大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 4月9日 釣り仲間

2014-04-09 18:49:17 | B,日々の恐怖



     日々の恐怖 4月9日 釣り仲間



 知り合いのAさんから聞いた話を話します。
2年ほど前、Aさんは釣り仲間のYさんらとバス釣りにT県へ行ったそうだ。
 沼の中央に小さな浮島があり、Yさんはそこへ向かって針を投げ入れていたとか。
Aさんも浮島の近辺へ針を投げ入れようとしたけど、よく見たら浮島には見えなかったらしい。

「 あれって、もしかして死体じゃない…?」

とAさんたちが騒ぎ始め、Yさんにも

「 やばいから一度やめたほうがいい。」

と言ったのに、Yさんは、

「 へーきへーき。」

と、時折浮島に針がぶつかりつつも投げるのをやめなかったらしい。

“ 別視点で見たらどうなってるんだろう?”

と、Bさんがぐるっと岸を巡って確認したところ、草のような髪の毛のような塊があるのを発見。

「 絶対ヤバイ!」

と、Yさんを止め、警察へ連絡。
浮島だと思っていたものは、近所で2週間ほど前から行方不明になっていた男性だった。

「 厄年なんだし、御祓いに行ったほうがいい。」

と奥様から1万円を渡されたYさん。
実際に御祓いに行くと1万円と5千円のコースがあり、お札もそう変わらないように見えた
Yさんは5千円の御祓いを受け、残りはお小遣いにしてしまったそうだ。
飲み会で、

「 得しちゃった。」

と得意げに言うYさんをAさんたちは何度か説得したのけど、やっぱり、

「 へーきへーき。」

と聞かなかったとか。
 その後、Yさんの腕時計が、何度も落ちる。
時計本体とベルトをとめるバネ棒が外れていないのに、時計本体だけが何度も落ちる。
皆、

「 やっぱりヤバイって!」

と、御祓いしなおしてもらうよう説得しても、Yさんだけが、

「 へーきへーき。」

で、みんなも説得を諦めていたらしい。
 そんな中A県へバス釣りに行ったとき、Yさんの乗った船が釣り中に故障。
エンジンとガソリンタンクを結ぶ管(?)が外れていて、エンジンが動かなかったらしい。
Aさんたちがなんとか岸辺までたどり着いた時にはもうくたくたになっていた。
 時計の件もあるし、船の件もあるしで、もう帰ろうということになった。
すると、Yさんがいない。
どこかへ買い物に行ったんじゃないかと思って待つことにしたが、車内にYさんの財布が。
財布も無しで買い物もないだろうとCさんらが捜しに出た。
 ほどなくして、Yさん発見。
奇しくもT県で発見した水死体と同じ格好で水路に浮かんでいた。
Yさんは病院に運ばれたが、まもなく死亡が確認された。
 どうやって水路に入ったか不明だったので、Aさんたちは警察に1泊して事情聴取。
結局不審死として処理されたらしい。
Aさんたちは帰京後改めて御祓いに行き、現在でも元気にしている。













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日々の恐怖 4月8日 歌舞伎町ホスト

2014-04-08 18:22:37 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 4月8日 歌舞伎町ホスト



 24歳男です。
体験談話します、実話です。
 初めてホストクラブで働いたのは19歳の頃で高校を出て1年制の専門学校を卒業した直後に就職に困って歌舞伎町へと進出しました。
イメージではイケメンしか出来ない仕事だったけど、やってみるとそんな事もなくて、ふかわりょう似の僕でも何とか食っていける仕事でした。
 女を騙すノウハウを毎日考えて、駅前を歩く女の子の気を引き店に連れ込みました。
恐らく一日に10組以上入れていました。
それが所謂キャッチという作業なんですけど、普通ある程度客がいるホストはキャッチに出ない行かないんです。
新人が連れてくる客を、自分の客にしようと店内で接客するわけです。

 ホストをして二年程経った頃です。
ある程度偉くなり、ナンバーにも入り、客が来ない日なんて滅多になかったんですけど、ある日たまたまお茶引き(自分の客が一人も来ない事)になってしまい、客は一人も連絡が付かないし、店も暇だから仕方なく後輩とキャッチに出たんです。
 新宿東口で女の子に声を掛けました。

俺「 飲みにいかない?^^」
女「 いいよ、どこの店?面白そうだから指名してあげるよ。」

一人目の女の子が突然引っかかったので、ラッキーと思って店に呼んだんです。
後輩に挨拶して店に行く事にして声を掛けました。

俺「 お-おっ先~^q^」
後輩「 あ、戻るんすか?」
俺「 ういうい^q^」
後輩「 早いっすねー」

店に行く最中女はニコニコしながら話しかけてきて、大事そうにデカいバックを抱えている。

“ あぁこいつはホスト慣れしてないんだな、イイ鴨だわ。”

なんて考えてながら笑顔で対応していました。
すると突然女が立ち止まってこう言いました。

「 女の子騙す時って、どんな気持ちなの?」

“ おいおい突然突っ込んだ質問するなぁ・・・。”

そう思いながらも、今更店に呼べなくなっては困ると思った僕は、

「 騙すなんて思った事一度もないよ^^どして?」

と答えると同時に異変に気付きました。
 その時初めてその女をちゃんと見たのかもしれないです。
さっきまで女が持っていたバックだと思っていたものは、バックではなくて丸めた毛布だったんです。

“ ・・・!?”

「 この人も私を騙すつもりなかったと思う?」

“ この人・・・?
毛布・・・?”

二人の近くに、この人と呼ぶような人影はありません。
 気付くと女は下唇を強くかみ締めていて、口からポタポタと血が垂れていました。
もう店の近くまで来ていたけど、コイツ完全にバグってると思い、店から電話がかかってきたフリをして、

「 店が一杯みたいだからまた今度にしよ^^;」

と断ると、女は無言で駅の方に歩いて行きました。
内心ホッとしつつ、変に気疲れしたと思い店に戻ろうとすると電話が鳴りました。
さっきの後輩からでした。

後輩「 あ、○○さん?もう店っすか?」
俺「 そだよ、さっき変な女連れてきそうになっちゃってさ。」
後輩「 マジっすか?僕も客見つけたんで戻ります。」
俺「 ぅぃぅぃ、店で待ってるわ。」

店でオーナーと世間話をしていると後輩が店に戻ってきました。

「 お客様ご来店で~す!」
「 いらっしゃいませ!」

掛け声と共に後輩が女と入ってくる。

“ ・・・!?!?”

後輩が連れてきた女はさっきのワンピースの毛布を持った女でした。
 その瞬間、またビックリしました。
オーナーがキッチンへと突然走り、荒塩を女目掛けて投げつけだした。
後輩と僕は、何が何だかわからずキョトンとしてしまった。
女は奇声を発しながら店内を走り回り、まばたきをした瞬間、突然消えた。

俺・後輩「 え!?!??!?」

目を真っ赤に血走らせたオーナーが、

オーナー「 また来たのかよ、あいつはヤベェから気をつけろ。」
俺「 えっ!てかあの女どこ行ったんすか?!?!」
後輩「 は???幽霊???は???」

興奮状態の僕と後輩は、それ以降の会話をあまり覚えていません。
 オーナーの話だと数年前から毛布を持った女が何度か来店し、その女が来た日に売り上げはうなぎ上りになるらしかった。
話の通りその日は徐々に客がドカドカ入り満卓になった
 でもその話には続きがあって、その女に接客して相談に乗ったり優しい言葉を掛けるとそのホストは自殺してしまうという話だった。
僕がホストを始める前に、数人その店でも自殺したらしかった。
幽霊を初めて見た僕と後輩は興奮を抑えきれないと同時に、自分たちが呪われてないか不安で仕事が手に付かず、それを心配するオーナーと一緒に三人で御祓いに行ったが、オーナーだけは神社の外で待っていました。
 オーナー曰く、

「 幽霊だろうと何だろうと女は上手く使えば金になる、お祓いなんてもったいねぇよ。
他のキャストにさっきの話すると、ビビってやめちゃうから言うなよ。」

だそうです。

“ この人はどこまでもホストなんだなぁ。”

と変に感心した反面、体験した事にかなりビビっていました。
最初で最後の怖い体験ですが、今年僕はホストを辞めたのでお話ししました。
 当時の後輩も僕も元気ですが、後輩は右手の小指、僕は左足の小指が別々の事故で切断しました。
後輩はホストを辞めて鉄筋の作業中に、僕はバイクでコケてコンクリの溝に靴が挟まったんです。
小指で尚且つ同じ体験をした二人です。
偶然とは思えないです。

“ その毛布の中には、ホストの小指が入っていたんじゃないかな・・・。”

何て、今になって思います
 歌舞伎町でホストをしてる人は、同じ体験をしたことがある人もいるんじゃないかな、とも思います。
ホストをしようと思ってる人、してる人、白いワンピの毛布女だけは声掛けないほうがいいっすよ。














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日々の恐怖 4月7日 カレーチェーン

2014-04-07 17:17:44 | B,日々の恐怖




    日々の恐怖 4月7日 カレーチェーン




 愛知でカレーチェーンでバイトしてました。
その時、バイトしたいって男の子が来て、採用が決まりました。
私のバイト先は仲がよく、よく飲み会がありました、その採用の男の子も、それを聞いて早く仲間に入りたいと言ってました。
 しかし、その男の子は採用後、働く事なく事故で亡くなりました。
その直後からですが、店の電気がよくショートし始めてました。
また、防犯カメラに人は写ってないのに、カツカツと排水の上の鉄板を歩く音が録音されたりするようになりました。
 また、離れの休憩室を誰かがのぞいたりするようになり、皆はアイツが来たんじゃないかと噂するようになりました。
それからは、男の子を見てしまった従業員がでてきて、毎日、夜中の2時くらいになると、厨房から彼が休憩室を覗きこむ姿が見られるようになりました。
 もともと、以前から霊現象がある店でしたが、リアルに誰もが霊を見るようになったので、あるバイトさんが、ビデオや写真に彼を納めようと言いだしました。
そのバイトさんは自分が夜勤の時に録ると、息巻いてました。
霊感のありまくるパートさんが、それは辞めた方がいい、彼は怒るだろうし、すでに彼はそのバイトさんにトリツイテルと言い出しました。
 しかし、バイトさんは、投稿すれば金になる、防犯カメラの足音と共にテレビ局に売るんだと聞きませんでした。
その後、バイトさんはカメラを設置して彼を撮りました。
厨房から覗いている彼を録ったそのはずでした。
 しかし、覗いていたのは彼ではなかったのです、
彼を採用した人しか彼の顔は知りませんでした。
彼の死の直後の霊現象なので彼が覗いているんだとばかりに皆が思っていました。
 そのバイトさんは、ビデオを録った次の日から全く連絡が取れなくなり、行方不明になりました。
何か霊と関係あるのかどうか知りませんが、バイトさんは奈良県のダムに車ごと落ちて死んでいたのを、発見されました。
 私はビデオを見てませんが、ビデオで写った霊はおっさんみたいな人にも見えて、おばあさんのようにも見えるものだったらしいです。
バイトさんはよく心霊スポットに通ってて、どこかで憑かれたのか、なんなのかは、ほんとな話な分、事実はわかりません。
 厨房を歩き回ってたのが、死んだ男の子だと断定されているのは歩き方だそうです。
男の子はもともと、足が悪くて特徴的な歩き方だったらしいです。
採用した人が、防犯ビデオを見て確認しています。
あと、霊感のありまくるパートさんが亡くなったバイトさんにツイテルとした霊は男の子ではなかったようです。
 パートさんは人の部屋が丸見えに見えてしまう力をお持ちの方で、霊感は本物だと思います。
毎日厨房から休憩室を覗いていたのは男の子ではなかったとその後のビデオで確認されました。
しかし、生で目撃した人は、年齢が死んだ男の子とは一致しない、霊は老けて見えるのかとか一応、議論はありました。
 ビデオはあるはずです、防犯カメラの足音は、確実に残ってます。
あと、ほかにも自動ドアが夜中に勝手に開くのとかも防犯カメラによく映ります。












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しづめばこ 4月7日 P280

2014-04-07 17:17:20 | C,しづめばこ
しづめばこ 4月7日 P280  、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


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日々の恐怖 4月6日 福島県郡山市小学校

2014-04-06 19:17:47 | B,日々の恐怖




   日々の恐怖 4月6日 福島県郡山市小学校




 これは小学校6年生のときに実際に体験した出来事です。
俺の通っていた小学校は、市内でもっとも生徒数の多いマンモス校だった。
新校舎と木造旧校舎が連絡通路でつながっており、1年生~4年生までは新校舎、5、6年になると1~3組が旧校舎、4~6組が新校舎で分かれるようになっていた。
 5年のときのクラス替えで、俺は卒業までの2年間ずっと旧校舎で授業を受けることになったんだけど、まぁ、ありがちな話、旧校舎には幽霊が出るっていう噂で有名で、遊びに夢中で下校が遅くなったりすると正直めちゃくちゃ怖かったのを覚えてる。
 この旧校舎は1階が音楽室と工作室、そしてトイレがあって、2階と3階が教室として使われていた。
旧校舎からは新校舎のクラスの窓が見えたし、新校舎からは旧校舎のベランダが見えるような校舎の配置だ。
 で、ある日、国語の授業を受けている最中に外が騒がしくなった。
俺はベランダ側の席だったから、なんだろうと思って新校舎のほうに目をやった。
そしたら、3学年のあるクラスの生徒が窓際に集まっていて、旧校舎の俺のクラスのほうを指差し、

「 教室に戻れ!」
「 怒られるよー!」

などと叫んでいた。

“ 授業中なのに何さわいでんだろ?”

と変に思っていたら、その3年のクラスを受け持ってる先生がうちのクラスにやってきて、

「 低学年の女子と思われる生徒が、ベランダでうろちょろしてる。」

って、注意しに来た。
 でも、うちの担任と3年の先生もベランダに出て確認したんだけど誰もいない。
俺もクラスの連中も、生徒がベランダをうろちょろしてたら気づいただろうし変だなと思っていた。
 すると、

「 センセイそっち!隣のクラス!」

って、新校舎からこっちを見ていた生徒たちが叫んだ。

「 なんだ、隣のクラスと間違えただけか。」

って一瞬みんなで笑ってたんだけど、結局となりのクラスにもいなかった。
とにかく何か変な感じで、気味が悪くなった。
 学年主任や他の先生たちも、その女の子探しをし始め、

「 校内を徘徊してる生徒は本校の生徒ではありません。
先生方が探していますので、皆さんは落ちついてください。
先生方が戻るまでは、静かに自主学習をするようにしてください。」

と言うような内容の校内放送が入った。
 学校全体がもう騒然としちゃって、新校舎のほうの生徒も旧校舎の生徒も勉強どころじゃなくなってて、謎の女の子を気にしていた。
そのとき、隣のクラスのやつらがワラワラとベランダにでてきて、新校舎のほうを指差して騒ぎはじめた。
 旧校舎にいる他のクラスのやつらも気づいていた様子で、ベランダに出てそれをみんなが確認した。
校内を徘徊しているらしいその女の子は、新校舎の4階トイレの窓から今にも落っこちそうな勢いで、ひょい!ひょい!と身を乗り出していた。
おかっぱ頭で、一年生の黄色い帽子をかぶり、白いシャツに赤いスカートらしきものを着ていたのが見えた。
 みんな、

「 危ない!」

と悲鳴を上げたその瞬間、女の子がスッと引っ込んだかと思ったら、ほぼ同時に学年主任が窓から顔を出した。
 俺たちは、またもや騒然。
あのタイミングで顔を出したなら、先生は女の子とすれ違うはずなのに・・・。
 結局、女の子は見つからなかった。
みんなが目撃していたあの女の子は幽霊以外考えられない、と学校はその日その話題で持ちきりだった。
怖くて泣き出す女子もいたし、軽いパニックだった。
生徒が下校の際は親が迎えに来させられたし。
 当時、生徒に対して認めることはしなかったが、後に同窓会で担任は教えてくれた。
説明のつかない何かが校内を徘徊していた不思議な事件として、当時いた先生の多くがあの少女を幽霊と思っていることを。
20年経った今でも同級生に会えばその話になる。













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しづめばこ 4月5日 P279

2014-04-05 18:14:55 | C,しづめばこ
しづめばこ 4月5日 P279  、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


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日々の恐怖 4月5日 葬列

2014-04-05 18:13:10 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 4月5日 葬列



 ある日、AさんがBさんの家で飲み会をしていた。
帰りは、すっかり遅くなってしまった。
Aさんは、帰りの夜道を歩いていると向こうに行列が見える。
行列の人達は喪服を着ていて、それが葬式だということが分かった。

“ はて・・・?
この近所で、誰か亡くなったのかな?”

Aさんは行列に並んでいる1人に聞いてみた。

「 これは、誰のお葬式ですか?」

相手は、呟くように返事をした。

「 この先の家の、Aさんのですよ。」

“ ええ・・・・???”

なんと、この葬式は自分のだと言うのだ。
驚いたAさんは家に走った。
 が、家は静まり返っている。
葬式などやってはいない。
おかしいなと思って、振り返ってみると葬式の行列は無くなっていた。
 怖くなったAさんは家に入った。
しかし、今度は家の中には自分の奥さんや子供がいない。
途方に暮れてしまったAさんは仕方なく、さっきまで一緒に飲んでいたBさんの家まで戻ることにした。


 Bさんの家に着くと、Aさんはこの奇妙な体験を伝えた。
Bさんは、

「 お前、飲み過ぎなんだよ。
今、お前の家に電話してみるからさ。」

と、Aさんの家に電話をしてくれた。
繋がった電話からは、奥さんの声が聞こえてくる。

「 ほらな、普通に家にいるだろ?」

 その日、BさんはAさんを家まで送って行った。
今度は、ちゃんと家族もいる。
Aさんは、さっきは夢でも見たのだと思うことにした。


 だが、それから数日経ったある日、Aさんが交通事故で亡くなってしまった。
葬式の最中、Bさんは数日前のAさんが話していた奇妙な出来事を思い出していた。

“ あれは、自分の死の予言だったのではないか?”

やがて葬式も終わり、棺を霊柩車に運んでいるときだった。
Bさんの後ろから、こんな会話が聞こえてきた。

「 これは、誰のお葬式ですか?」
「 この先の家の、Aさんのですよ。」

Bさんは、それをきいてハッとする。
今の声は、紛れもなくAさんの声だったのだ。
 Bさんは、慌てて今後ろで会話してた人に聞きに行く。

「 今、話していた人は、どこに行きましたか?」
「 ええっと・・・。
その先のAさんの家に、走って行きましたよ。
でも、おかしいな、さっきの人。
なんというか、黒いモヤみたいなものを覆い被さったような感じで、顔がよく見えてなかったんですよ。」

BさんはAさんの家へ向かったが、そこには誰もいなかった。
 Bさんは思った。

“ Aが見た葬列って、これのことだったのか・・・。”












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日々の恐怖 4月4日 ナースコール

2014-04-04 18:43:52 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 4月4日 ナースコール



 俺は施設で働いてるのだが、1ヶ月程前に精神疾患と診断されてるお婆さんが入所してきた。
お婆さんと言っても、まだ60代の後半で頭もしっかりしているようだ。
受け答えもかなりしっかりしているし、その他これといって問題のある人には見えなかった。
他の職員たちも、あのお婆さんが精神疾患と診断されているのが嘘のようだと話してた。
 その人が入所したのは、午前中だった。
その日、俺は夜勤で、その人から深夜2時頃にナースコールがあり訪室してみると、

「 間違えました、ごめんなさいね。」

とだけ言われた。
排泄だけは軽介助の必要な人だったから排泄かと思ったのだが、違ったらしいのですぐに退室する。
 すると、10秒もしないうちに、またナースコールが鳴った。
そのときは、たまたま近くにいた職員が対応してくれたのだが、俺も近くにいたから話し声は聞こえてきた。
 俺は廊下にいて、扉は閉まっていた。
静まり返った深夜だから、部屋の前にいると中の会話も聞こえてくる。
 職員がお婆さんに話し掛けている。

「 どうかしましたか?」
「 あの・・・、先程来られた方は、男性ですか?」
「 ○○(俺の名前)さんですか?
ええ、そうですよ。
それが、どうかしましたか?」
「 ここには、怖い方がいるんですね。
あの方、顔が2つ付いてますよ。」
「 ・・はい・・・・?」
「 整った顔立ちの、綺麗な女性の顔がありました。
私、あの方が怖いんです。
目を見たら、とって食われそうな。」
「 ○○さんは、男性ですよ?
なにかの見間違いでは?」

そこに、突然のお婆さんの大声が響いた。

「 ですが、あの女性は、今もこの話を盗み聞きしてるんですよ!?」

俺はその声に驚いた。
 うちの施設は、扉に窓はない。
外に誰が立ってるか分からないはずなのだ。
中にいた職員すら、その話を俺が立ち聞きしていたことに気付いていなかったので、外に出たときに俺がいることに驚いていた。
 その日は、俺は深夜3時から休憩だったから、その後はお婆さんと朝まで関わらなかった。
朝に会ったお婆さんは、特に変わった様子はなく、俺と会っても普通に接してくれた。
俺は深いことは考えないようにして、その日は帰宅した。

 二日後、出勤してみると状況が変わっていた。
そのお婆さんは、次の日も深夜1時以降になるとナースコールを押して、

「 部屋の中に人がいて眠れない。」
「 天井から、こちらを見てる方がいるから落ち着かない。」

などと、訴えてくるらしい。
 入所後、1ヶ月が経つが、未だに深夜にナースコールと不気味な訴えが続いている。
そして、俺が訪問すると必ず、

「 大丈夫です、ごめんなさい。」

と断られてしまうのだ。
でも、直ぐにまたナースコールが鳴り、他の職員が対応すると、

「 さっき来た女性が怖い。」

と言っている。
 そのお婆さんが、本当に精神疾患なのか、もしくは見えないものが見える人で、精神疾患と誤認的に診断されるのか分からない。
一刻も早く、俺がお婆さんに怖がられない日が来ることを祈ってしまう。









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日々の恐怖 4月3日 無菌室

2014-04-03 18:10:01 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 4月3日 無菌室



 病院の夜勤のときです。
夜中2時のラウンド、無菌室に続く扉の前で一生懸命に中を覗き込んでいる人がいた。
無菌室からもれる紫の蛍光灯に照らされた人影が何ともいえない雰囲気を醸し出してた。
 一瞬ギョっとしたけど、自分に無理やりに、無菌室の前の個室の患者さんが寝ぼけてるだけ、と言い聞かせ近くまでいくけど、私の足音は聞こえているはずなのに、振り向かない。
でも、背格好からして3日前に亡くなったA君だと思った。
 急に怖くなくなって、

「 A君?」

って声をかけたら振り向いて、びっくりしたような顔をして、

「 あのー、僕いつの間にこの部屋(無菌室)から出たんですか?」

って聞いてきた。
 亡くなる直前は、自分が移植した後のことを何にも覚えてなくて容態悪化で無菌室から出たこともわかってなくて、生きてる時も、

「 ここはどこですか?」

とか言ってたから、

“ あーまだわかんないんだなー。”

と思って教えてあげた。
亡くなったことは言わなかったけど、質問されていろいろ答えてた。
 急に、重症患者のSさんからのコールが鳴って、

「 あ、行ってあげてください。」

って言われて、その場を離れた。
 コールのあったSさんの部屋に入るときにチラっと彼の方を見ると、寂しそうに立ってこっちを見ていた。
しばらく、Sさんにかかり切りになっている間に、気がつけばいなくなってた。
 後日、その時コールのあったSさんは、一時危なかったんだけども、その時A君が廊下をフラフラしてる夢を見たって言ってて不思議でした。












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日々の恐怖 4月2日 断末魔

2014-04-02 19:22:01 | B,日々の恐怖



     日々の恐怖 4月2日 断末魔



 母が予知夢やら虫のしらせやらある人で、割と実体験話が多い。
それで、母の見た予知夢の中で、一番怖かったものを話します。
 母が二十歳の時、夢の中でバス停に急いでいた。
途中の駐車場に杖をついたおじいさんがいて、母はその人を見て、

“ あんまり話したくない。”

と感じたらしい。
でも、おじいさんが、

「 良い天気ですね。」

とか、話しかけてくるので嫌々応対したそうだ。
やっと先に進めるというとき、母はなぜか老人に、

「 次、いつ会えますか?」

と訊いてしまった。
するとおじいさんは

「 ダンマツマ。」

と答えた。
そこで夢は終わり。
 母は夜中に飛び起きて、祖母はそれに驚いた。
お恥ずかしながら母はかなりの天然無知で、当時“断末魔”を知らなかったらしい。
祖母に、

「 だんまつまって何?」

と尋ねると、

「 断末魔ってのはね、人が死ぬ時にあげる、ぎゃーとか物凄い悲鳴のことよ。」

と言われ、ぞっとしたそうだ。
 その二週間後、そのおじいさんがいた駐車場の横を流れる川で、変死体が見つかったらしい。

“ 変死体=死後時間が経ってる→もしかして、夢を見た頃に・・・?”

と一人連想して怖くなった。
 おじいさんは死に神なんじゃないかと勝手に思っている。
次に死に神に会う時は“断末魔”だそうなので、母がすごい死に方をしないか心配で、私は出来るだけ母の手を引いて道路を渡るようにしています。












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