「高知ファンクラブ」 の連載記事集1

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きのこ散歩道②ヒラタケ

2011-01-06 | 島崎俊弘さんの きのこ散歩道
早春のキノコ

 週に2度ほど田舎(土佐町)に帰る。シイタケ、ナメコのホダ木栽培や少しの野菜作り、空き家の風通しのためである。昨日は雪がちらつき大変寒かったが、見回せば、あちこちと春の息吹がいっぱいで季節の移ろいの確かさを実感する。「チャッチャ」と鳴くのは鶯の地鳴きで、子供の頃は、これが鶯とは知らないから仲間同志ではチャッチャと呼んだ。こちらの春はもう少しかかりそうだ。


 春のキノコと言えば、ハルシメジ、シイタケ、キクラゲ、アミガサタケ、ショウロ、など一気に数が増えてくるが、今回はヒラタケにご登場願おう。一般的にはヒラタケと言ってもピンと来ない人が多いが、シメジと言ったらご存知だろうか?実はシメジと言うキノコは存在せず、必ず、○○シメジと頭に別の単語が付く。だから、一般的にシメジと言えば数多い種類を代表してホンシメジを指し、「匂いマツタケ味シメジ」はこのホンシメジのことである。量販店ではヒラタケと言っても知名度がないので、商魂たくましき業者が「シメジ」を拝借してヒラタケをすり替え、安全で美味しいイメージをインプットするべく売り出した訳で、まったく上手いところに目をつけたものである。


 ヒラタケは晩秋から冬を通して早春ごろまで発生し、人家近くの生活圏から深山まで広範囲に亘って見かけることができる。枯れ木や生木の腐朽部分に群生し、迫力満点である。土佐町のある寒村の氏神様のご神木に毎年大群生するが、数多く見かけた中でもここの群生はただ者ではない。成長すれば、数十キロに達し数百人分のキノコ鍋ができるだろうが、いやもうこうなると、むしろ食欲をそそらなくなってしまう。このエノキのご神木も、これだけヒラタケに愛されたら余命はもう残り少ないのじゃないかと、何だか可哀想になってくる。


 食べ方はシイタケとほぼ同じだが、大きく成長したものはステーキにするとよい。塩コショウをしてバターで炒める。お皿に盛って温めたドミクラスソースをかけ、パセリ、人参、じゃがいもなど添えれば豪華なヒラタケステーキの出来上がり、成長すると繊維質になりナイフ、フォークで食べるとき雰囲気がでる。なお、中毒例の多いツキヨタケに似ているのでくれぐれもご注意してください。


森ときのこを愛する会 島崎俊弘


 


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