日々の恐怖 6月12日 配達依頼
知り合いの米屋から聞いた話です。
常連さんから午後二時ごろ電話で米の配達依頼があり、夕方に行く事になった。
しかし、その日は朝は暇だったのだが、夕方は立て込み始め結構忙しくなってしまった。
何件か回ってその常連の家に行ったが、インターフォンを押してもドアを叩いても誰も出ない。
再度行けば良いかと思い、他の客の配達へ向かった。
そして最後の配達を終えて、そこの家に向かいドアをノックしても、やはり誰も出ない。
おかしいなぁ、と思っていたがドアが開いていたので、偶に留守宅でやるように玄関に置いて帰ろうとした。
すると、そこで待っていたのは、刺された状態で玄関にしゃがみ込んで死んでいた常連さんだった。
急いで警察に連絡して色々調書を取られたが、第一発見者だからかかなり疑われた。
それから数日間は警察に任意の聴取を付き合わされ、米屋の方は奥さん一人でまわす始末。
なぜ疑われたのかと言うと、 常連さんの死亡時間より電話があった時間の方が遅いことと、
回覧板を回しに来た隣人が、「夕方に向かったら鍵が閉まっていた」との証言をしたからだった。
それから数日後、犯人である隣人が捕まった。
もちろん、証言は嘘だった。
ただ不可解なのは、配達依頼の電話だった。
これだけはどうしても理解できないと言っていた。
冤罪に巻き込まれるのも怖いけど、こういう電話も意味不明なだけに怖かった。
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