停止を準備しているものの、
発展途上国では依然として原発建設の行進が続く。

 ロシア国営原子力企業ロスアトムの広報担当、セルゲイ・ノビコフ氏は
「福島の事故後に取り消された発注は1件もない」と述べた。
同社の国際受注数は2011年末で、1年前の11基から21基に増えた。

 原子力の需要増は、アルミやガラスといった電力消費の多い産業を中心に構築された、
中国やベトナムなど新興国の急速な工業化を背景とするものだ。
韓国など、経済が拡大してもなお加速中の国々でも、風呂の自動給湯システムから
タブレット型端末まで電力消費が増え続けるなかで、原子力が生活水準を押し上げている。 

てんかん発作でNYで息子が母親殴り死なす、

2012-04-14 09:18:02 | 新聞
アメリカでも癲癇でこんな事件が。

wsj日本版から
米ニューヨーク・マンハッタンの刑事裁判所で11日、てんかん発作の苦しみの中で母親を殴り殺した容疑で19歳の青年が起訴された。
 第2級殺人で起訴されたのはヘンリー・ワクテル被告。同被告が10日夜、てんかん発作に襲われた際に、母親のカリン・ケイさん(63)は電話で救急車を呼ぼうとした。検察によると、この10分間の通話は録音されており、この中に彼女が襲われる物音が入っていたという。

 グレーブズ地方検事補は「息子のために救急車を呼ぼうとしていた母親を殴る物音が録音されている」とし、「そこには『彼が追ってくる。やめて、やめて』という女性の声が聞こえる」と述べた。

 同検事補は、背景には叫び声とうめき声が聞こえるとし、「その後に、『ママ、ママ、死なないで』という男性の叫び声が聞こえる」としている。警官がマンハッタンの西55丁目のアパートに到着すると、そこには被告が「血にまみれ、どう猛な目つきをし、非常に興奮しているような」状態でいたという。

 警察関係者によると、マンハッタンの高校で英語の教師をしていたケイさんは、「頭部にひどい外傷」を負って床に倒れていた。彼女は病院に運ばれたが、午後1時50分ごろに死亡が確認された。

 フォーダム大学1年生の被告はてんかん治療用のさまざまな薬を服用している。逮捕されたあと被告は、事件の記憶がないと話し、弁護士を呼ぶよう求めたという。

 被告は11日に、裁判所での審問の前に弁護士に会った際、感情的で活気に満ちているように見えた。ジーンズとフットボールジャージーを身に付けた被告は審問のときにはうなだれ、検察が緊急電話の通話内容を読み上げると、目に涙を浮かべた。

 弁護士によると、被告は数年前にてんかんを発症し、その後薬を服用している。弁護士は「これが悲劇的な状況であることは誰もが承知している」とし、「これには大量の薬が絡んでいて、これが時として予想外の結果をもたらすということも、誰もが承知している」と強調した。

 判事は被告の再収監を命じたが、これに対して弁護士は、被告はいつ症状が出てもおかしくないとして、入院させるよう要請した。陪審評決は16日に出る。

記者: Pervaiz Shallwani and Tamer El-Ghobashy


日本政府と東京電力の170万人の被害者に対する賠償の苦慮

2012-04-05 10:20:26 | 新聞
wsj日本版から
日本政府と東京電力は、昨年3月11日の福島第1原発事故で生命や日常生活を奪われた170万人の被害者に対して、いかにして、どの程度の賠償を行うべきか苦慮している。
避難経費に関する書類を見る林勝典さん
 東電は、避難費用や生活費、逸失所得などの補償に関する25万件の賠償請求に対して、既に4911億円を支払っている。自宅や農地、漁業権、事業の損害や損失の評価に関する交渉は始まったばかりだ。

 政府の第三者機関「東京電力に関する経営・財務調査委員会」の試算によると、事故発生から2年後の2013年3月までに東電が支払わなければならない賠償額は4兆5000億円。だが、スタンダード&プアーズ(S&P)の柴田宏樹上席アナリストによると、賠償額は最終的に「数兆円」にまで膨れ上がる可能性がある。

 「賠償の適用範囲はまだ決まっていないという理解だ」と柴田氏は話す。

 迫り来る損害賠償に関する決定は、経済・財政両面で大きな意味を持つ。賠償額によっては首都圏の企業や家庭向けの電気料金が引き上げられる可能性がある。また、注入される公的資金の額によっては、日本の脆弱(ぜいじゃく)な財政状況がさらに悪化する可能性もある。

 評価が不可能な損失に対する賠償額で合意を得るという難しい作業は、事故によって甚だしい変化を余儀なくされた住民や企業、自治体が直面している痛ましい現実によって一層困難になっている。

 「3月11日以前の町ではなくなってしまった」。原発から約15キロの場所に位置する南相馬市小高区の行政区長で、16代受け継がれた土地を所有する山澤征氏(68)はこう話す。1万2800人の小高区住民は全員、避難を余儀なくされている。「お店もない、田んぼも復旧できない、子どもたちの笑いもなくなってしまった」と山澤氏は悲嘆の声を漏らす。

 山澤氏の試算によると、小高区の7300世帯のうち、損害評価額に関して東電と合意し、避難にかかわる基本的費用の支払いを受けた人は150世帯にも満たない。

 東電は損害賠償業務に全社員の8%に当たる約3300人を充てているほか、その支援要員として9800人の契約社員を雇い入れている。事故後、東電は膨大な請求用紙とマニュアルを避難者に配布したことで嘲笑を買った。それを受け、東電はマニュアルを100ページに、請求用紙を34ページ、1055項目にまで削減した。

 一部住民によると、東電は支払いに消極的で、請求用紙の記入に関する不備を理由に、また時には何の説明もなく、一部請求項目の補償を拒否している。

 東電の広報担当、永井義一氏は、同社は公平かつ迅速に損害賠償手続きを進めており、政府の指針の対象となっていないケースに関しては、個別に適切に対応しているとした。

 東電は3月29日、賠償費用を補うため、これまでに認められた1兆5800億円の資金支援に加え、8000億円強の追加資金支援を政府の原子力損害賠償支援機構に要請した。

 賠償の手続きや進捗(しんちょく)をめぐって、避難住民の間には怒りや不満が高まっており、小高区の例はそれを如実に物語っている。小高区住民の多くは、南相馬市内の避難区域外の場所に引っ越している。

 小高区出身のアスパラガス農家を営む門馬正人さん(53)は、自分で購入したガイガーカウンター(放射線量測定器)の費用や、避難当初数週間の携帯電話料金の増額分に関して、東電は支払いを拒否したと話す。また別の住民は、避難によって失業し、職探しのために購入したノート型パソコンの費用を請求したところ、疑問を挟まれたという。

 やはりアスパラガス農家を営む林勝典さん(64)は、97歳の母親を亡くした経験を話す。林さんの母親は事故後、老人ホームを転々と移されたあと、遠く離れた施設で昨年4月に亡くなった。だが東電は、林さんが受けたと主張する精神的損害600万円の支払いを拒否した。林さんが東電にその理由を尋ねると、単に請求は「補償の範囲外」とだけ説明した書簡が送付されてきたという。

 それから間もなくして、妻の輝子さんが心臓の手術を受けた。医者によると、避難のストレスで健康状態が悪化したことが原因だった。林さん夫妻は避難所となっていた学校の体育館の床で1カ月、寝泊まりし、その後4カ月はホテルの1室を別の夫婦と共有していた。だが東電は、輝子さんが請求した精神的損害賠償1000万円について、既に医療費を支払ったとして拒否した。

 林さんをはじめ、事故で避難を余儀なくされた福島県の住民は事故の直後、避難に必要な初期費用として1世帯当たり100万円の仮払い補償金を受け取り、その後さらに60万円の支払いを受けた。これら金額は、東電と文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が合意したものだ。

 さらに東電は審査会の提案に従って、避難住民の精神的損害について1人当たり月額10万円を支払うことにも同意した。小高区住民は、その3倍の賠償金を求めて集団申し立てを行っている。林さんも東電への個人での補償金請求を取りやめ、集団申し立てに参加することを決意した。

記者: Yuka Hayashi

フォークランド諸島がまた火種に

2012-04-01 10:51:52 | 新聞

1982年のフォークランド紛争で使用されたアルゼンチン軍の大砲
短期間ながら流血の戦闘となった英国とアルゼンチンとのフォークランド諸島紛争から30年がたつが、両国はまた外交の場で激論を交わしており、同諸島における英国の権益が重圧を受ける可能性がある。

 1982年4月2日、当時のアルゼンチン軍事政権は同諸島に侵入。これに対して英国は軍隊を派遣して、2カ月にわたる戦争が始まった。この戦争では両国合わせて1000人近くが死亡した。
フォークランド諸島は引き続き英国の領土であり、英国は軍隊を置き、地域住民は自分たちの政府を選んでいる。しかし、過去の緊張はまだ残っている。アナリストは新たな軍事衝突を予想していないが、開戦30周年が近づくにつれて非難合戦はエスカレートしており、お互いに植民地主義者とののしり合っている。

 例えば、アルゼンチンは3月入って、同諸島で石油探査に当たっている複数の英企業に法的措置を取ると脅し、英国の副首相は今週、アルゼンチンは南大西洋に英国が核兵器搭載の潜水艦を展開させたとほのめかして「根拠のないあてこすり」をしている、と批判した。

 両国関係は今後数カ月間、凍り付いたままになると見られる。特にブラウン英外務閣外相が終戦30周辺を記念して諸島を訪れる6月半ばごろが冷え込むと予想される。

 アルゼンチンのキルチネル政権は最近数カ月、英国批判を強め、南米での英国の外交的孤立化を画策して、同国を交渉のテーブルに引っ張り出そうとしている。英国の当局者は最近、記者団に対し、キルチネル大統領はこのようにして有権者の関心を、景気鈍化など一連の国内問題からそらそうとしていると述べた。大規模な石油・天然ガス資源が諸島沿岸部で有望視されていることも、緊張を高める要因になっている。英国の数社は石油開発のための掘削を行っている。

 アルゼンチンは、スペイン語でマルビナスと呼ぶ同諸島への歴史的、文化的権利を主張するとともに、その石油と漁業資源が英国によって略奪されていると訴えている。こうしたアルゼンチンの立場は米国の俳優・監督ショーン・ペン氏や英国の歌手モリッシー氏ら、南米のナショナリズムの支援者の支持を得ている。

 英国は、アルゼンチンから約300マイル(480キロメートル)離れたフォークランド諸島を1833年から支配しているが、アルゼンチンはこれに異議を唱えている。アルゼンチンは、主権をめぐる英国との穏やかな交渉を求めるとしている。これに対して英政府は、島民が望まない限りこれを拒否するとの姿勢だ。

 英国出身者が圧倒的に多い約3000人の島民は英語を話し、英国の市民権を持っている。82年の英国の勝利は、当時サッチャー首相が率いていた英国政府の支持を押し上げた。

 安全保障問題の専門家は、現在の外交的対立が軍事行動につながる公算は小さいと言う。アルゼンチンでは諸島の主権は人気のある問題ではあるが、非平和的手段を使うのは人気がない。両国とも戦争は望んでいないとしている。

 アナリストによると、英国にとってより大きなリスクは南米で同国を外交的に孤立化させようとするアルゼンチンの狙いだとし、これによって英国の南米での戦略的権益が打撃を受ける可能性がある。英国の現政権が貿易を重視していることから、これは重要なことだ。

 アルゼンチンには、かつての欧州の植民地主義に反発する近隣諸国を味方に付ける力がある、とアナリストは見ている。現在の緊張は、アルゼンチンが昨年12月に、ブラジル、ウルグアイなどメルコスル(南米南部共同市場)加盟国に、フォークランド旗を掲げた船舶の入港を禁止するよう説得したことから始まった。その後ペルーは、英フリゲート艦の寄港許可を取り消した。ペルー外務省は、フォークランド諸島をめぐる領有権紛争でのアルゼンチンへの連帯からこれを決定したとしている。

記者: Cassell Bryan-Low

泥棒に入った家に「仕事をください」と

2012-03-29 09:09:26 | 新聞
南アフリカの東ケープ(Eastern Cape)州の住宅で、仕事が欲しいとドアをノックした男が、その家から盗まれた衣類一式を着ていたことから逮捕された。

「ドアを開けて驚いた。その人が私たちの服を着込んでいたから」と、この住宅の住人は現地紙に語った。

 東ケープ州のイーストロンドン(East London)にあるその住宅のドアを男がノックしたのは、25日のことだった。庭仕事をさせてほしいと言った男は、住人の靴、靴下、ベルト、ズボン、それに住人の婚約者のブラウスを着用していた。

 住人がそれら衣類が保管されていたはずの物置を確認したところ、盗まれていたことが分かったという。

「この男の厚かましさが私には信じられない。男をつかまえて警察を呼んだけれど、警察は45分たっても来なかった」と住人は語った。その間に強盗犯は逃走したが、後に警備員に拘束されたとい

遺伝子がストレス情報を記録、子孫に影響

2012-03-21 09:00:32 | 新聞
遺伝子がストレス情報を記録、子孫に影響
トルコで暮らすある女性は、結婚して間もなく腎臓病に悩まされるようになった。以来12年間、人工透析治療を続けていたものの、最近になって腎臓の機能がさらに悪化し、移植を受ける必要性が高まったという。しかし、一般的に移植のドナーを見つけるのは容易なことではない――と思いきや、この女性は意外な人物からの提供の申し出を受け、元気な体を取り戻したそうだ。その提供者は、なんと夫の愛人だった。

この女性はトルコ中部のネヴシェヒルで暮らす34歳の女性。トルコ紙サンデーズ・ザマンによると、この女性は結婚生活4年目を迎えた12年前に腎臓病と診断された。以来、1日4時間の人工透析を行うため、週3回のペースで通院。そんな彼女に寄り添い、甲斐甲斐しく一緒に病院へ通っていた夫だったが、妻が懸命に治療を続けるその病院で、彼は禁断の愛を見つけてしまった。

妻と同じ34歳の女性と、浮気をしてしまった夫。そして彼は、浮気相手を息子のベビーシッターと偽って、彼の母が暮らす家に住まわせると、4年前には女性との間に娘ももうけたという。その関係を最近になって知った妻は、夫の行動に「自分が死んだら、女性と結婚するつもりなんだ」(トルコ紙Hurriyet Daily Newsより)と、当たり前だが悲しんだそうだ。

そんな思いも影響してか、妻の腎臓は時間と共に悪化の一途を辿り、ついには「移植が至急必要」(サンデーズ・ザマン紙より)な状態に。するとその状況を知った愛人の女性は、自ら腎臓の提供者に名乗りを上げた。実は妻に対して「以前、輸血に必要な血を提供した」ことがあり、自分と同じ血液型なのは知っていたため、血液型が異なる夫では無理な話も自分なら助けられるとの思いから、妻に対して「自分の腎臓を移植するよう」説得したという。

これにはずっと「『腎臓を提供して欲しい』と誰にも言ったことがなかった」妻も、思わぬところから現れた提供者にビックリ。そして、腎臓を受け入れるようにと迫り続ける愛人の熱意に打たれ、最終的には妻も提供の申し出に同意し、手術を行う運びとなった。結果、手術は無事成功し、妻は腎臓病の苦しみからようやく解放されたそうだ。
まさかの相手から腎臓を提供され、健康を取り戻しつつある妻。今では“ほかの女性に走った夫”と“最愛の人を奪おうとする敵”との見方はすっかり消え、人生に明るい道筋を開かせてくれた夫と女性に「感謝している」と話している。「私たちは夫を共有し、今では腎臓も共有している」(Hurriyet Daily Newsより)と仲間意識まで芽生えた妻に対し、女性も「手術後の彼女を支え続ける」と話しており、これからは3人仲良く生活していくようだ。

5000事業者が休業=廃業は半年で67%増―被災3県・大震災1年

2012-03-13 09:10:49 | 新聞
NHKの「クローズアップ現代」でも特別番組で取り上げていたが、
岩手、宮城、福島の被災3県で、少なくとも計5039の商工業者が
東日本大震災後から休業していることが、各商工団体への取材で分かった。
廃業は2035業者で、昨年9月時点の1216業者から67%増加。
沿岸部に限ると、会員の約2割が再開できていない。
店舗や工場が使えなくなった事業者にとり、地盤沈下した土地のかさ上げ工事や
自治体のまちづくり計画の遅れが大きく影響している。

岩手と宮城は沿岸部、福島は内陸も加え、2日までに各地の商工会や商工会議所を取材した。

 休業は岩手576、宮城2397、福島2066。
宮城県商工会連合会は「自治体の復興計画が決まらず、どの場所で事業を再建できるか
判断できない事業者が多い」と指摘する。

 岩手と宮城では、復旧費用の75%を国と県が補助する「グループ補助金」制度を
早期に利用できた製造業など一部の会社は立ち上がりが早い。
一方、小売業や飲食業は仮設店舗での再開も多く、「本格営業はできず、
移転には再び資金が必要」(岩手県商工会連合会)との懸念がある。

 廃業は岩手639、宮城1097、福島299。悩んだ事業主が商圏の人口減少を
見込んで決断する例が多い。東京電力福島第1原発から半径20キロ圏にあった福島県内の
事業者は約7割が休業。建設業など一部の業者が場所を移して再開している。
ただ、廃業は少ない。理由は「原発事故の賠償金が入らなくなるため」(地元商工会)という。 

[時事通信社]