アメリカのアニメ映画で驚かされるのは、豪華ハリウッド人気スターが声優をするところだ。このカンフー・パンダもびっくりする面々だ。ジャック・ブラック、アンジョリーナ・ジョリー、ダスティン・ホフマン、ルーシー・リュー、ジャッキー・チェン、ゲイリー・オールドマン、ジャン=クロード・ヴァン・ダム。特にジャッキーは声優だけではなく、武術面のアドバイザーも務めているいるとか。 「燃えろドラゴン」以来、カンフー好きの私は、wowowで録画した「カンフー○○○」という題名につられてつい観てしまった。これが大変良くできていた。豪華声優陣も後になって知った。昨日録画していた続編「カンフー・パンダ2」を見たが、前作以上に感動して思わずほろりと涙をこぼしてしまった。夏休みということもあり、久しぶりにアニメ映画を紹介しましょう。 前作は、中国の平和な谷が悪のカンフー使いタイ・ランに襲われ、それに対抗するためにマスター・タイガー(A・ジョリー)らが腕を競うが、最終的に実力を認められたのは、なんとメタボなパンダのポー(J・ブラック)だった。キツネの達人シーフー老師(D・ホフマン)に弟子入りするものの、過酷な試練を乗り越えられるだろうか…という物語だった。 そして続編のストーリーがとても良かった。恐るべき大砲を手にして中国全土を征服を企む新たな敵クジャクのシェン大老(G・オールドマン)に、立ち上がるポーの活躍と出生にまつわる謎が解かれていく。キツネのシーフー老師が、水滴を手のひらで受けてまた草花に戻すカンフーの奥義を見せる。この技を最後の土壇場で見せてくれるポーに、拍手喝采したい気持ちになった。悪役のクジャクシェン大老の存在がとてもうまく描かれている。筋書きにはまったく関係ないが、豚の親子が有名になったガチョウの養父が営むラーメン屋にポーを訪ねてやってくる。しかし、ポーがいないのを知って不機嫌になる子豚。この表情に思わず噴き出してしまった。 MOVIX堺で上映時間を待っている時、8月25日公開の高倉健主演映画「あなた」の新聞風のパンフレットを読んだ。健さんは作家の山本周五が大好きだそうだ。それを知っただけでも健さんが一層好きになった。そんな彼がこんなことを語っている。
「…(これまでの人生を)振り返れば、滑稽ともいわれそうなデコボコの道です。人生には、そんなにいいことはめぐってきません。頑張れば必ず報われるかといえば、それもウソでしょう。けれども、ほんのたまにめぐってくるいいことを見逃さないために、普段から神経を張りつめて、がんばっている必要があったのです。」
「人間の真価は、その人が死んだとき、なにを為したかではなく、彼が生きていたとき、なにを為そうとしたかできまる」
この語りを読んで『坂の上の雲』のラストページを思い出した。秋山好古が言った言葉をだ。『若いとき何をしようとしたか、そして年老いて何をしたか』 グータラだったパンダのポーが、キツネの達人シーフー老師に弟子入りして、初めて真剣にカンフーを学び始める。まだ「何かを為そう」と考える前のことだ。「カンフー・パンダ」では、マスターパンダになることによって村の平和に命をかけて戦うことを学んでいく。「カンフー・パンダ2」では、新たな敵と戦い、その過程で自らの出生の秘密を知っていく。それは自分探しの旅ともいえる。しかし、自分のことだけを追い続けていては自分探しの旅は永遠に終わりはない。それは欲望を追い続けていても切りがないこととよく似ている。誰かのために、何かのために、自分以外のものに真摯に立ち向かってこそ初めて見えてくるように思う。次回作(きっと3ができるだろう)は、マスターになった青年ポーがパンダ一族のために「何かを為そう」とする物語になるような気がする。
今夜、新作「トータル・リコール」を観たが、この映画よりは「カンフー・パンダ」(1・2)を観ることをお奨めしたい。
「カンフーパンダ」 面白そうですね。子供向けアニメとばかり思い込んでいました。ビデオ店で借りて観てみようと思います、ご紹介ありがとう。大物スター多数参加で期待が持てます。
僕が子供の頃の”健さん”は任侠もの映画ばかりで、怖くて観られず、もっぱら”東映まんがまつり”でした。(笑)
でも「幸福の黄色いハンカチ」から見直しましたけどね。
若き日出演の「飢餓海峡」は、映画が凄かった!!!
この作品と松本清張の『砂の器』が私にはとても似通っている作品と受け止めています。