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中国「暴動」発生を公式報道 Unrest in China’s Xinjiang region

2009-07-07 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2009年7月7日(火)

北京オリンピックの際に勃発したチベット暴動に加えて、今週に入って新疆・ウイグル自治区でも、イタリアでのG8サミット開催の直前のこの時期に、「回教徒でトルコ族」であるウイグル人の暴動が省都ウルムチを中心に勃発している。現在のところ死者の数は、156人に上がったことを、新華社通信の英語版も報じている。

中国は、本来的に他民族国家であり、広国土を安定的に統治することがむずかしいのは、歴史が証明している。圧倒的な漢民族の数の優位と、軍と中国共産党の力で辺境の少数民族は抑え込まれ、世界から情報遮断されてきた。しかし、インターネットと携帯電話の時代になって、彼らの主張と行動は、世界に同時に報道されるようになった。

今回の暴動と北京オリンピック直前のチベット暴動との大きな違いは、中国政府が「暴動発生を間髪おかずに発表」するとともに、「新華社通信」も淡々と、死者発生と、暴動現場での負傷者の姿まで世界に配信していることである。公式説明では、「暴動は国外勢力に扇動された無法者の悪行」が発生原因であるとされている。これは、亡命ウイグル人が、組織している”World Uyghr Congress”は、ミュンヘンに本拠を置いて活動しているので、暴動はここから指示を受けているということを指している。

新疆には、日本の5倍の国土に2000万人の人口しかいない。しかしその石油と天然ガスの埋蔵量は、それぞれ中国全体の埋蔵量の28%と33%を占めている。西部大開発によって得られたガスは、「西気東輸」(西部地区で生産されたガスを東部沿海地方にはこんで経済発展させよう)政策によって、パイプラインで上海まで送られて、その経済発展を支えている。

一方、経済的恩恵から遠ざけられ、人種差別的待遇に苦しむウイグル族の反抗は、今後も中国にとっても大きな問題である。米国の「国際的なテロ集団との戦い」を中国が強く支持する理由もここにある。

イタリアでのサミット会議中に、中国側は、この事態をどう説明するのか興味のあるところである。