2007-0123-yis073
したり顔して吹聴しないでね?
紫衣で寝たんだよなど 悠山人
○和泉式部集、詠む。
○詞書に、「しのびたる人の、とのゐものに、むらさきの直垂をとりにやるとて」。依拠本によると、『正集』には、珍しいことに「あの方」の名が「よりのぶ」とあって、忍んで来たのが源頼信(鎮守府将軍。長兄は豪将頼光)と知れる。お忍びの頼信さまにと、紫の直垂を差し上げたときに。
¶とのゐもの(宿直物)=「宮中に宿直するときに用いる衣服や夜具。」(旺文版『古語辞典』) なお「とのゐぎぬ(宿直衣)」見出しには、こうある。「宮中に宿直する際に着用した衣服。衣冠[(略)]・指貫(さしぬき)・直衣(なおし)などやや略式のもの。宿直装束(とのいそうぞく)。」 さらに宿直関連の見出し語が並んでいることから、私が漠然と想像する以上に、当時は宿直が重要な位置を占めていた。
¶むらさき(紫)のねずり(根摺)のころも(衣)=「むらさき」に「紫」「紫草」を充てる。紫草で染めた衣・直垂(ひたたれ)。
¶きて=<「着て」に「来て」をかける。>(新潮版)
□和073:いろにいで ひとにかたるな むらさきの
ねずりのころも きてねたりきと
□悠073:したりがお してふいちょう しないでね
むらさきぎぬで ねたんだよなど
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