世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

中国労働者、鉄鋼会社社長撲殺 Privatization, Layoffs, Killing

2009-07-27 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2009年7月27日(月)

香港の人権団体は、「中国東北部吉林省の国営鉄鋼会社(通化鋼鉄:Tonghua)のリストラの実行のために、北京に本拠を置く鉄鋼会社建竜(Jianlong)グループから派遣されていた陳(Chen)社長が、怒った3万人の労働者による抗議運動のさなかに、撲殺(beaten to death)された」と発表した。この通化鋼鉄に対する、民営化と大リストラの計画によると、5万人の労働者が全員解雇されるはずであったが、それは、この騒動で、白紙還元された模様である。

中国では非効率の是正措置として、国営企業全体からは、90年代に5,000万人の労働者がリストラされたにもかかわらず、その多くでは、いまだに水ぶくれしたままになっている。通化鋼鉄の、建隆による吸収合併計画は、2005年に一度成立したが、市況の悪化で断念された経緯があるが、最近の鉄鋼市況の回復で交渉が再開されたものである。

そして陳氏が、最終契約前に暫定社長として送り込まれ、全員解雇という極端な政策を打ち出し、またその態度も不遜かつ一方的であったために、労働者の怨嗟は同社長に集中したとのことである。

殺された陳社長の報酬は、4500万円と伝えられているが、解雇された労働者に支払われる、失業手当は、月3000円足らずであるという。そして建竜(Jianlong)グループの張会長は、2008年の中国長者番付第10位で、その資産は、2,900億円である。

この事件には、中国の市場経済導入後の想像を絶する格差の拡大の実態と、国営企業の「払い下げ」による利権をほしいままにしている民間企業の問題、そしてその労働者の権利無視という問題が典型的に示されている。