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中国、ネット世論に敗北 China code ‘delay’ means scrapping

2009-07-02 | 中国・ロシア・インド・ブラジル動向
2009年7月2日(木)

中国政府は、7月1日以降に販売されるすべてのPCに、「青少年をポルノサイトから守る」と称して、特定サイトをブロックできる「Green Dam-Youth Escort」というソフトを搭載してから販売することを、義務付けるとしていたが、その実施を「延期」すると昨日発表した。

中国政府は、この措置を発表して以来、米国からは「インターネット上の自由な情報の流れを阻害する検閲」であるとの抗議を受け、また中国に活動拠点を置くグロ-バル企業からも連名の抗議を受けていたが、何よりも中国国内の、中国人Bloggerたちが、「ネット言論の自由」に対する統制であるとして、ネット上での活発な反対運動を繰り広げたことも大いに、この「延期措置」に貢献した。

中国政府のこの「延期措置」(the deadline is delayed)について、Financial Timesは、実質的には、「撤回」(a quiet death)と解釈してよいだろうとしている。(‘Delay’ is code for total re-evaluation and potential scrapping.)

今回のケースのように、中国政府が唐突にIT産業に対して、その及ぼす影響が計り知れない規格や技術基準を強制するということが、2000年と2004年にも起こっていて、そのつど業界や世論の反対で、政府は面子を保つ形で、引っ込めた例があるからだ。

人民日報は、昨日、「中国政府はインターネットの普及で情報の管制能力を失った。人民の口に、マイクロフォンを取り付けたようなものだと」と論説で状況を認めた。イランの選挙後の騒乱状態では、blogやYouTubeの画像が引き金となり、増幅器の役割を果たしていることも見ながら、中国共産党幹部は、この時代の変化にどう取り組むべきなのか、深く考えをめぐらしているのであろう。