大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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しづめばこ 4月5日 P279

2014-04-05 18:14:55 | C,しづめばこ
しづめばこ 4月5日 P279  、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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小説“しづめばこ”



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日々の恐怖 4月5日 葬列

2014-04-05 18:13:10 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 4月5日 葬列



 ある日、AさんがBさんの家で飲み会をしていた。
帰りは、すっかり遅くなってしまった。
Aさんは、帰りの夜道を歩いていると向こうに行列が見える。
行列の人達は喪服を着ていて、それが葬式だということが分かった。

“ はて・・・?
この近所で、誰か亡くなったのかな?”

Aさんは行列に並んでいる1人に聞いてみた。

「 これは、誰のお葬式ですか?」

相手は、呟くように返事をした。

「 この先の家の、Aさんのですよ。」

“ ええ・・・・???”

なんと、この葬式は自分のだと言うのだ。
驚いたAさんは家に走った。
 が、家は静まり返っている。
葬式などやってはいない。
おかしいなと思って、振り返ってみると葬式の行列は無くなっていた。
 怖くなったAさんは家に入った。
しかし、今度は家の中には自分の奥さんや子供がいない。
途方に暮れてしまったAさんは仕方なく、さっきまで一緒に飲んでいたBさんの家まで戻ることにした。


 Bさんの家に着くと、Aさんはこの奇妙な体験を伝えた。
Bさんは、

「 お前、飲み過ぎなんだよ。
今、お前の家に電話してみるからさ。」

と、Aさんの家に電話をしてくれた。
繋がった電話からは、奥さんの声が聞こえてくる。

「 ほらな、普通に家にいるだろ?」

 その日、BさんはAさんを家まで送って行った。
今度は、ちゃんと家族もいる。
Aさんは、さっきは夢でも見たのだと思うことにした。


 だが、それから数日経ったある日、Aさんが交通事故で亡くなってしまった。
葬式の最中、Bさんは数日前のAさんが話していた奇妙な出来事を思い出していた。

“ あれは、自分の死の予言だったのではないか?”

やがて葬式も終わり、棺を霊柩車に運んでいるときだった。
Bさんの後ろから、こんな会話が聞こえてきた。

「 これは、誰のお葬式ですか?」
「 この先の家の、Aさんのですよ。」

Bさんは、それをきいてハッとする。
今の声は、紛れもなくAさんの声だったのだ。
 Bさんは、慌てて今後ろで会話してた人に聞きに行く。

「 今、話していた人は、どこに行きましたか?」
「 ええっと・・・。
その先のAさんの家に、走って行きましたよ。
でも、おかしいな、さっきの人。
なんというか、黒いモヤみたいなものを覆い被さったような感じで、顔がよく見えてなかったんですよ。」

BさんはAさんの家へ向かったが、そこには誰もいなかった。
 Bさんは思った。

“ Aが見た葬列って、これのことだったのか・・・。”












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