世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

オバマ、ハーバード大学黒人教授の誤認逮捕にコメント

2009-07-24 | 米国・EU動向
2009年7月24日(金)

オバマ大統領は、今週本欄で取り上げたように、46百万人の無保険者の根絶を目指す健康保険改革法案の今期中成立のための、記者会見やインタビューに加えて精力的な遊説行脚を始めた。水曜日の記者会見もその一環として行い、キーワードは、”This has to get done.”(改革は、成就されねばならない)であった。

その記者会見の最後に、記者から、大統領の友人でもある黒人のハーバード大学教授が、自分の家のドアの鍵が開かず、壊して入ろうとしているのを、近隣の住人に通報され、駆けつけた警官が、同教授を、有無を言わせずに逮捕したことについて意見を求められた。

普段は、人種偏見問題になってもことを大きくすることはまれな大統領も、この事件を、「大統領選挙結果には、差別問題の改善が反映されたけれど、米国にまだ根強く残る人種差別を思い出させてくれた」(a reminder of the persistent racism in the United States)と評したのである。

しかし、大統領は、ユーモアも失わなかった。「所轄署の警官は馬鹿な行動を取った」(acted stupidly)と批判しながらも、「そんな通報を受けたら現場に警官が急行するのは、あたりまえだ。私が、ホワイトハウスの鍵をこじ開けて(jimmy)いるのを見られたら、射殺されるだろうし(I’d get shot.)」と、スマイルとともに締めくくったのである。

この事件を報じているUSA Todayの囲み記事によると、門前で警官と争ったのは、黒人のGates教授、逮捕理由は、「錯乱した行為(disorderly conduct)」、逮捕した警官の名前は、James Crowleyであると報じられている。


ブラジル、石油開発に暗雲 Petrobras’ Biggest Crisis

2009-07-24 | 世界から見た日本
2009年7月23日(木)

ブラジルの経済発展を支えるのは、その大地から生み出される砂糖と大豆、天然資源の鉄鉱石と石油・ガスである。そして、鉄鉱石の民間企業Valeと石油の国営企業Petrobrasは、屈指の世界的企業に急成長を遂げている。しかし、そのうちの一つであるPetrobrasが、未曾有の経営危機に見舞われていると、Financial Timesが伝えている。

先週、同社の活動を調査する特別委員会が、国会の中に設立され、その調査対象となったのは、同社の油田開発・採掘活動に関する詐欺(fraud)、汚職(corruption)、過大請求(over-invoicing)、脱税(tax avoidance)の嫌疑である。

近年、同社はブラジル沖合の巨大な深海海底油田を発見し、これからその開発投資に関する法律の制定を目前にして、このような大きな疑獄事件の告発に、ブラジル国内は騒然としているとのことである。

Petrobrasの社長は、調査委員会に協力を約す一方、従業員に向けて、「同社始まって以来の最大の危機」であるとして注意を喚起した。しかし、他方ではこの事件の告発の中心となり調査委員会の設置を要求した、元ブラジル大統領でもある、Jose Sarney上院議員が、自身に向けられた汚職疑惑から、世間の注意をそらすために仕組んだ謀略であるとの、強い世論の反発も巻き起こっている。

世界の石油産業が注目する超深海油田開発への挑戦は超大型の投資を伴うので、推進母体であるPetrobrasの活動に大きな制約が課せられることは間違いないので、大きな懸念が広がっている。加えて、鉄鉱石も原油も、国際相場は、2008年をピークとして、大きく下げているが、これもPetrobrasの大型投資に大きな影響を与えていることも見過ごせない事実である。