日々の恐怖 4月2日 断末魔
母が予知夢やら虫のしらせやらある人で、割と実体験話が多い。
それで、母の見た予知夢の中で、一番怖かったものを話します。
母が二十歳の時、夢の中でバス停に急いでいた。
途中の駐車場に杖をついたおじいさんがいて、母はその人を見て、
“ あんまり話したくない。”
と感じたらしい。
でも、おじいさんが、
「 良い天気ですね。」
とか、話しかけてくるので嫌々応対したそうだ。
やっと先に進めるというとき、母はなぜか老人に、
「 次、いつ会えますか?」
と訊いてしまった。
するとおじいさんは
「 ダンマツマ。」
と答えた。
そこで夢は終わり。
母は夜中に飛び起きて、祖母はそれに驚いた。
お恥ずかしながら母はかなりの天然無知で、当時“断末魔”を知らなかったらしい。
祖母に、
「 だんまつまって何?」
と尋ねると、
「 断末魔ってのはね、人が死ぬ時にあげる、ぎゃーとか物凄い悲鳴のことよ。」
と言われ、ぞっとしたそうだ。
その二週間後、そのおじいさんがいた駐車場の横を流れる川で、変死体が見つかったらしい。
“ 変死体=死後時間が経ってる→もしかして、夢を見た頃に・・・?”
と一人連想して怖くなった。
おじいさんは死に神なんじゃないかと勝手に思っている。
次に死に神に会う時は“断末魔”だそうなので、母がすごい死に方をしないか心配で、私は出来るだけ母の手を引いて道路を渡るようにしています。
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