大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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霧の狐道60

2008-05-25 18:53:45 | E,霧の狐道
“ キンコンカンコ~ン♪”

「 あ、ヤベ~!
 チャイムが鳴ってる!!」

俺は、時間が無いので教室に急いだ。
三人も後を追って来た。
 四人とも教室に飛び込んで、椅子に座ると先生が入って来た。

“ あらっ・・・・?”

俺が、椅子に座るとクラスの何人かの視線を感じた。

“ 何か、居心地の悪い視線だな・・・。”

俺は周囲にいるクラスの連中の顔をチラチラ見ながら思った。

“ 他にも、俺が登場した夢を見た奴がいるな・・・。
 これは、マズイぞ・・・。”

規律、礼をして座ったとたんに山下先生が俺に言った。

「 神谷、先生の夢に出てくるなよな。」
「 げっ!」
「 先生が、算数のテストを作っていると、お前が現れて、聞くんだよ。

     『 何、作ってるの?』
     『 テストだよ。』
     『 じゃ、答え教えて。
      これ、あげるから。』

 それが、木の葉を出すんだよ。

     『 だめ!』
     『 それじゃ、これもあげる。』

 今度は、どんぐりだ。

     『 だめだよ。』
     『 だったら、もういいよっ!』

 それで、プッとふくれて、ぴょんって窓から飛び出して行ったんだ。
 朝から、クラスの何人かが職員室の先生の所に夢の話を言いに来たぞ。
 俺が話を聞いていない子でも、お前を夢で見た子がいるぞ。」

先生は、クラスの頷きを背景に言った。

「 お前って、ほんとにあちこち出てくる奴だな。」

俺は、立ち上がって両手を挙げ、体を前後に揺らせながら昆布の真似をした。

「 俺って、人気者ってか!」

 これは、クラスに結構受けた。
受けたのはいいが、俺は困った。
クラスの連中の白い目から発せられる“とんでもない奴光線”は、俺の背中に突き刺さる。

“ このままでは、マズイぞ・・・。”

そして、どうすればいいか、その日は授業も聞かず対策を考えた。



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