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オバマ、健保改革法通過に全力 This isn’t about me.

2009-07-21 | 米国・EU動向
2009年7月21日(火)

米国議会の夏休み入りを3週間後に控えて、今会期中に、国民皆保険化のための健康保険改革(Health Care Reform)法案の通過を目指すオバマ大統領は、今週は支持を訴える説得活動に全力を上げる予定を組んでいる。

昨日の演説会では、 Jim DeMint共和党上院議員が、「ここでオバマ大統領の改革法案を阻止できれば,ウォータールーの戦いで、ナポレオンを破ったような勝利となる。」 ("If we're able to stop Obama on this, it will be his Waterloo. It will break him.)といったことに対して、「この問題は、私が勝つかどうかという問題ではない。政争の具でもない。」(This isn't about me. This isn't about politics.)と反論。

そして、「法案に反対して現状維持(status quo)を図ろうとするのは、保険会社や製薬会社の利益を擁護しようとする人々である。しかし、問題を認識していても、改革を一日、一年、十年と少しでも延ばしても大丈夫と思っている人々もいる。今こそ行動を起こすべきときである」と訴えた。

しかし、オバマ改革案の財政支出の膨張に対しては、強硬に反対している共和党議員のみでなく、民主党議員の中にも不安が広がっている。またABC/Washington Postの世論調査では、オバマ大統領の支持率が60%を切ったことに加え、健保改革法案に対する支持率は8ポイント下がり、49%に急降下した。

今会期中の法案成立は、オバマ大統領が自らに課した政策目標であるが、政権発足半年で決着をつけるには、時間が不足しているように見え、前回のクリントン政権の改革の試みが失敗に終わった轍を踏む危険性が増大している。国民皆保険導入による格差是正と社会正義の実現を図ろうとするオバマ大統領の手腕に、成否がかかっている。