悠山人の新古今

日本初→新古今集選、紫式部集全、和泉式部集全、各現代詠完了!
新領域→短歌写真&俳句写真!
日本初→源氏歌集全完了!

165 白波よ紛れて

2006-02-26 06:40:00 | 新古今集

 この前後、寂然の詠草が多い。題詞に「不偸盗戒」(ふちゅうとうかい。盗むなかれ。)とある。自然現象に見せて、実は犯罪防止を訴えた巧みさに、感応させられる。
 ひらかなy165:しらなみよ まぎれてとるな うきくさの
          いそにかくれた ひとはなりとも
 ひらかなs1963:うきくさの ひとはなりとも いそがくれ
          おもひなかけそ おきつしらなみ
【略注】○磯隠れ=「磯に隠れて」。終止形「磯隠る(いそがくる)」という動詞
    の、れっきとした連用形である。活用については複雑なので、古語辞
    典で確認されたし。次項も同じ。
    ○思ひなかけそ=「思って(考えて)くれるなよ」。「AなBそ」は万葉以
    来、禁止の標準形のひとつ。古語辞典には、「思ひ懸く」の第一の意
    味として、「心にかける。また、恋い慕う。懸想する」が載る(旺文社版)。
    ○白波(しらなみ)=文字通りの「白い泡の波」の裏に、『後漢書』由来
    の「白波(はくは)賊」(白波谷にこもった盗賊集団)を掛ける。(小学版)
    ○寂然=悠 164(02月25日条)既出。



最新の画像もっと見る