■ペチコートレーンの夜霧(第170話) 発表1980年8月
評価 ★★★★
依頼人 なし
ターゲット なし
報酬 なし
今回弾丸発射数 4/ 通算弾丸発射数 1,049
今回殺害人数 6/ 通算殺害人数 965
今回まぐわい回数 1/ 通算まぐわい回数 76
<ストーリー>
霧深いロンドンの下町ペチコートレーン。女に誘われたゴルゴは直後に襲撃を受ける。肌を合わせた二人の運命は・・・
<この一言>
さっきの死んだ男の持っていたものだ・・・拾ってきたおかげで・・・命まで拾ったらしい・・・
<もう一言>
今度は俺がきく番だ・・・きみの正体を・・・な。
<さらに一言>
同じイヌ科でも、オオカミはイヌの群れの中にいても、おたがいを感じあうものだ・・・それがメスとオスになれば・・・なおのことだ・・・
<解説>
「お願い・・・わたしを・・・わたしを買って!」と女に声をかけられたゴルゴ。直後にロシア人の襲撃を受けこれを退けるが、女とのまぐわいの後にも再び襲われる。ゴルゴは女の正体を静かに問いただす。女は、自分はCIA工作員であり、ソ連外交員を殺害後KGBから追われていたため、ゴルゴの正体を知りつつ自分を守ってもらうためにゴルゴに近づいたことを告白する。ゴルゴと分かれた女は、ゴルゴに銃口を向けたためゴルゴに殺されてしまう。
彼女自身の最期の問いが本作の永遠の命題だ。
「もしわたしが拳銃を向けなかったら・・・私を許してくれた・・・?」
ゴルゴは女を許しただろう、というのが当研究所の見解だ。さらに言えば、ゴルゴは女に心を開いていたに違いないというのが当研究所の結論だ。ゴルゴが身を挺して女を守っていること、女に付き合い饒舌に会話をしていることは、その根拠の一部にすぎない。決定的なのは、女の最期を見つめるゴルゴの目だ。うっすらと涙を浮かべているように見えるのは気のせいではあるまい。以下の女のセリフはゴルゴの心情とシンクロしており、ゴルゴの内面を代弁しているのではなかろうか?
①「でも・・・楽しかった・・・あなたといっしょにいると、わたしは”女”になりきれた・・・」
②「今夜の私たちは”狩人”ではなかった。メスとオスだったんだわ・・・」
③「霧の夜は狩人の”目”も”心”も狂わせてしまう・・・」
特に②のセリフが「私たち」(=一人称複数形)になっていることに着目すると、「ゴルゴの目にも涙」の意味が見えてくる。
ズキューン
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この作品、「雨のサントロペ!」というゴルゴ史上最強の喘ぎ声が笑い話になってばかりですが(笑)、なかなかの逸品だと思います。
男の私が語るのはたいへん恐縮なんですが、ゴルゴ史上、女性キャラクターの細やかで複雑な感情を゛物語の主題゛として描いて成功しているのは本作と、「海へむかうエバ」「冷血キャサリン」の3作だけに感じます。
正直、その中で本作が一番地味ですが……、唯一゛湿った゛ムードがあるんですよね…。まさにタイトルの「夜霧」の如く、全編に漂うしっとりとしたムードが読者を感傷的にさせる効果を出していて、なかなかに充実した読後感です…。
女っ気ゼロで毎晩独り酒してる私には過ぎた作品ですね………(涙)。
この話のしっとり感は最高です。
ハードボイルド小説さながらの男と女の心情描写が巧みな作品ですね。近年はこの手の話がないのが寂しい・・・