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オバマ怒る、G8と国連は時代遅れ antiquated and ill-prepared

2009-07-11 | 米国・EU動向
2009年7月11日(土)

昨日、本欄にて懸念したとおり、残念ながら、イタリアにおける、G8に続いて開催されたその他主要国を加えたG17において、温暖化ガスの削減について合意が成立せず、今後の交渉のヘゲモニーが、G8から中国・インドなどの発展途上国に移動したことが明確となった。

総括会見の中で、オバマ大統領は、「G8も国連も、地球全体が抱える問題に対して、時代遅れで、対応能力を失った」(the G-8 and the U.N.as antiquated and ill-prepared for the challenges facing the globe.)と言い切って、不快感をあらわにした。
して
そして、「こうした首脳国際会議は儀式化してきて、創設時に役目と定められた問題に対する対応能力を失って久しい。席とりごっこ(musical chairs)のような遊びの会議はもううんざりだ。就任以来6ヶ月に開催されたこれに類する首脳会議の回数は多すぎた」とまでいって批判したのである。TVに映された、休憩時間中の首脳間の雑談の風景の中でも、国連事務総長への態度は、見ていて「そそくさ」と応対した印象を与えた。

オバマ大統領としては、今回交渉の中心となるべきであった中国の胡錦涛主席の直前の欠席もあって、十分な存在感を示しえなかったことに、大きな失望感を抱いて帰国することになったと推測される。

そしてG8が、そのかつての「金持ち国」の指導的立場を完全にうしなっているのも明白な事実である。さらには、「米国一国指導体制」も、金融危機の発信源となったことで、自由主義経済の旗手としての地位とともに失った。オバマ大統領の怒りは、米国一国だけが君臨した20年間の「超大国」からの転落の嘆きでもある。

こうした流れを見ていると、9月の国連総会では、国連の非効率・官僚化・肥大化に対して、近年特に米国から不満が高まっているので、国連の機能強化、予算の強化と引き換えに、オバマ大統領は大胆な「行政改革」を、提案するかもしれない。