GOODLUCK'S WORLD

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「もうじきアカデミー賞の発表だ!」

2013年02月23日 | Weblog

 もうじき今年のアカデミー賞が発表されるが、今まで観たすべての映画の中で「最高の脚本を挙げよ」と問われたら、間違いなくこの作品を挙げるだろう。昨日、突然観たくなって観始めたら一気に最後まで見入ってしまった。もう10回以上観たかな。

・「恋におちたシェイクスピア」のあらすじ
 1595年頃、芝居熱が過熱するエリザベス朝のロンドン。ローズ座は人気作家シエイクスピアのコメディが頼みの綱だったが、彼はスランプに陥っていた。なんとか書き出した新作コメディのオーディションにトマス・ケントと名乗る青年がやってくる。実はトマスが裕福な商人の娘ヴァイオラの男装した姿だった。商人の館にもぐり込んだシェイクスピアは、ヴァイオラと運命の恋に落ちる。その日から堰を切ったように劇作を書き始めたが、親が決めた結婚のためもう会えないというヴァイオラから別れの手紙を受け取る。納得できずまた館へ。そこでトマスがヴァイオラの仮の姿だと知る。心のままに結ばれたふたりはその後も忍び逢いを続け、この恋が次第に運命の悲恋物語『ロミオとジュリエット』を形づくっていく……

・第71回アカデミー賞:作品賞/脚本賞/主演女優賞/助演女優賞/音楽賞/美術賞/衣装デザイン賞
・第56回ゴールデングローブ賞:作品賞(ミュージカル・コメディ部門)/脚本賞/主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)

    

原作の『ロミオとジュリエット』は悲劇だが、この映画の脚本は見事に喜劇仕立てに生まれ変わっている。こんな事が可能なのか。しかも原作者のシエイクスピアが主人公で、次作の「12夜」の主人公ヴァイオラがジュリエットを演じるという神業まで見せてくれる。シエイクスピアファンにはたまらない作品だろう。

 ジュリエットが仮死状態になっているのを見たロミオは、彼女が死んでしまったと勘違いし、毒薬を飲んで自殺する。その後仮死状態から目覚めたジュリエットは横たわるロミオに気づき、短剣で胸を刺し、後追い自殺を計る。(高校1年生時、オリビア・ハッセー主演の「ロミオとジュリエット」を映画館で見たとき、観客の若い女性が画面のロミオに向かって「飲まないでぇー!」と叫んだのを今でも忘れられない)
 この有名な映画を観て、1595年前後の作品で、仮死状態を作り出す薬を発想することが信じられず、この映画の特別な脚色ではないかと一時的にそうに信じていた。その後シエイクスピアの原作に忠実に作られた作品と知り、豊かな発想力に心から驚いた。『ハムレット』『リヤ王』『ベニスの商人』を読んで深い人間洞察力に驚き、いまだにベストセラー作家であるシエクスピアに心から畏敬の念を抱いてしまった。森が動くシーンと矢が壁に突き刺さるシーンが忘れられない黒澤映画の「蜘蛛巣城」は、『マクベス』が原作と知ったのもその頃だった。
 
 映画『恋におちたシェイクスピア』の脚本は素晴らしい発想の基に作られている。まるでアクション映画のようなスピーディーな展開と、しかも巧妙にしけられた脚本に誰もがワクワクしてしまう映画には滅多に出会えない。まだ観ていない方は是非一度鑑賞して欲しい。これぞ、アカデミー脚本賞だと間違いなく感嘆するに違いない。
 



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