■統計解析射撃(第82話) 発表1974年6月
評価 ★★★★★
依頼人 不明(中東産油国)
ターゲット ハミルトン石油 チャック・ハミルトン会長
報酬 不明
今回弾丸発射数 15/ 通算弾丸発射数 562
今回殺害人数 13/ 通算殺害人数 438
今回まぐわい回数 1/ 通算まぐわい回数 47
<ストーリー>
ケネディ大統領が暗殺されたダラスにゴルゴが現れた。20世紀最大の謎、ケネディ暗殺事件はゴルゴの仕業なのか?ゴルゴがダラスを訪れた目的とは・・・
<この一言>
チャンスは・・・一度で・・・いい!
<解説>
ケネディ大統領暗殺はゴルゴのスナイプたっだのか?ゴルゴがケネディ暗殺の地「ダラス」を訪れた目的とは?現在も真相が明らかにされていないケネディ暗殺をテーマにした本作は『ダラスの疑惑』『ダラスの極限』『ダラスの閃光』の3部から成る長編。見どころ満載の傑作である。
『ダラスの疑惑』では、ケネディ大統領暗殺がゴルゴの狙撃だったのかを検証する。世界的なジャーナリストでゴルゴ研究家でもあるマンディ・ワシントンが 第14巻-1『日本人・東研作』 に続いて登場、ダラス市警ロバート・ハスケルとともにケネディ暗殺の真相に迫る。ケネディが暗殺された「ダラスの日」のゴルゴのアリバイが成立、20世紀最大の陰謀とも言われるケネディ暗殺事件の実行犯はゴルゴでないことが確認される。歴史的大事件の実行犯をゴルゴとする大胆な設定が最高にスリリングである。
『ダラスの極限』では、アメリカ石油産業の雄「ハミルトン石油」の暗部が描かれる。全世界の原油の過半数を生産するハミルトン石油は、一方でケネディ暗殺の実行部隊を抱える裏の表情も持ち合わせている。ゴルゴのターゲットがハミルトン会長との情報を掴んだハミルトン石油の裏部隊は、ゴルゴを監禁、執拗な拷問を繰り返す。縛り上げ逆さ吊りにしての鞭打ちと殴打、ヘッドホンを被せ大音量でハードロックを聞かせ続ける、4日間投光器を照射し眠らせない、といった拷問に耐え抜くゴルゴ。一瞬のスキをついて「チャンスは・・・一度で・・・いい!」とつぶやき、敵を殲滅するシーンは何度読み返しても圧巻である。
『ダラスの閃光』では、ターゲットであるハミルトン石油の会長に肉薄する。しかし、ハミルトン邸は集音マイクが張り巡らされ、移動体すべてが探知されるようになっていた。ゴルゴはこのシステムを逆用、不可視の状況で「統計解析射撃」を行い、チャック・ハミルトン狙撃に成功する。当時の最先端技術を用いたSF映画のような設定に感服するとともに、瞬時にシステムを理解・応用するゴルゴの頭脳明晰ぶりに胸が透く。
なお、ケネディ暗殺については真相が明らかになっていない。軍産複合体の陰謀説、フーバーFBI長官の陰謀説、アレン・ダレスCIA長官の陰謀説、等々諸説交々。ケネディ暗殺に関するウォーレン委員会の文書は2039年まで開示されることはない。2039年に開示される文書には真実が記されているのだろうか?
ゴルゴが大音量で聞かされる レッド・ツェッペリン『聖なる館』 は、ハードロックの名盤でありブリティッシュ・ロックの歴史を語る上で外せない作品である。1973年発表の『聖なる館』は今聞いても古さを感じさせず、大音量で愉しみたい作品であるが、言うまでもなくヘッドホンで聞くときは音量を控えめに・・・。
ズキューン
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後の作品プライベート・タイムで、医師たちはどこも異状無しとか言ってましたが、ロボットやサイボーグじゃないんだからあの拷問の影響で少しは後遺症とか残るのでは・・・。
見えない標的の殺害は他の作品でもやってますよね。
2039年待ち受ける真実。公開されたら知ったこと後悔したりはしませんよね?
>2039年待ち受ける真実。公開されたら知ったこと後悔したりはしませんよね?
謎を残したままだからこそ、ケネディ事件はある意味人々を引き付けるのかもしれません。ミステリーのエンディングに作家は悩むといいますが、史上最大のリアルミステリーにはどのような結末が待っているのでしょう。
「最後の間諜‐虫‐」と並んで、劇画ゴルゴの頂点だと思います。
>劇画タッチが面白さを何倍にも増幅させているのが素晴らしいです
THE 劇画!というタッチがいいですね。ほんと、かっちょいい!!
>「最後の間諜‐虫‐」と並んで、劇画ゴルゴの頂点だと思います。
この話も「虫」も読み応えがありますね。こういう骨太の”劇画”作品が最近は見られないのが残念です。