GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「プラダを着た悪魔」

2007年11月17日 | Weblog
 ファッション誌「ヴォーグ」の元アシスタント、ローレン・ワイズバーガーが書いたベストセラーの暴露本が原作だそうですが、映画ではアン・ハサウェイ演じるアンドレアは将来的にはジャーナリスになることが目標という設定でした。
 
 その為のキャリアとして、「プラダを着た悪魔」ことメリル・ストリーブ扮するミランダの秘書として就職を果たし、悪戦苦闘の果てにアンドレアは何を得たのか。これが映画の主題です。
 
 若いときは、多くの夢を持って社会に出ていきますが、現実の世界は決して容易な事ばかりではないのです。まるで悪魔のような上司にこき使われ、その上司の子供が読みたがっているまだ発刊されていない本まで探せと命令されます。天然のアンドレアはそんな命令に対しても忠実に、懸命に努力します。その過程の中で挫折し、また知人の助けを借りて成長していきます。しかし、世話になった先輩秘書や恋人まで、いつの間にか傷つけてしまうのです。
 
 そうこうしながら、悪魔と呼ばれる上司の懐に飛び込んで、彼女の孤独な心情にも触れていきます。そして、アンドレアは上司がNO.1の地位を維持するために、多くの大切なことを切り捨ててきたことを初めて知ります。同時に、自分も大切なものを失いかけていると自覚するのです。
 
 私は若いときにこんな瞬間があっていいと思います。なりふりかまわず全神経を集中して、今与えられた仕事に打ち込む、そんな瞬間が必要な気がするのです。そのキャリアを経て、自信をつけ、人は自分の目指す目標を明確にできるのだと思うからです。
 
 ラストシーンにそれが伺えます。アンドレアが今もNO.1の地位君臨するミランダと道路で再会したシーンです。二人は目を合わせ、アンドレは心の中できっとこんなふうに思ったはずです。

「あなたのおかげで私は、自分の道が明確になりました。
 だけど私はあなたのような孤独な女性にはなりません。
 大切なものをしっかり守るために今の仕事を頑張ります」

ミランダも彼女の表情から彼女の気持ちを読みとります。
「あなたは聡明な子よ。私のように大切なものの優先順位を間違えないで生きていきなさい。優先順位を間違えると私のように不幸になるよ」
 
最後にふっとミランダが見せた微笑みは、私には哀れな自分への苦笑いに見えました。
                      (お奨め度:78点)

 社会に出てやってみたいことは沢山あるはずです。しかし、そのすべてをやるのは不可能で、やりたいことを見つけるのも難しいと思います。今与えられた仕事に集中して頑張って下さい。先輩や上司という一つの組織に中で、自分を客観的に見つめ直し、アンドレアのように自分自身の道をしっかりと見つけて下さい。

 人は自分の人生で会わなければならない人には、必ず会うと云われています。そしてその時、その重要な出会いを自覚できるかどうか、その為にはしっかりと前を向いて生きているかどうかが、分かれ道となるような気がします。

 「人は行きつつある方向からやってくる」
                 (エイザベス・ゲイジ『真夜中の瞳』より)