日々の恐怖 10月18日 私の話(8)
問題は、この夜のことだった。
寺だから空いている部屋はいっぱいある。
その中で八畳ほどの部屋を用意してくれた。
といっても布団と隅にテレビがあるくらいで、ほとんど何もなかった。
元々外部の人が寺に泊まるための部屋とのことだった。
現在は誰も使わないらしい。
風呂に入って部屋に戻り、電気を消して寝たのだが何故か急に眼が覚めた。
目が覚めると自分がうつぶせに寝ていて、しかも部屋の電気がついていた。
” あれ、電気は消したはずなのに・・・?”
と思って、うつ伏せから起き上がろうとした瞬間、体が動かなくなった。
最初は、
” 金縛りか?”
と思ったけれど、手は動かすことが出来たので、金縛りではないことはすぐ分かった。
それに、金縛りが来る時は感覚的にわかるので、直ぐ外すこともできる。
” あっ、これ違う・・・!?”
と思った時、耳元でものすごい風の音がした。
それは風と言うよりも暴風といったゴーという音で、金縛りにあったというよりも、暴風に体を抑えられて身動きが取れない状態に近かった。
手で踏ん張って上体を起こそうとしても、全く体が上がらない。
耳元で暴風の音がして、体にもかなり強い風を受けているという感覚があった。
結局は、
” これは無理だ。”
と、あきらめてそのまま寝た。
というか、いつの間にか寝ていた。
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