悠山人の新古今

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033 星合の夜空を

2005-08-05 08:20:00 | 新古今集


■題詞に「七月七日(ふづきなぬか)に、七夕祭する所にてよみける」。年に一
回、今夜だけの逢瀬。天の川の波も立っているようだ。そう思うと、仰ぎ見る私
まで心がさわいで、穏やかではいられない。・・・現代人には何とも優雅な響き。
悠山人の屈折赤道儀も、夜空が明るすぎて、長らく休業中。もっとも今ではPC
で簡単に、星空探索が楽しめる。

【略注】○星合(ほしあい)=「七月七日の夜、牽牛星(彦星)、織女星(たなばた
    つめ)の二星が相逢うこと。」(小学版) 「たなばたつめ(棚機つ女)」は、
    すでに古事記に登場する。若者のみなさん、「デート」のかわりに、たまに
    は「星合」(意味を広げて)などと言ってみては?
    ○しづ心なき=心が静かではない。without calm heart。主語は作者とも、
    天の川とも、両星(ふたほし)ともとれる。小学版では、「星合の時の近づ
    くのにときめいている作者の心」。岩波版では、「雲間に明滅する天の川
    の慌しさに、逢瀬を案ずる作者の心を移入し、また両者の騒ぐ胸を思い
    やったもの。」
    ○藤波輔親(すけちか)=祭主(伊勢神宮の神官長。世襲制)。能宣(よ
    しのぶ)の子。伊勢大輔(いせのたいふ、~おおすけ=女性歌人)の父。
    祭主輔親の表記が通用。
【補説1】歌集この前後は七夕の部。天の川(英語では the Milky Way)を、現実
    の川と見立てる表現が普通である。たとえば、「彦星の門(と)渡る舟」
    (0314)、「天(あま)つ星合の空」(0316)、「七夕の門渡る舟」(0320)、「天
    の川原」(0321、式子、後出)、「天の川風」(0322)、「天の川川霧立ちて」
    (0327、貫之)などなど。公経にいたっては「紅葉の橋」(0323、後出)まで
    架けてしまう。
【補説2】七夕祭。岩波版から。「たなばた祭 古来の織女(たなばた)伝説行事
    と中国の乞巧奠(きこうでん)の習合したもの。庭に筵[むしろ]を敷いて
    机を並べ、その上に灯台を点じ筝を置き、香をたき供物をして両星にた
    むける。」 どこかで今も、この古式行事をしているのだろうか。

 

 

 

 


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