自然の現象には、人間では変えられないものがある。今回の金環日食も、気の遠くなる歳月を超えて観える。昔の人は、そういった現象には、畏怖の念があり、できれば観たくないと、雨戸を閉めて、息を潜めていたのだ。
昨年から今年にかけては、天文・天体ショーがひしめく。金環食だけが素晴らしいのではなく、軌道上を狂いなく周ってきた、千差一遇のチャンスを観られることに、不思議な感動を覚える。然しくれぐれも、太陽を観るのだから、充分に注意が必要です。
5月23日には、夕空の金星と月が、ふたご座の辺りに観えます。6月4日は、部分月食が。6月6日、金星が太陽面を通過する。7月13日には、金星が最大光度になり、明け方の昴の辺りに輝きます。7月17日、昼間の木星食があります。
天文現象に興味を持つことは、月の満ち欠けや、潮の満干潮を知り、生活に生かしていくことにもなる。暦の活用には、農事だけでなく、日本人の知恵があり、様々なことに役立てたい。地震や津波に備えることにも繋がります。
古の人々は、自然現象には近寄らず、生死に拘る一大事のように、考えていたのだろうか?現代のようには、情報が乏しい分が、禍とならぬよう、通り過ぎるのを待っていたのかも。或いは、坂手に取って、政治的な駆け引きに、使っていたのかもしれない。
金環日食とは、太陽の見かけの大きさが大きめで、月の見かけの大きさが小さめだと、新月が太陽と重なっても、完全に太陽を隠すことができません。太陽の周囲がリング状にはみ出す現象です。(藤井旭さんの『天文ガイド』から)
閏弥生の月と金星。春の夜半の宇宙です。