GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「ALL THE KING'S MEN」

2007年11月14日 | Weblog
 ロバート・ペン・ウォーレンのピュリッツァー賞受賞作を49年に続いて豪華キャストで再映画化した政治ドラマ。主演は「ミスティック・リバー」のショーン・ペン、共演に「アルフィー」のジュード・ロウ。監督は「ボビー・フィッシャーを探して」のスティーヴン・ザイリアン。

 製作者の一人マイク・メダヴォイはこんな風にこの映画を伝えています。「政治を枠組みとして使ってはいるが、本質的には、人生についての物語、我々全員に関する物語なんだ。我々は皆、腐敗する可能性があるし、愛することも憎むことも裏切ることもできる。それらは太古の昔から人間の原動力となってきたものだ。ウォーレンの小説は、人間の本質を描いている。善人でもなければ悪人でもない、その間のどこかにいる不完全な人々を描いている。彼らはもともと善意の人でありながら、権力に屈し、悲劇的な結末を迎える。」

 久々の大人の大河ドラマで、クーラーを切っていたせいかもしれないけれど汗をかいて見てしまいました。ショーン・ペンは相変わらず難しい人物を演じていますが、ジュード・ロウにはそのお相手は少し荷が重たかったようです。アンソニー・ホプキンズは存在感のある名演を見せています。ケイト・ウィンスレットとの切ないラブシーンでロウの独白が流れます。「人生を決める瞬間は数回しかない。もしかしたらただ一度かも…」心の残る文章です。

 半世紀以上生きてきて、思い当たることがあるからです。人生の春を生きている人には決して分かりようがないかもしれません。でも、私が大学生の時に見たエリア・カザンの名作「草原の輝き」のラストにワーズワースの詩の一編が流れました。「今がその時だ」と私は自覚できました。

「…草の輝くとき 花美しく咲くとき
  再び戻らずとも嘆くなかれ
  その奥に秘めたりし力を見いだすべし…」

 今、人生の春や夏を生きている人でもその瞬間を自覚できるかもしれません。ジャック(ジュード・ロウ)は、どうしてあの時、アン(ケイト・ウィンスレット)を抱かなかったのか? この純粋で切ない決断が、彼の人生を決めた唯一の瞬間でした。この決断が、人生の傍観者のような記者という職業を選び主体性のない「王のすべての臣」となり果てたことを知ります。そして「何事も代償をともなう」というセリフが切なく胸に迫ってきます。私の感じ方は、映画や原作者の意図から少しずれているかも知れません。主題は、前半に書いたメイク・メダヴォイの話ですが、「人生を決める瞬間は数回しかない」このセリフが私にはあまりにインパクトが強かったのです。

  <人生を決める瞬間>は、誰にでも最低1回はあるのです。


<感動したお奨め映画度>80点

   今、人生の春を生きている若い人たちに伝えたい。
   その時を生きている事を自覚して
   その時を大切に過ごして欲しい。
   そしてその時のある決断が、
   その後の人生を決めることがあることを。

 主人公の切ない決断は映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の主人公、サルヴァトーレの裏切られたという切ない決断と似通っています。その時の決断が、後の映画製作に没頭する人生につながっていきます。


 私の人生を決めた瞬間? 今、振り返ると私には見えます。さあ皆様も、振りて返って見て下さい!きっと春の時代(結婚までの人生)にその瞬間があるはずです。