秋のキノコ
天高く馬肥ゆる・・・なんて言葉はとんと聞かなくなった。でも、食欲の秋は今も昔も同じ、テレビ番組では秋といわず年中これでもかと放送しているが、僕たちがイメージする食べ物とは少し違う気がする。秋といえば、柿、栗、さつま芋、はてはアケビなど野山の恵みがまず浮かんでくるが、昔も今も変わらぬ代表はやはりマツタケで異論がなかろう。
松林の減少と共に激減したマツタケは、今や宝石並みの高嶺の花となり庶民には手が出ない。店頭に並ぶ輸入物は防腐剤等が最近特に気に懸かり何となく買い渋る。ならば自分で見つけたら、とは言っても簡単に見つかる筈がない。
毎年5月に天草(熊本県)で採れるマツタケは100gが10万円で競り落とされる。100gが1000円の牛肉は高級なほうだが、その100倍だからもうこうなったらばかばかしい。とは言うものの、いったいどんな人が食べるのだろう?と助べえ勘ぐりのひとつもしたくなるのもまた人情というものか。
激減したとは言え、県内でも発生場所は結構あるようだが、民有林に踏み入るのは当然ご法度はいうまでもない。では、公有林ならOKかと言えば正確には落ち葉の一枚も取ってはならないそうである。いや、世の中は難しい。
長崎県で「西日本きのこ同好会」の交流会をしたときの話。長崎県ではマツタケが採れたことがないということになっているが、実際はそうではないらしい。ある人が普賢岳の近くの山でマツタケを見つけた。世間には奇特な人もいるようで、この代物を拾得物として交番に届け出たというのである。これだけでも話題性は十分だが、落ちがある。何と、こともあろうに落とし主が現れたというのである。新聞に掲載されたそうだが、呆気にとられて結末は聞き損ねた。
森ときのこを愛する会
島崎俊弘
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