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バーナンキFRB議長の「出口探し」 Exit strategy

2009-07-22 | 米国・EU動向
2009年7月22日(水)

バーナンキ連邦準備制度(FRB)議長は、下院の金融関連委員会で、経済状況に関する報告した。その中で、現在FRBがとっている「ゼロ金利」(near-zero interest rates)政策からの出口戦略(“exit strategy”)は、万全であるとしながらも、「すぐに発動するには、経済の状態は、依然あまりにも脆弱(fragile)である」と語った。

同議長は、「経済に改善の兆し(glimmers of improvement in the economy)は見えるものの、当面超低金利政策は長期にわたり持続する」との方針を明らかにし、その理由として、今年の末には経済成長に転じることを予想できるとしながらも、現在9.5%まで悪化している失業率の改善には、2011年いっぱいまでかかることを認めた。

長期国債の相場は、この証言に反応して、利回りを下げている。経済が先行き回復に向かうとの予測と、経済刺激支出と健保改革による財政赤字の拡大が予想されている状況では、インフレ懸念から、長期金利は上昇に転じてしかるべきであるが、逆の動きとなっているのである。そして、市場のカネは、債券市場から株式市場に流れ込み、米国と英国の株式市場は、7日連続の上げとなって、株価も久しぶりの高値に戻している。

グリーンスパン前議長の長期にわたるカリスマ的運営が、金融崩壊に繋がったことで、FRBの信用は失墜したままであるが、バーナンキ議長は、FRBの独立性を守るべきとしている。一方、米国の金融システムの監視・規制制度が、FBR, 財務省、SECなどに分散している状況を改め、銀行と証券業務の垣根を元に戻し、金融新商品の規制を強化せよとの議論も根強い。

日本は、金融危機対処の「入口戦略」にも、「出口戦略」にも失敗して、「失われた10年」を招いてしまった。今回の米国は、もう「出口戦略」を言い始めているが、それはインフレの足音が、あまりにも大きく響き始めているからに他ならない。