GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「我が人生に悔いなし」2

2012年03月12日 | Weblog
          

今朝 とうとう親友が逝った
一日中胸が張り裂けそうだった
退職を前にしているので仕事もなく
彼のことばかり考える一日だった

震災でなくなった多くの死のように不条理でなかったことが大いなる気休めとなった
余命3ヶ月が8ヶ月も伸びたのだから
先月長崎で私たちと再会できたし
最後まで24時間看護で張り付いていた奥さんや子供達や兄弟親戚に
看取られながら逝ったのだから きっと彼も心安らかだったはず

3月7日 自宅に帰った時「いい人生だった」と奥さんに伝えたという
それを聞いて私は心から安堵した
それでなくちゃ、こんなにみんなから惜しまれたのだから

傾きかけた会社を日本一のブロイラー会社に育て上げた組織人としての人生
3人の子供たちをりっぱに育て上げ 大学まで卒業させた親としての人生
宮崎に豪邸まで作り上げたファミリーの長としての人生
すべて一級品の人生だったように思う





大学の4年間 私と組んだ<おいどん>というDUOグループのライブ活動は
お互いにとってまさに輝くような季節だった

     草の輝くとき
    花美しく咲くとき
    再び戻らずとも嘆くなかれ
    その奥に秘めたりし力を見いだすべし


このワーズワースの詩に出会ったのも輝くような季節の中だった
彼はその秘めたりし力、すなわち生命力を存分に活かして
それからの人生で一番多難な季節を社会人として見事に生き抜いたのだ
見事と云うほかない

58歳まであと1ヶ月足らずの人生 
そんな若さで… という人がいるかもしれない
しかし 人生はより長く生きる伸びるレースではない
『坂の上の雲』の最後で司馬遼太郎氏はこのように語っている

「若い頃何をしようとしたか、そして年老いて何をしたか」が男の人生だと
この意味で親友は素晴らしい人生を送ったと拍手したい

大学4年の夏 二人で10日間もかけて北海道旅行した想い出
彼と輝く季節を過ごしたコンサートのライブ音源も数多く残っている
私のオシジナル曲を日比谷の野外音楽堂で彼がソロで絶唱した想い出
二人の曲をYouTubeにもアップした
宮崎シーガイヤのコテージで過ごした昨年秋の3日間はまるで学生時代の合宿生活のようだった
今年2月に再会を果たした長崎グラバー園の2日間
それらすべての想い出が溢れるように甦ってくる

切なくて切なくて 悲しくて悲しくて 苦しくて苦しくて…胸が張り裂けそうになってくる

でもそんな胸にこんなにも素晴らしい想い出がどんどん沸き上がってくる

 

 

映画「ジョー・ブラックをよろしく」の中で
「運のいい人だけが素晴らしい想い出を胸に天国に行くことができる」というセリフがある
彼も私もきっと運のいい幸福者に違いない

彼は彼なりに今を生きてきたのだ
その生き様を思うとき 私の心はだんだんと穏やかになっていく
彼はどんな時でもきっと一所懸命に生きてきたのだろう
輝く季節を一緒に過ごしたとき 二人でそのスタンスを学んだのだ
その生き方こそが二人にとって最大の宝物だったに違いない

今日 奥さんと春爛漫の頃に再会し
桜島を見ながら私たちと温泉にでも浸かり、彼の想い出話をしよう約束した
彼女は泣きながら「必ず行く」と云ってくれた





私たちは別々の人生を歩んではいるが
「我が人生に悔いなし」という熱い想いを胸に抱いた
そして 親に与えられた人生を生き抜いてきた<戦友>なのだから
これくらいのプレゼントを戴いてもきっと誰も文句は言わないだろう
文句がでるならきっと先に旅立った彼からだろう
「俺も一緒に桜島を見たかった」と

そして私は彼にこう言い返す
「一緒だよ、いつも恭央は俺たちの胸の中にいるから」


           

恭央に捧ぐ<雨に泣いている