悠山人の新古今

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120 あのときの仮寝の

2005-12-09 07:00:00 | 新古今集

 若き日、神に仕える身であった。ある晩、神域にときどき響くほととぎすの鳴き声。語りかけるような気配がいつまでも続くので、そっと起きて夜空を見遣る。遠い昔のことだ。詞書に「斎の昔を思ひ出でて」と。
 ひらかなy120:あのときの かりねのやどの ほととぎす
          そらをみあげて おもいだすわね
 ひらかなs1484:ほととぎす そのかみやまの たびまくら
          ほのかたらひし そらぞわすれぬ
【略注】○そのかみ山=「その上」(その昔)「神山(=賀茂神社、その山)」を掛ける。
    ○旅枕=仮寝(の宿)。この場合は、四月賀茂祭の前の晩、斎院であることから、
    寝所を移したこと。だから男女の情とは無関係。
    ○式子==悠 011(07月09日条) 既出。なお、悠 022(07月23日条) 参照。
【補説】この歌のもとは、源氏・花散里。私がときどき使う「ほの」が、「ほの語らひし」と出
    て来る。光源氏が女に遣わした歌であるが、これを式子もそのまま踏襲した。表面
    的には恋愛感情は無関係としたが、式子の内面はそうではなかった、と思う。ほと
    とぎす(移り気の象徴)・光君の贈歌などに、それが見て取れる。
    この一番前の1438は、その紫式部の歌があって、採否をかなり迷った。やはり賀
    茂祭に、桜葉へ書いた歌を記す。卯月の桜花への素直な驚きがある。
    1438 神代にはありもやしけん桜花
        今日のかざしに折れるためしは    紫式部
☆personal memo:①Society for the Oral Reading of Greek and Latin Literature (Sorgll)/
    Sappho 1 with reading using RealPlayer.    
     http://www.rhapsodes.fll.vt.edu/sappho1.htm
    ②Songs of Sappho/ with sevwral readings also using RP etc.
     http://trevor.butler.edu/~psaffire/sappho.html